防災基礎講座:基礎知識編-自然災害をどのように防ぐか-
図10.6 陸地内における高潮浸水位の低下
A~Dにおける実際のおよび数値計算による最大水位断面を示したものです.粗度係数nを農村部では0.1に,市街地では0.15として計算しています.高潮海水が内陸に向け進行していく間に,台風が遠ざかることによる気圧上昇と風速低下によって海面は平常潮位に向かって低下していきます.この海面低下は流入した海水を引き戻す働きをするので,広い平野では最大浸水位は内陸に向かうにつれ次第に低下していきます.鉄道・道路の盛土路盤や河川堤防は堰き止めにより内陸側の水位を更に低下させます.一方,狭い海岸平野ではほぼ最高潮位までの標高域が浸水しています.
客員研究員 水谷武司