防災基礎講座:基礎知識編-自然災害をどのように防ぐか-
図10.3 伊勢湾内における海水の吹き寄せおよび暴風の継続 (気象庁,1961による)
伊勢湾台風は伊勢湾内に強風が長時間吹き続けるようなコースをとったので,大量の海水を湾奥に吹き寄せて,最高潮位3.89mという日本の観測史上最大の高潮を発生させました.下図は伊勢湾に長時間にわたり強い風が吹いたことを示します.台風の風は左巻きの螺旋状で中心に吹き込むので(上図の右下),進行右側では台風の接近とともに東から南へと時計回りに風向は変わっていきます.したがって,伊勢湾のように「く」の字のような平面形の湾では,外洋からの送り込まれた海水が効率的に湾奥へ吹送されるようなことが起こります(上図).
気象庁(1061):伊勢湾台風調査報告.気象庁技術報告第7号.
客員研究員 水谷武司