防災基礎講座:基礎知識編-自然災害をどのように防ぐか-
図8.6 長崎豪雨による被害の分布 (長崎県,1983による)
長崎は起伏の大きい山地内に人口45万の市街地を展開させているので,大雨が降ると土砂災害と洪水災害が複合して同時多発します.1982年長崎豪雨は最大1時間雨量が187mmという猛烈なもので,山崩れ,土石流および河川洪水により,長崎市全体の死者が262人という大きな被害が生じました.死者の90%は山崩れ・土石流によるものでした.10人以上の死者を出した山崩れ・土石流は7件ですが,これだけで土砂による死者総数の半分を占めました.自動車に乗っていて流されたことによる死者が12人と,洪水死者の4割も占めました.赤三角は山崩れ・土石流による死者発生地点,青丸は洪水による死者発生地点で,数字は死者数です.
長崎県土木部(1983):7.23長崎大水害誌.
客員研究員 水谷武司