防災基礎講座:基礎知識編-自然災害をどのように防ぐか-
図6.2 諫早の地形と1957年被災域
諫早市街は急峻な多良火山南麓の,狭い谷底低地と谷の出口の三角州に位置しています. 市街中央部で本明川は直角に曲がり,また谷幅が半分近くに狭まっています.1957年7月の諫早豪雨により激しい流れの洪水がこの低地内で発生し,死者586人,全壊・流失家屋704戸という著しい被害が生じました.多数ある橋が流れを塞き上げ被害を大きくしました.眼鏡橋の両岸ではおよそ200人の死者が出ました.下の図は低地および谷壁を2m間隔のコンターで示したもので,出口が狭まっている谷底の地形がよく分かります.低地面勾配は,駅よりも上流では1/150,狭窄部付近で1/400,眼鏡橋付近で1/600程度で,勾配に大きな変化があります.市街地は狭窄部の上下流に展開しています.
客員研究員 水谷武司