吉田川下流低地には,鳴瀬川の運搬土砂による閉塞によってつくられた大きな沼(品井沼)がかつて存在していました.現在は干拓されているこの凹状低地の最低地盤高は0.3mで,鳴瀬川よりも2~3mも低くなっています.1986年には吉田川本川堤防は4箇所で破堤し,図の範囲内の吉田川低地は全域浸水しました.旧品井沼低地では,湛水期間が11日に及び,本川堤防を開削して排水が行われました.図示した破堤の8日後の浸水域は明治初期の品井沼の範囲にほぼ一致します.
客員研究員 水谷武司