防災基礎講座:基礎知識編-自然災害をどのように防ぐか-
図4.5 1986年台風10号による郡山における阿武隈川の氾濫
阿武隈川の低地は河道近くほど低いという地盤高分布を示すので,氾濫した場合の浸水域はほぼ河道周辺に限られます.支流の谷田川(右岸側)の破堤による氾濫水は阿武隈川とに挟まれる袋状の低地に流入し,新設の工業団地を水没させました.ここは大正時代には阿武隈川が蛇行して流れていたところ,すなわち最近まで河原であった低地で,現在の地名(大河原,大州河原,下河原,水門町など)にもそれがよく示されています.左図において大きく屈曲する緑の線は,大正時代の地形図における阿武隈川河道です.右図は昭和6年測量の地形図で,切り離された旧流路が明瞭に残っています.
客員研究員 水谷武司