防災基礎講座:基礎知識編-自然災害をどのように防ぐか-
図2.1 台風17号による降雨量の分布
台風17号は九州南西方海上で48時間ほど停滞したため,その右前方に螺旋状につらなる強雨帯も停滞して,ほぼ南北に伸びる強雨域が出現しました.やはり南北に伸びる長良川流域とこの強雨域とが重なったため,長良川では記録的な出水となりました.南方海上からの湿った気流がぶつかる紀伊・四国・九州の南東部山地で雨が特に多く,そこから北へと強雨域が伸びています.徳島県・日早における日雨量1,114mmは日本における最大記録です.降雨の総量は834億トンであり,これは日本の陸地全域に230mmの雨が降った場合の量に相当します.
客員研究員 水谷武司