防災基礎講座:基礎知識編-自然災害をどのように防ぐか-
写真1.1 利根川破堤から50日後の空中写真 (1947年米軍撮影)
Aが破堤箇所で,Tは利根川(新川通),Wは渡良瀬川,Bは東武線鉄橋,Cは旧河道(浅間川),Kは栗橋です.破堤口の先から放射状に伸びる縞状の模様から洪水流の進行方向が分かります.その主流は右下の栗橋の方へ向かっています.冬の季節風を防ぐ目的で,北西側を屋敷林で囲んでいる家がこの地域には多く見られます.この屋敷林が,やはり北西からの洪水流を緩衝して,主流部分にあっても流失を免れている家が多く見られます.この後背低地内では約120戸が流失しました.旧河道Cに沿って連続するのはやや小高い自然堤防で,氾濫水はこれにより一時貯留され水位を高めました.中央の後背低地内の浸水深は最大で3.8mに達しました.なお,対岸の利根川と渡良瀬川とで囲まれる袋状の低地では,渡良瀬川の氾濫により最大6.4mの深さに浸水しました.
客員研究員 水谷武司