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防災科学技術研究所 自然災害情報室 - DIL

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災害予測編
  • 1.はじめに
  • 2.災害誘因
  • 3.河川洪水
  • 4.内水氾濫
  • 5.高潮
  • 6.斜面崩壊
  • 7.土石流・岩屑なだれ
  • 8.地盤強震動
  • 9.地盤液状化
  • 10.津波
  • 11.地震火災
  • 12.火山噴火
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防災基礎講座: 災害予測編-自然災害をどのように防ぐか-

防災基礎講座: 災害予測編-自然災害をどのように防ぐか-

4. 内水氾濫

雨水流出条件

図04_01_s

降ってきた雨水や周りの小高いところから流れて込んできた水が,はけきらずに地面に溢れるという洪水が内水氾濫です.内水氾濫が起きやすい土地は,凹状地など水が集まりやすく排水条件の悪い地形のところですが,市街地化が雨水流出条件をさらに悪化させて氾濫を激しくしているのが実情です.都市水害といわれているのは都市域における内水氾濫です.

流域の市街地化は,雨水を地表面に一時貯留する能力を小さくし,またそれを地中に浸透させにくくすることにより,流出率(降った雨の量に対する流れ出てきた水の量の割合)を大きくします.また,地表を流れる水流の速度を大きくします.この結果として,同じ強さの雨が降っても市街化前に比べピーク時の流量が多くなり,氾濫の規模が大きくなります(図4.1 市街地化による洪水流出の変化).市街地化はまた住宅・施設を多くして被害をより大きくします.

内水氾濫の危険地

図04_02_s

雨水がはけきらなくて溜まるという土地は,もともと排水条件の悪い地形のところで,かつては氾濫を緩和する働きをもつ自然の遊水地となっていた場所です.このような土地が市街地化されると遊水が有害水(水害)に変わり,大雨のたびに浸水する常襲地が出現します(図4.2 札幌北部低地の浸水頻度と地盤高).市街地には道路・鉄道・宅地盛土など流れを妨げる地物が多数に複雑に分布するので,地盤高が高いところでも湛水が生じます. 図04_03_s また,市街化の進展による排水条件の変化や排水施設の設置などにより,浸水域が経年的に変化します.危険度評価の基本データはコンター間隔1mほどの詳細な地盤高分布図ですが,道路・建物などの地物や下水道など排水施設の氾濫に及ぼす影響は,これだけでは簡単には分かりません.詳細等高線図は数値標高データにより作成できます(図4.3 愛知県・新川中流域の地盤高と2000年洪水).

図04_05_s

内水氾濫の生じやすい地形は
・後背低地・旧河道・旧沼沢地 - 平野中のより低い個所(図4.4 市街化地域の後背低地)
・砂州・砂丘によって閉ざされた海岸低地や谷底低地,とくに昔の潟(出口が閉ざされた入り海)を起源とする凹状低地(図4.5 砂州により閉ざされた海岸低地)
・市街地化の進んだ丘陵・台地内の谷底低地
・台地面上の凹地や浅い谷 - 道路・宅地盛土などが助長
・地盤沈下域,ゼロメートル地帯 - 排水条件悪化(図4.6 台地内谷底とゼロメートル地帯における浸水)
などです. 図04_06_s 内水氾濫は繰返し起こることが多いので,浸水履歴は危険度判定の手段になります.

客員研究員 水谷武司

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