2009年フィリピン台風災害調査速報
このページでは、2009年9月26日から10月初旬にかけてフィリピン、ルソン島を襲った台風オンドイ及びペペンの被害調査報告を掲載しています。本調査は、防災研究フォーラム『突発災害調査』として行われたものです。
11.結語
これまで述べてきた内容を短く概説する。1章から5章までは本調査の目的及び概要を記した。6章では、台風16号と17号の自然科学的特性について述べた。 特に、台風17号がフィリピンに甚大な被害を もたらした大きな原因の一つであると考えられる台風17号そのものとその次に発生した18号 との相互作用藤原効果に焦点をあてた。7章では、防災、災害からの復興、及びコミュニティの力について、防犯と防災の狭間やリセツルメントの観点を概説した。8章ではフィリピンの社会背景と災害対応の概略を述べた。社会背景としては、人口変化と貧困率をとりあげ、災害対応としては、フィリピンの国家的な災害対応の輪郭、特に、災害調整委員会(NDCC)の位置づけ、役割、及び組織について概説した。9章では、地すべり災害の概要と豪雨状況について現地調査で得られた情報をまとめた。10章では、発展途上国フィリピンの人口1000万人という大都市マニラ首都圏で発生した水害の概要を、その水文・土地環境の地域性という観点から、現地調査によって明らかになった点に焦点を当てて述べている。
以上のように、本調査報告では、現地調査で収集した情報をもとに、作成した。
本調査の目的:
① 収集された画像や動画を含む現地の災害状況の基礎的データを、後続の調査研究に役立つよう、体系的、系統的に整理すること。
② 詳細なハザード及び被害状況の時系列体系化データベースや、現地の人材及び関連機関データベースなどを作成し、Web上で公開すること
について、今回のWebはその初期的段階における成果の発表の場として位置づけている。今後は、まず、この英語版を作成し、現地で協力して下さった皆様への還元を行うこと、さらなる調査研究の成果を『主要災害』として刊行すること、などを中心に調査研究を継続して行う予定である。
【謝辞】
この度の台風災害により被災された方々に心からお見舞いの意を表しますとともに、一刻も早い復旧と復興をお祈り申し上げます。以下、この度の調査に際していただいた多大の支援とご協力をここに記し、チーム一同感謝の意を表します。
- 防災研究フォーラムには、現地調査を支援していただくとともに、事務局には、現地調査全般にわたりご協力をいただいた。
- NDCCのCrispina Abat、Ms.Sheena Opulenciaには今回の現地調査のカウンターパートとして、現地調査における政府機関等のインタビュー調査の調整をしていただいた。
- MMDAマニラ首都圏開発局のMr.Aldo Mayor、PNRCフィリピン赤十字のMs.Geraldine Repollo、JICAフィリピン事務所の永石雅史次長、 企画調整員(防災担当)の野村陽子氏、アジア開発銀行(ADB)のMr.Hisashi Mitsuhashi及びMr.Kimio TAKEYAには、お忙しい中インタビュー調査にご協力いただいた。
- バギオ市コミュニティラジオ放送局のMs.Rose Malekchan、Ms.Minda Licawenには、バギオ市周辺の調査に際して、機関間の調整や被災地の案内をしていただいた。
- バギオ市市長、レイナルド・バチスタ氏、コーディリア行政地域災害対策委員会のMs.Olive Luces、ベンゲット州知事室にはお忙しい中、インタビュー調査でご協力いただいた。
- CTiの田中元氏には参考となるDataを提供頂いた。
- 志賀和民氏には、現地調査全般を通して、現地における調査の支援をしていただいた。