2009年フィリピン台風災害調査速報
このページでは、2009年9月26日から10月初旬にかけてフィリピン、ルソン島を襲った台風オンドイ及びペペンの被害調査報告を掲載しています。本調査は、防災研究フォーラム『突発災害調査』として行われたものです。
4.バギオ市・ベンゲット州における調査概要
1)フィールド調査
1.調査地:バギオ市内土砂災害被災地、ベンゲット州土砂災害被災地、バギオ市内浸水地域
2.概要:山地に発達する都市バギオ市は、台風ペペンによる大雨で、市内各地で土砂災害や洪水災害が発生した。急斜面には多くの家屋が立ち並び、そこで発生した斜面崩壊により家屋被害や人命被害が発生した。またキャニオン道路などの幹線道路沿いで発生した多数の法面崩壊は、バギオ市を5日間、陸の孤島とした。そのなかでも、最も大規模なものが、85名の死者を出した(2009.9.10現在)ベンゲット州ラ・トリニダードにおける大規模な土砂崩壊であった。
また、浸水地域の調査では、市民の廃棄するごみによる排水路閉塞や道路等の構造物による谷の閉塞による排水不良などが、低地を浸水させる要因となっているとともに、住民の浸水危険地帯への不法占拠が被害を大きくしている状況を調査した。
2)インタビュー調査概要
1.バギオ市市長室では、バギオ市長のレイナルド・バチスタ氏によりバギオ市の抱える問題、及び将来の展望について話を聞いた。その中で、バギオ市の抱える問題として、気候条件、松の木の地滑りや土砂崩れへの耐性の問題、急速な人口増加への対策、及び鉱山開発の禁止などが挙げられていた。さらに、バギオ市は地震災害に対する脆弱性もあり、1990年のルソン地震の被災地であることや市内に断層が三つもある現状についての指摘もあった。
2.バギオ市災害対策本部では、災害時の緊急対応について話を聞くとともに、災害に関するデータ収集を行った。
3.MGB(Mines & Geosciences Bureau)では、ハザードマップを入手するとともに、バギオ市の90パーセントが地滑りや土砂崩れの危険地域である現状を確認した。
4.コーディリア行政地域(Cordillera Administrative Region)災害対策委員会(RDCC:Regional Disaster Coordinating Council)では、コーディリア地域の災害対応のスキームについての話を聞いた。災害対策の組織構造としては、例えば災害情報のフローは次のようになっている。国家災害対策委員会(NDCC)→民間防衛局(OCD)→地方災害対策委員会(RDCC)→州災害対策委員会(PDCC)→市町村災害対策委員会(MDCC)→ バランガイ災害対策委員会(BDCC)→バランガイ市民である。
5.ベンゲット県知事室では、ベンゲット県における土砂災害の被災状況や災害対応について話を聞いた。