防災基礎講座: 災害予測編-自然災害をどのように防ぐか-
図10.9 津波ハザードマップ
リアス式である三陸海岸の湾奥にあって,津波の危険が大きい岩手県・釜石は,明治三陸津波で流失・全壊家屋615戸,死者3,765人,昭和三陸津波で流失・全壊家屋301戸,死者361人という大被害を被りました.青色で示されている津波浸水危険域は,最大波高7.9mであった明治三陸津波の到達限界(赤線)に基づいて決められています.津波は緊急の避難が最も必要とされる災害で,より高いところへすぐさま駆け上がることが求められます.避難場所は,周辺の高台にある校庭,公園,神社境内などに定められています.各種の防災地図(ハザードマップなど)に記されている避難所の大部分は,一時的に身を寄せるいわば収容施設ですが,津波の場合にはまさしく緊急に危険を回避するための場所です.
客員研究員 水谷武司