兵庫県南部地震では,六甲山地に平行して伸びる細長い地域に建物全壊率30%を超えるゾーン(震度7の「震災の帯」)が出現しました.余震の震央分布に示されるように,この帯状の高被害域は断層との関係はなく,湾曲する基盤面で地震波が屈折・反射した結果(焦点効果など)によるものと考えられています.一般に,盆地の端のような地層構成のところでは,基盤と沖積層の境界での屈折波や側面基盤からの反射波が集中して,震動が大きくなる場所が現れます.
客員研究員 水谷武司