通常,扇状地の谷は扇頂部を削り込んで流れ,下流に向かい次第に浅くなっていきます.土石流は谷床の高さが扇状地面とほぼ同じ高さになるところから溢れ,扇形に広がって流れます.谷の直下流の部分は最も危険なところです.段丘化したところは安全です.下の図は,1966年の台風26号により富士山北麓の西湖地区で生じた土石流を示すものです.土石流は3基の砂防ダムを乗り越え,ほぼ直進して流下し,谷の直下方向にあった52戸の家を破壊しました.
客員研究員 水谷武司