防災基礎講座: 災害予測編-自然災害をどのように防ぐか-
図5.5 伊勢湾台風の高潮浸水域
濃尾平野南西部には広大なゼロメートル地帯が広がっているので,伊勢湾台風の高潮は海岸から最大20kmのところまで侵入し,300平方kmのデルタ低地が浸水しました.木曽川河口部では浸水深が6m近くにもなり,海面下の沿岸干拓地では浸水日数が80日以上にも及びました.非常に低平なデルタ地域では,その浸水限界標高はほぼ0mでした.海岸での最大潮位は3.9mであったものの,内陸へ進入するにつれ浸水位はしだいに低下し,結局0mのところで停止しました.これに対し幅1km以下の狭い海岸平野では(図の右下など),ほぼ最大潮位までの標高域が浸水し,多少の這い上がりを示したところもありました.
客員研究員 水谷武司