防災基礎講座: 災害予測編-自然災害をどのように防ぐか-
地形の簡単な調べ方
地形の専門用語は別として,いま居る場所が山腹であるか谷底か,海沿いの低い土地か 一段と高いところにある高台かといった大まかな地形は,見通しの開けたところであれば,目で見,多少歩き回ることでもわかります.もうすこし詳しく地形を知る一般的な方法には,次のようなものがあります. 日本全域について作成されていて書店などで入手できる地形図に,国土地理院作成の2万5千分の1と5万分の1の縮尺の地形図があります.地形図では高さが等高線によって表現されています.等高線の高さの間隔は,2万5千分の1で10m,5万分の1で20mですが,平野のような傾斜の緩やかなところでは,この1/2あるいは1/4の高さ間隔の等高線が描かれています.数は少ないのですが,三角点や水準点のようなところでの高さがやや詳しく記されています.実距離は図上での長さに縮尺の分母を掛けたものになります.こうして得られる高さと距離とから,斜面の傾斜角,崖の高さ,平野の勾配,河や海からの距離と比高などの,災害の危険性に関係する基礎的な地形量が求められます.もっと詳しく高さを示している地図には,縮尺1万分の1の地形図がありますが,これがつくられているのは主な都市域だけです.
平野のように勾配の緩やかなところや,いろいろな地図記号や地名などが書き込まれている市街地域では,等高線を色鉛筆で色づけすると,等高線の位置と配列のしかたが分かりやすくなります.また川や水路を色づけすることも地形を判定するのに役立ちます.等高線で表されないような小さな起伏は,集落・林地・畑・水田など土地利用状態を色分けして示すと,浮かび上がってくることがあります.とくに古い地形図を使うと,この方法が役立ちます.水田は低いところに,集落や畑はより高いところにあるのが普通です.等高線の配列のしかたからは,谷間や凹地といったような排水や地盤の悪い場所がわかります.河が曲がっているところ,河幅が狭くなっているところ,合流しているところなど,氾濫が生じやすい河の地形は地図から容易にわかります.
平野における洪水では,数十cm程度の地盤高の差でも,浸水するしないの違いになって現れることが多いものです.かなり離れたところにある河床や水田からの比高などを直接測る簡単な方法に,重りつきの紐を取り付けた三角定規などで見通す,という方法があります.距離は自分の歩幅を調べておいて歩数で測ることができます.飛行機が飛びながらカメラを下にまっすぐ向けて,撮影範囲が重なるように連続的に撮った航空写真では,広い範囲の地表を立体的に見ることができるので,地形の調査には欠かせません.練習すれば道具なしの肉眼でも立体的に見ることができます.
平野における洪水では,数十cm程度の地盤高の差でも,浸水するしないの違いになって現れることが多いものです.かなり離れたところにある河床や水田からの比高などを直接測る簡単な方法に,重りつきの紐を取り付けた三角定規などで見通す,という方法があります.距離は自分の歩幅を調べておいて歩数で測ることができます.飛行機が飛びながらカメラを下にまっすぐ向けて,撮影範囲が重なるように連続的に撮った航空写真では,広い範囲の地表を立体的に見ることができるので,地形の調査には欠かせません.練習すれば道具なしの肉眼でも立体的に見ることができます.
台地や三角州といった地形の種類を示した地図を地形分類図といいます.これはいろいろな縮尺で全国について作られており,図書館などで見ることができるでしょう.
客員研究員 水谷武司