2006.3.24自然災害情報学習会

第9回 大洋を横断して地球の裏側をも襲う巨大地震による遠地津波

-1960年チリ地震津波,2004年インド洋大津波など-

1960年5月23日午前4時すぎ(日本時間),南米・チリ南部でマグニチュード9.5という史上最大の規模の巨大地震が起こりました.これによって生じた津波は太平洋の真中をほとんど衰えることなく高速で横断して,22時間半後に日本沿岸に到達しました.津波の高さの最大は三陸沿岸で8mに達し,全国で死者139,建物の流失・全壊2,830棟などの被害が生じました.日本からみてチリは,太平洋の対岸にあたり,また地球のほぼ裏側に位置するので,津波のエネルギーは日本近海で収斂して(converge)高くなります.このような遠地津波(tsunami from far field)では,震動(earthquake tremor)が感じられないので不意打ちとなります.周囲に地震帯(seismic belt)をつらねる太平洋では,幾度も遠地津波被害を被っているハワイをセンターとする早期警報システム(early warning system)がつくられました.2004年のスマトラ沖地震はインド洋を伝播する大津波を引き起こしました.インド洋には津波警報システムがなかったこともあって,死者が30万人にも達しました.津波警報がタイミングよく出されたとしても,広大な海岸の全域にくまなく伝わるという保証はありません.土地環境を認識し自らの判断と行動で津波の危険を回避する,という対応が必要です.

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