2005.9.6自然災害情報学習会

第3回 沿岸砂丘列によって閉ざされた潟起源の平野における連続洪水

-新潟・加治川の氾濫:1966年7月豪雨,1967年8月羽越水害-

新潟平野の北部を流れる加治川は,河道がS字状に屈曲する地点において,左右両岸の同一個所が2年連続して破堤しました.氾濫水は,沿岸の砂丘列によって海への流出が阻まれて,潟起源の低地(lagoonal lowland)に流入して長期間滞留(storage)しました.新潟平野は,海が内陸に閉じ込められてできた潟が,多数存在する低湿な平野(swampy plain)です.冬の強い季節風による波が荒い日本海沿岸では,多量の砂が浜に打ち上げられて砂丘(sand dune)が形成されます.新潟平野では砂丘列が多いところでは10列,全体幅が20kmにもなっています.河川の出口はこの沿岸砂丘列によって塞がれるので,まっすぐに海へ流入することができません.このため多数の人工放水路がつくられました.新潟平野の基盤(basement)は大きく沈降(subsidence)しており,沈降速度は日本の平野中最大です.近年では地下水汲み上げによる地盤沈下(man-made land subsidence)が平野地盤高をさらに低くしています.このようなタイプの平野を流れる河川が氾濫した場合には,氾濫水は潟起源の低地に流入して,長期間湛水します.

[自然災害情報学習会トップページ自然災害を学ぶトップページ自然災害情報室]