2007.3.28自然災害情報学習会

第21回 大規模な山崩れや地すべりでは種々の明瞭な地変現象がその発生に先立って生ずる

-1963年ヴァイヨンダム地すべり,2006年フィリピン・レイテ島山崩れなど-

1963年10月9日夜,イタリア北部のアルプス山中に3年前に完成したばかりのヴァイヨンダム(高さ260m)のダム湖左岸で,土砂量2.4億km3の巨大地すべりが発生しました.地すべり土塊の突入により跳ね上がった大量の湖水は,堤頂上を100mの高さで乗り越え,ダム下流の峡谷を深さ数10mの奔流となって流れくだり,約2600人の死者をだしました.地層構成が不安定なところへ,貯水開始による水位上昇が加わって斜面のクリープが生じ,1960年には小規模の地すべりも起こっていました.クリープの速度は直前には1日数10cmにもなっていました.このため多数の人が監視にあたってはいたのですが,大被害の防止はできませんでした.2006年2月17日,フィリピンのレイテ島において高さ800mの山が土砂量約2千万m3の大きな崩壊を起こし,1144名の死者をだしました.この発生に先立ち尾根上でのクラック発生と降雨の浸透が進行していました.1975年の長野市地附山地すべりでは,早くから地変が認められていたにもかかわらず,26名の死者をだしました.大崩壊の発生に先立つ異常地変を早めに発見し,その拡大進行を監視し危険域を予測して,人の被害を防ぐことが必要です.

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