2007.2.28自然災害情報学習会

第20回 高い津波がいち早く襲来するので緊急避難が最も必要な海岸には警報は間に合わない

-1896年明治三陸津波,1933年昭和三陸津波,1944年東南海地震津波など-

大きな被害をもたらす高い津波はM8クラスの海溝型巨大地震によって惹き起こされます.日本列島周辺では,北海道・東北地方の太平洋岸沖につらなる千島海溝~日本海溝沿いで巨大地震が最も頻繁に発生しています.この海域に直面する三陸海岸はリアス式であるという海岸地形の条件が加わって,しばしば大きな津波災害を被っています.1896年の明治三陸津波は,津波到達高が最大で38mにも達し,死者2.2万人という著しいものでした.37年後の1933年に三陸沿岸は再び大きな津波に襲われました.このときは強い震動が感じられたことと明治の大津波災害の経験が生かされたことなどにより死者は少なかったのですが,それでも3千人でした.近地津波は早いときには地震後5~10分で海岸に到達します.この津波に対しては,寸秒を争って高所に駆け上がるという緊急退避行動がとり得るほぼ唯一の手段です.津波が最も高くなる海岸には最も早く津波が到達します.この非常に短い時間内に外部からの情報が効果的に伝わるという前提にたつのは危険です.津波に関する正しい知識を持ち,いま居るところの土地の環境を知って,自らの判断と行動により津波の危険を回避する必要があります.

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