2007.1.24自然災害情報学習会

第19回 地盤条件は地表における地震動の増幅度を決め地震被害の規模を規定する基本的な要因である

-1891年濃尾地震,1923年関東地震,1985年メキシコ地震など-

未固結砂泥層のような軟らかい地層中では地震波の伝わる速度が,地下の岩盤中のそれに比べ大きく低下し,その結果として地震の揺れが増幅されます.また軟らかい地層の固有周期が地震の卓越周期に一致することが多く,さらには一般の建物の固有周期ともほぼ一致するので,共振現象によって地震動が一層増幅され,多数の建物が破壊を受けます.1891年の濃尾地震(M8.0)では14万戸の住家が全壊しました.震央近くでは強震動により住家倒壊率は100%近くでしたが,震央から離れるにつれ地盤による倒壊率の差が大きくなり,震央距離50kmのところでの倒壊率は沖積低地で80%程度,台地・扇状地で8%,丘陵地では3%でした.1923年の関東地震(M7.9)のときには,東京の山の手台地上では住家全壊率が1%程度であったのに対し,沖積層の厚い荒川低地では30%を超えました.1985年のメキシコ地震では10階建て前後のビルが集中的に倒壊しましたが,これはメキシコ市域が載る軟弱な湖成層の固有周期と一致して共振が生じたためでした.地盤条件の把握は地震対策の基礎です.住家損壊の規模は人的被害や火災の規模を決め,さらには社会的影響の大きさにも関係します.

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