2006.12.20自然災害情報学習会

第18回 富士山型の成層火山は幾度も巨大崩壊を起こし山麓の流れ山として記録されている

-1888年磐梯山噴火,1980年セントヘレンズ噴火など-

富士山型の成層火山は,溶岩や火砕物が山腹傾斜の方向に幾重にも層をなし急勾配で重なっているので非常に不安定であり,噴火や地震を引き金として大崩壊を起こします.1888年に磐梯山の北面が水蒸気爆発により大崩壊し,山体の上部が吹き飛んでしまいました.1.2km3の崩壊物質は北麓に流下して川を堰きとめ多数の湖をつくりました.この岩屑なだれや爆風による死者は518でした.近年では,1980年にアメリカのセントヘレンズ火山が巨大崩壊と大噴火を起こし,山体が裏磐梯と同じような形に一変しました.このような山体崩壊は特殊なことではなく,十万年以上におよぶ火山の一生の中では何度も起こる現象です.山体崩壊は大きな馬蹄形カルデラを山頂部に,流れ山とよばれる多数の小丘を山麓につくるので,かつてそれが起こったことがよくわかります.日本の火山では17世紀以降で4回これが起こっています.岩屑なだれが海に突入した場合には津波が発生しています.約5,000年前に磐梯山南面は1888年を上回る規模の崩壊を起こし,岩屑なだれは河流を堰き止め猪苗代湖をつくりました.発生の頻度は小さいのですが,火山体崩壊は大きな被害を惹き起こします.

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