2006.10.25自然災害情報学習会

第16回 地盤液状化による建物の損傷は比較的ゆっくりと進行するので人への危害力は小さい

-1964年新潟地震,1983年日本海中部地震,1995年兵庫県南部地震など

1964年の新潟地震により多数のRC建物が上部構造に損傷を受けないまま傾斜・沈下したので,これを惹き起こした地盤液状化が一躍注目されるようになりました.ただし液状化はそれ以前にも強い地震のたびに起こっています.液状化は,地中水で満たされた締まりの緩い砂質層が強い振動を繰返し受けると起こります.液状化すると砂を含んだ水が地表に噴き出し,地層の中身が抜け出ます.これにより地盤の亀裂・陥没・流動などが生じますが,この地盤変形はゆっくりと進むので,建物の変形・損傷も強震動による場合と異なり比較的ゆるやかに進行します.したがって人への危害力はわずかです.東海地震の被害想定では,液状化による住家全壊は3万棟,死者はゼロとされています.1995年兵庫県南部地震では大阪湾沿岸の海岸埋立地が全面的に液状化し,港湾施設の被害額は1億円にも達しました.河川や海岸の埋立地は液状化の最もおこりやすい土地です.地震の主力であるS波は液体中を伝わらないので,液状化は地震動を減衰させます.兵庫県南部地震では,液状化により地表での最大加速度が60%に低下したという強震記録が得られました.液状化はいわば免震効果をもっています.

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