2006.9.26自然災害情報学習会

第15回 巨大噴火による火砕流は全自然災害中で最大の被害を惹き起こす可能性がある

-1991年雲仙火砕流,1991年ピナツボ火山噴火,1902年モンプレー火山噴火など-

九州・島原半島の雲仙岳が1990年11月に噴火を開始し,91年の5月下旬からは山頂部東端に成長した溶岩ドームの崩落による火砕流が発生するようになりました.6月3日には山頂から4.3kmまで到達した火砕流が発生し43人が亡くなりました.溶岩ドームは成長を続けたので火砕流は引き続き発生して,その回数は94年の噴火終息までにおよそ1万回に達しました.最も大きかった93年7月の火砕流は東面の水無川を5.6km流下しました.火砕流による住家全半壊は合計で269棟でした.この溶岩崩落型火砕流は規模が小ですが,火口から立ち昇った噴煙柱が崩れ落ちて生ずる火砕流は規模が大きくなり,巨大噴火では到達距離が100kmを超えます.阿蘇山の7万年前の噴火では最大で180kmに達しました.火砕流は高温(500℃以上)かつ高速(時速100km程度)で長距離流動するので大きな被害をもたらします.20世紀における死者1000以上の火山災害11件中の8件は火砕流によるものでした.1902年のモンプレー火山の火砕流は2.9万人の死者をだしました.日本には巨大火砕流の発生を示す大カルデラと広い火砕流台地が多数あり,頻度は非常に小さいものの今後も起こることは確実です.

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