2006.8.29自然災害情報学習会
内水氾濫の常襲地は大雨時の雨水を貯留して洪水を抑制する役割の土地
-2000年東海豪雨,1972年7月豪雨,1966年台風4号,1958年狩野川台風などによる都市内水災害-2000年9月11~12日,愛知県下は台風14号と秋雨前線(autumn rain front)の活動により,最大24時間雨量535mm,最大1時間雨量93mmという記録的な豪雨に見舞われました.低平地に強い雨が降れば,雨水ははけきらずに地面に溜まり,また,それを排水(drain)する水路や小河川は溢れます.このような浸水を内水氾濫(inland flooding)といいます.この内水氾濫などにより,愛知県全体で63,440棟の住家浸水が生じました.内水氾濫が繰り返し起こる排水条件のわるい土地は,強雨時の雨水を一時的に溜めて周辺や下流域の浸水を抑制する役割の土地です.ここが市街地化されると,自然の遊水(water storage)が水害をもたらす有害水へと逆転します.市街地化(urbanization)はまた,雨水貯留能(storage capacity)の低下,不浸透域(impermeable area) の増大,地表面粗度(surface roughness)の減少などによりピーク流量(peak discharge)を大きくして,内水氾濫を激しくします.このため,大きな内水氾濫災害は大都市域で起こっています.1958年の狩野川台風は東京に最大日雨量393mmという既往最大の豪雨をもたらしました.これにより東京・神奈川・埼玉において住家浸水43万戸の大被害を惹き起こしました.都市の内水災害は1980年代以降減少傾向にあります.