2006.7.25自然災害情報学習会

高潮による人的被害は世界的に最大規模であるがこれを大きく減らすことは不可能ではない

-大阪における1934年室戸台風・1950年ジェーン台風・1961年第二室戸台風の高潮災害-

1961年の台風18号は「超大型」で「猛烈な」という勢力で室戸岬に上陸し,14時ごろ大阪の西方を通過して大阪港に4.1mの高潮を惹き起こしました.このコースと災害の状況は,死者3,000などの大きな被害をもたらした1934年室戸台風によく似ていたので第二室戸台風と名づけられました.この台風の勢力は,死者5,000という最大の風水害被害を惹き起こした1959年伊勢湾台風の勢力を上回り戦後最大でした.しかし,死者総数は200で伊勢湾台風のそれを大きく下回りました.高潮被災市町における死者数は伊勢湾台風ではおよそ4,000であったのに対し第二室戸台風では30で,高潮による人的被害がほとんど無かったことが際立ちました.この大きな違いは大阪臨港部が室戸台風・1950年ジェーン台風などたびたび高潮浸水を被っていて土地の危険性(vulnerability)がよく認識されていたことと,2年前の伊勢湾台風による大高潮災害の教訓が働いて,多数市民が適切な避難行動を行ったことによるものでした.災害経験(hazard experience)は避難(evacuation)を促進する最大の要因の一つです.しかしこの効果はすぐに風化します.災害を忘れないようにしてやってこさせないことが必要です.

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