2006.4.25自然災害情報学習会

ユーラシア大陸東岸に位置する島国日本は冷夏による災害を地球上で最もうけやすい

-1993年平成大凶作,1783~88年天明大飢饉など-

日本は,ヒマラヤ・チベットの高山岳域があるユーラシア大陸の東岸に位置する島国です.また,モンスーン気候下にありイネを主食穀物として栽培しています.北の極気団(polar air mass)と南の亜熱帯気団(subtropical air mass)の境界上のジェット気流(jet stream)は,この高い山岳によって流れが乱されて,風下の東岸域で大きな波動を起こします.夏季にこの波動により極気団が南へ大きく張り出してブロックされると,低温と悪天候が続きます.亜熱帯原産のイネは小麦の2倍もの(積算)温度を必要とするので,夏の低温と日照不足は大きな障害になります.冷夏は数年に1回程度の頻度で起こるので,日本はとりわけ東北地方は,昔から寒い夏による凶作(poor harvest)に苦しめられてきました.江戸時代における享保・天明・天保の3大飢饉(famine)はとくに悲惨なもので,それぞれ100万人規模の死者がでたと推定されます.1993年の冷夏では水稲の作況(estimated crop yield)指数が全国平均73という大凶作になりました.しかし,餓死者などはむろんありませんでした.凶作が飢饉にまで発展するか否かは社会経済的条件によります.今後日本で冷夏による飢饉が起こらないという保証はありません.

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