2005.7.5自然災害情報学習会

第1回 河道付替え前の自然流路に従って流下した氾濫流

-利根川の破堤洪水:1947年9月カスリン台風-

1947年9月16日,カスリン台風の大雨により利根川の堤防は関東平野の中央部で大規模に破堤しました.利根川の現在の河道は,江戸を洪水から守るなどの目的で17世紀に人為的に東へ向きを変えられました.このため氾濫水は,自然の地形に従って現河道から離れ,以前の流路に沿って南方へ流れ,3日後に東京湾に流入しました.これにより600の家屋が破壊され15万の家屋が浸水を被りました.関東平野は地殻運動(crustal movement)により,中央が窪むという沈降(subsidence)を行っています.沈降の軸は平野中央部と東京湾をつなぐ方向にあります.利根川はこの(沈降の)軸に沿って流路をとるのが最も自然な状態で,昔の利根川はこの方向に流れていました.今回の洪水だけでなく,江戸時代から昭和にかけて何度も起こった利根川大洪水は,いずれもこの方向をたどって江戸や東京に流入して大きな被害を惹き起こしました.

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