ペン画集 避難から歸還迄(著:太田政之助)
はしがき「私は素人である.画家としての経験は,今年の春市内某新聞社へ2,3か月漫画記者としてその末席に座っただけ,そして四谷の或る印刷所の二階にくすぶっていると…」
このようなはしがきから始まる本画集は,筆者である報道画家 太田政之助が1923年9月5日に病気の夫人を連れて関西へ避難し,同年9月28日に東京へ帰るまでの1ヶ月を描いたものです. 特に地震発生の瞬間の様子は非常に臨場感があり,地震後火災前の東京市の様子は,写真にはあまり残されていない貴重な記録と言えます.
本文は見開きの右側が文章,左側が著者本人が描いたペン画という構成になっており,筆者の見聞が描かれています.
- 資料概要
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- 資料名:ペン画集 避難から歸還迄
- 著者:太田政之助
- サイズ:186mm×268mm,全59頁
- 発行:1923年11月28日
- 目次
- 表紙・はしがき
- 福田・山梨新舊戒厳司令官の更迭
- お巡りさんに助けられた人
- 地震の瞬間
- 之れは大変
- 電車道へ
- 十二階が倒れた
- 浅草
- 九段坂上から見た火事
- 電車の中も火攻め
- 悲惨なる隅田川
- 船まで呑まれて
- 日本橋
- 救助の手
- 食糧の不足
- 地方青年団の救援
- ○○騒ぎと自警団
- オゝ兵隊さん
- 疲れ切ったお巡りさん
- お濠の行水
- 都をあとに落ち行く人々
- 命がけの汽車
- 屋根から屋根へ乗り移る女の群れ
- 汽車で死ぬ人
- 嬉しかった高崎市民の好意
- 東京からの汽車を待つ人々
- 見送って呉れる人
- 何うして流言蜚語があの様に津々浦々へ響いたか?
- 帰還・奥付