関東大震災資料:「日本電報(大正12年9月2日~10日着電)」

自然災害情報室では,関東大震災(1923(大正12)年9月1日,M=7.9)に関連する災害資料(約200点)を所蔵しています.その中でも,日本電報(大正12年9月2日~10日着電)は特に貴重な資料です. このページでは「日本電報」の紹介と電報記事のPDF画像,および書き下し文の一部を公開します.

資料の希少性について
この「日本電報」は,通信社から新聞社に配信する速報を綴じたものです.この資料は,新聞記事になる前のオリジナルの情報源であり,また,社内資料のため一般に出回る機会が少ないものです. これらを鑑みて,内外の関連機関を通じて資料調査を行った結果,本資料の存在は非常に希少であることが判明しました.
資料紹介リーフレット:関東大震災資料「日本電報」について(PDF, 5.05MB)

資料の紹介

日本電報表紙

資料の概略
「日本電報」は,日本電報通信社大連支局が受信した速報(1923(大正12)年9月2日~10日着電)を中国大連の邦字新聞社に配信したものです.この資料は,株式会社電通(※)にも現存しないものです.
※1936年に日本電報通信社から広告部門を引き継ぐ

資料外観
表紙には日本電報の切り抜きのロゴが貼られ,1923(大正12)年9月2日から9月10日までの複数日分の配信記事が右綴じで1冊に綴じられています.一枚一枚の電報はB5版より一回り小さい色紙(163mm×240mm)で,手書き原稿のガリ版です.

資料内容
電報の大半の発信元は日本国内で,その内容は関東大震災の状況を伝える情報です.日本国内の複数の支局から着電しているため,同じ内容の記事が存在します.一部,欧州からの入電もあります.
災害に関する情報には,火災,土砂災害,海嘯(津波),都市の様相などの被害情報のほか,皇族・貴族の安否情報,軍部,警察の情報や流言などが含まれています.

表1:日単位の記事数
日付 記事数
2日76
3日81
4日79
5日37
6日39
7日34
8日32
10日15
合計393

資料の構成
1923(大正12) 年9月2日午前1時の着電から記事が始まります.一日の着電数は多い日には81件に及びます(表1).
各日ごとに表紙があり,1923(大正12) 年9月6日までの表紙は白紙にスタンプを押しただけのものです.同年9月7日以降は号数のついた日刊紙の体裁となります.同年9月8日日曜日は収録されていません.翌9日月曜日の号数は7日土曜日からの連番になっています.

参考文献

発行記事

収録された電報の中から,1923(大正12) 年9月2日および同年9月3日の記事の一部について,書き下し文をつけて紹介します.紹介する記事には,津波の発生や被害状況を伝える内容が記載されています.

1923年9月3日発行記事
日本電報9月3日急の3

関連リンク

1923年関東大震災企画展トップページ]