防災基礎講座
Ⅰはじめに
Ⅱ気象災害 
  気候帯
  低気圧
  降雨地帯
  乾燥地帯
  冷夏災害域
Ⅲ地震・火山災害
  プレート構造
  地震帯
  地震災害
  火山帯
  噴火災害
Ⅳ社会経済環境
  社会水準
  経済被害
Ⅴ世界の災害
  概要
  アジア
  ヨーロッパ
  アフリカ
  北アメリカ
  南アメリカ
  オセアニア
Ⅵ日本の災害
 概要
 北日本
 東日本
 西日本

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4. アフリカ

自然条件・社会環境

 アフリカ大陸のほぼ全域は,ここ数億年のあいだ地殻変動のほとんどない安定大陸です.造山帯はわずかに大陸北西端に,ユーラシアプレートとの衝突によるアトラス山脈があるだけです.大陸東部には紅海から続く大地溝帯が南北に走っています.ここでは大陸地殻が東西に引き裂かれ,これに伴う地震活動があり,火山が分布しています.(5.5

 大陸北半部には亜熱帯のサハラ砂漠があり,この赤道側にはステップおよび広大な熱帯サバンナが広がっています.サバンナは草原の中に樹木が点在する景観を示し,雨は少なく乾季が著しいため森林が生育できない気候です.熱帯サバンナは南部のナミブ・カラハリ砂漠の赤道側にも広がっています.熱帯雨林地帯は赤道付近の大陸西半部に限られます.他の大陸とは違い大陸東岸で雨が少なく,一部は砂漠にもなっています.強い熱帯低気圧は大陸の東南沖にあるマダガスカル島に多少やってくる程度です.このようにアフリカはかなり乾燥した大陸です.したがって,突発的災害の危険性が小さい自然条件にあるのですが,一方,持続的な災害である砂漠化・干ばつの危険は非常に大です.これは社会経済条件の劣悪さからさらに著しくなっています.

 国民一人当たりGDPの非常に小さい低所得国はここアフリカ,とくにサハラ以南に集中しています.幼児死亡率は大きいものの出生率もまた大きく,人口増加率は6大陸中で最大です.この増加人口の多くは脆弱な環境の砂漠周辺域などに進出して,災害ポテンシャルを大きくしています.人口増加による食料需要増・薪炭需要増・家畜増加は,森林伐採・過剰放牧などにより植生を破壊し,土壌を荒廃させ,乾燥化をもたらす原因になっています.多くの国では部族対立・宗教紛争などによる絶えざる内戦によって,難民は大量に発生し政治・経済・社会は混乱して,災害が起こった場合の被害は拡大し,その影響は長期化・深刻化しています.干ばつは世界的な災害で,雨の少ない大陸地域を中心に大きな経済被害を引き起こしていますが,多くの死者(餓死・病死)の発生となるとほぼアフリカに限られます.

気象災害

 近年,深刻な干ばつはサヘル地域で起こっています.サヘルはサハラ砂漠の南縁にある半乾燥地帯で,北緯12~18°に位置し,幅500km前後の帯状域です.西からモーリタニア・セネガル・マリ・ニジェール・チャド・スーダンの貧しい国が並んでいます.さらにこの東にはエチオピア・ソマリアという一層貧しい国が続いています.年降水量は南部600mm,北部200mmで,これは安定農耕限界の約550mmをほぼ下回っています.

亜熱帯高圧帯の低緯度側に位置するので夏雨地帯であり,1年のうち7~9月だけに降雨があります.この季節にギニア湾からの湿った気流(ギニアモンスーン)が北上し,北の砂漠から吹き出す高温で乾燥した北東風(ハルマッタン)とぶつかって積雲群(スコールライン)を形成して雨をもたらします.このスコールラインがサヘルまで到達しないか,あるいは到達しても活動が弱いと,雨不足と干ばつになります.これは10年に1回程度の頻度で起こっています.近年では,1982~85に100万人以上(エチオピア・ソマリアを含む),1968~73にはおよそ40万人の死者がでました.なお,この死者数は資料によって大きな違いがあります.

 強い熱帯低気圧はマダガスカル島に来襲します.2004年3月に死者約400の災害が起こっています.降雹の年平均日数は日本では多いところで2日程度ですが,アフリカや南米の熱帯高地では100日に達するところがあります.砂漠化(植生の減少・土地の乾燥化)は砂漠の周辺域で進行しており,これに伴う砂嵐,塩害,干ばつなどが激しくなっています.

地震・火山災害

 地震活動の大部分は北西端のアトラス山地域のアルジェリアとモロッコで起こります.規模は7ぐらいまでですが,直下型の地震であり,半乾燥地帯で日干しレンガや石積みの家が多いので,完全崩落して大きな被害を引き起こします.アルジェリアでは1600年以降に死者100人以上の地震災害が13回起こっています.1980年のエルアスナム地震はM7.3で死者3,500,2003年のアルジェ近郊の地震はM6.8で死者約2,000でした.遮熱のため屋根を厚くし砂をかぶせているので被害が大きくなっています.モロッコでは1960年アガディール地震M5.9で死者13,000の大きな被害が生じました.約400km沖の大西洋が震源の1755年リスボン地震はM8.5と巨大であったので,モロッコとアルジェリアで数千の死者がでました.

 火山災害で特異なものに,カメルーン北西部にある多数の火山湖の一つのニオス湖で起きた1986年の火山ガス災害があります.この湖の周辺の住民約1700人が多数の家畜とともに死亡しているのが発見され,谷間に被害域が広がっていることなどから,湖から放出された二酸化炭素が原因と推測されました.大地溝帯には約20の活火山があります.ここでは1977年に溶岩流や火山ガスによる死者約2,000の噴火災害が起こっています. 




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