防災基礎講座
Ⅰはじめに
Ⅱ気象災害 
  気候帯
  低気圧
  降雨地帯
  乾燥地帯
  冷夏災害域
Ⅲ地震・火山災害
  プレート構造
  地震帯
  地震災害
  火山帯
  噴火災害
Ⅳ社会経済環境
  社会水準
  経済被害
Ⅴ世界の災害
  概要
  アジア
  ヨーロッパ
  アフリカ
  北アメリカ
  南アメリカ
  オセアニア
Ⅵ日本の災害
 概要
 北日本
 東日本
 西日本

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Ⅴ 世界の自然災害

1. 地域別災害の概要 
 被害の大きい災害が最も多く発生しているのは,東南アジアから南アジアを経て西アジアに至る帯状域です.次いで多いのは中米・カリブ海諸島・南米北西部の地域です.これらはすべてプレート収束境界であり,さらに,熱帯多雨域,ハリケーン来襲域,低所得国の多い乾燥地帯のどれかにあたります.(5.1

 1970~2010年に起こった死者数2000以上の50件の大災害(総死者数は約300万)についてみると,東南アジアから西アジアに至るアジア南縁帯において件数で68%,死者数で56%を占めています.この地帯には世界人口の約半分が住んでいます.大災害が多い国としては,東からフィリピン・インドネシア・中国・ミャンマー・バングラデシュ・インド・スリランカ・パキスタン・アフガニスタン・イラン・アルメニア・トルコなどの国があります.持続的災害である干ばつおよび熱波を除く突発的災害(地震・暴風雨など短時間の現象による災害)に限ってみると,この死者数比率は81%にもなります.アメリカ中央地域では件数で18%,死者数で14%です.この地域で大災害の多い国はメキシコ・グアテマラ・ニカラグア・ホンジュラス・ハイチ・ベネズエラ・コロンビア・ペルーです.死者数の多い干ばつ災害はアフリカに限られ,この期間に3件あり,総死者数は90万(29%)です.ただし,干ばつの被害統計はかなり不確かです.

 国別の大災害件数は,インド8,イラン6,バングラデシュ4,中国・インドネシア・フィリピン各3,などです.インドでは地震も洪水も共に起こっています.イランは地震だけであり,世界の大被害地震(死者1000以上)の1/4がこの国で起こっています.バングラデシュでは高潮災害が際立って多く,ほぼ10年に1回という頻度で大高潮災害(死者1000以上)が起こっています.

 火山災害は頻度が小さいので,より長期間のデータで地域傾向をみてみると,1600年以降における死者1000以上の火山災害30件中の13件はインドネシアで生じており,環太平洋とその接続域以外ではイタリアの1件だけです.大きな津波は海溝域の巨大地震により起こるので,海溝が周囲につらなる太平洋の沿岸諸国で多く発生しています.被災者数の多い災害は,大人口を擁する中国およびインドにおける干ばつと洪水が上位をすべて占めています.被害金額は経済発展国の多い北米およびヨーロッパで相対的に大きくなっています.

 1947~1980の期間における突発的災害を対象にした6大陸地域別被害の統計では,死者総数122万のうち86%(105万)がアジアで生じています.これは干ばつを対象外とした統計です.1970~2010の期間についてのこれに相当する値は81%でほぼ一致しており,定常的にアジアの災害激甚帯において大きな災害の大部分が生じていることが分かります.他の地域についての発生死者比率は,カリブ・中央アメリカ4%,南アメリカ4%,ヨーロッパ2%,アフリカ2%,北アメリカ1%などと小さくなります.(図5.2





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