蔵書検索
自然災害情報室の概要
研究成果
防災科研の刊行物

メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」No.27(2012年05月11日発行)

お待たせいたしました.新年度初めてのメールマガジンとなります.皆様今後ともよろしくお願いいたします.

2012年5月6日,つくば市をはじめ栃木県,茨城県で竜巻が発生しました.亡くなられた方へのお悔やみと,被害に遭われた方へのお見舞いを申し上げます.そこで,今号は竜巻の情報についてご紹介したいと思います.

★このメールマガジンはご自由にご転送ください.災害研究や防災に関心のある方々との情報交換の場にしたいと考えております.セミナー・シンポジウム などイベント情報,本や論文の紹介と書評など,読者の皆様に役立つ情報はできる限り掲載しますので,ぜひ情報をお寄せいただきたいと思います. < dil_melmaga@bosai.go.jp >までお願いします.

CONTENTS

特集 竜巻関連資料

2012年5月6日13時ごろ,茨城県つくば市で竜巻による災害が発生しました. そこで,今回は竜巻についての速報と情報を掲載します.

◆2012年5月6日に発生した竜巻に関連する情報
◇(独)防災科学技術研究所
2012年5月6日につくば市で発生した竜巻災害について(速報)
防災科学技術研究所 水・土砂防災研究ユニット作成.
今回の竜巻の速報ページ.被害分布を示した地図,現地の被害状況写真, XバンドMPレーダーで観測された降雨強度のアニメーションと竜巻の親雲に関する解析結果が掲載されている.
第1報:2012年5月6日,第2報:2012年5月8日掲載.
つくば市北条地区 竜巻被害
防災科学技術研究所 社会防災システム研究領域リスク研究チーム作成
2012年5月に発生したつくば市の竜巻災害の対応状況を集約しているページ. つくば市のボランティアセンターでは,当研究所の開発したeコミュニティ・プラットフォームを活用したボランティア活動を実施しています.
◇気象庁
平成24年5月6日に茨城県つくば市付近で発生した突風について
気象庁の報道発表資料
報道発表日:2012年5月7日.
平成24年5月6日に栃木県真岡市から茨城県常陸大宮市にかけて発生した突風 について
気象庁機動調査班による現地調査の報告
報道発表日:2012年5月8日.
平成24年5月6日に茨城県筑西市から桜川市にかけて発生した突風被害について
気象庁機動調査班による現地調査の報告
報道発表日:2012年5月8日
最近発生した事例一覧(速報)
2012年2月以降に発生した竜巻等の突風の一覧を掲載
◆被災地域の災害関連情報
◇茨城県
竜巻被害関連情報
◇茨城県つくば市
竜巻に関連する情報
◇茨城県筑西市
5月6日発生の強風被害関連情報
◇茨城県桜川市
竜巻被害に関連する情報 (2012年5月8日掲載)
◇栃木県真岡市
平成24年5月6日発生の竜巻による被災状況
◇栃木県芳賀郡茂木町
緊急情報
◇栃木県芳賀郡益子町
災害情報
◆関連情報
◇防災科学技術研究所
2006年11月7日北海道佐呂間町で発生した竜巻被害に関する現地調査結果(速報)
http://www.bosai.go.jp/saigai/2006/pdf/20061117_01.pdf
2008年7月12日に東京都で発生したダウンバースト(速報)
http://mizu.bosai.go.jp/wiki/wiki.cgi?page=2008%C7%AF7%B7%EE12%C6%FC%A4%CB%C5%EC%B5%FE%C5%D4%A4%C7%C8%AF%C0%B8%A4%B7%A4%BF%A5%C0%A5%A6%A5%F3%A5%D0%A1%BC%A5%B9%A5%C8%A1%CA%C2%AE%CA%F3%A1%CB
2010年12月3日牛久市で発生した突風被害の現地調査(速報)
http://mizu.bosai.go.jp/wiki/wiki.cgi?page=2010%C7%AF12%B7%EE3%C6%FC%B5%ED%B5%D7%BB%D4%A4%C7%C8%AF%C0%B8%A4%B7%A4%BF%C6%CD%C9%F7%C8%EF%B3%B2%A4%CE%B8%BD%C3%CF%C4%B4%BA%BA%A1%CA%C2%AE%CA%F3%A1%CB
◇気象庁
竜巻注意情報
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/tatsumaki.html
竜巻から身を守る 竜巻注意情報
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tatumaki/tatsumaki2009.pdf
竜巻等の突風データベース
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/index.html
◇自然災害情報室
所蔵 竜巻関係資料(閲覧室展示リスト)
http://dil-opac.bosai.go.jp/servlet/SchTheme2?themeid=22&findtype=1&Next=0
自然災害情報室では,現在閲覧室にて竜巻に関連する資料を展示しています. 今回の災害の空撮写真や速報のほか,過去の竜巻災害の資料や映画なども展示をしています.
◆竜巻や突風に関する用語(気象庁 予報用語より引用)
◇竜巻
積雲や積乱雲に伴って発生する鉛直軸を持つ激しい渦巻で,漏斗状または柱状の雲を伴うことがある. 地上では,収束性で回転性の突風や気圧の急下降が観測され,被害域は帯状・線状となることが多い(気象庁ホームページ2012).
◇ダウンバースト
積雲や積乱雲から生じる強い下降流で,地面に衝突し周囲に吹き出す突風である. 地上では,発散性の突風やしばしば強雨・ひょうを伴う.被害域は,円または楕円となることが多い(気象庁ホームページ2012).
◇藤田スケール
竜巻やダウンバーストなどの風速を,建物などの被害状況から簡便に推定するために,シカゴ大学の藤田哲也博士により1971年に考案された風速の尺度. 竜巻やダウンバーストなどは現象が局地的なため,風速計で風速を観測できることがほとんどないことから,このような現象における強い風を推測する尺度として世界的に用いられている. Fスケールともいい,F0からF5の6段階で表わされる.突風災害の調査報告で被害等の状況を示す参考値として用いる(気象庁ホームページ2012).
◆参考ページ
◇防災科研
Xバンドマルチパラメータレーダ(X‐NET)
http://mp-radar.bosai.go.jp/
防災科学技術研究所のXバンドマルチパラメータレーダと中央大学・防衛大学校・日本気象協会のXバンドドップラーレーダで構成される首都圏Xバンド気象レーダネットワーク(X-NET)の観測結果を試験的にリアルタイム配信(約500 mメッシュで5分毎に更新)しているページ.
災害リスク研究ユニット リスク研究グループ
http://risk.bosai.go.jp/
eコミュニティプラットフォームを開発するリスク研究グループのページ. 今回の竜巻災害ページのほか,東日本大震災のページなども閲覧することができます.
気象庁
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
気象庁気象研究所
http://www.mri-jma.go.jp/
◆引用文献

図書館探訪(その10)<米国の竜巻研究に関する情報>

◆今回は米国の竜巻研究のご紹介です.1950年代に相次いで渡米した2人の日本 人が,米国の竜巻研究をリードしました.

■藤田哲也(1920-1998):シカゴ大学名誉教授

竜巻研究の世界的権威.強度を示す尺度,「藤田スケール(Fスケール)」の提唱,ダウンバーストの発見など, その研究成果は「ミスター・トルネード」の愛称に相応しいものです. なお,米国では2007年から改良藤田スケール(EFスケール)が用いられています.

■佐々木嘉和(1927-):オクラホマ大学名誉教授

数学的手法を気象学に取り入れ,数値予報を開拓.米国の竜巻予報体制の確立に尽力した,竜巻研究の第一人者.

2008年7月に在ナッシュビル日本国総領事館で行われた自然災害リスク対策セミナーの招待講演, 「Mid-South における自然災害:トルネード」の概要が下記に掲載されており,参考になります.
http://www.nashville.us.emb-japan.go.jp/jp/ryojijoho/shizen_seminar_tornado.htm

□国立気象センター(NWC)
オクラホマ大学,National Severe Storms Laboratory(NSSL:シビアストーム研究所),National Weather Service(NWS:国立気象局), NWSのStorm Prediction Center(SPC:ストーム予測センター, http://www.spc.noaa.gov/)などを中心とした産官学連合体.全米唯一,最大,最高のシビア現象研究に関する機関が集まっています.
NSSLの竜巻についてのページ(英文)
http://www.nssl.noaa.gov/primer/tornado/tor_basics.html
□映画「ツイスター」(日本公開1996年)
調査のためにトルネードを追いかけるストーム・チェイサーの科学者を主人公にした映画.
映画製作スタッフはリアリティを追求して,NSSL研究者のストーム・チェイサーと行動を共にしたり, 撮影では,F5スケールの風を表現するために,ボーイング707のジェットエンジンが使用されたりしたそうです(ビデオ解説より).
なお,前述の佐々木教授の講演会の質疑応答では,「ツイスター」のとあるシーンの危機対処方法は良い方法ではないとのご意見. SPCのサイトでは具体的な対策を紹介しています(英文).現在の情報を確認しましょう.
http://www.spc.noaa.gov/faq/tornado/safety.html
□参考文献

(堀田 弥生)

防災コラム <防災科学の基礎知識>

第二十七回 関東平野の竜巻

 突発的に起こるきわめて局地的な強風には,竜巻,ダウンバースト,ガストフロント,塵旋風などがあります.竜巻は発達した積乱雲の下で生じ激しく回転するロート状の大気の渦で,風速は100m/sにもなります.ダウンバースト(下降流突風)は積乱雲から激しく吹き降りてくる冷気流で,回転は伴いません. ガストフロントは積乱雲からの冷たい気流が水平に吹き出した前面(フロント)で生じる突風(ガスト)です.塵旋風は温められた地表付近の大気が渦を巻いて立ち昇る旋風(つむじかぜ)です.気象庁はこのうちの竜巻とダウンバーストを広義の竜巻として,突風データベースを作成しています.

 日本における竜巻のおよそ3/4は,陸と海という熱的性質がはっきりと異なり大気の乱れが生じやすい境界部である海岸付近で起こっています.内陸で発生が多いのはほぼ関東地方に限られ,全国で起こる内陸部竜巻の30%が関東平野におけるものです.広い平野では地表の起伏による抵抗がないので発生しやすく,また邪魔されずに進行できるのです.南に開けた関東平野では,暖かく湿った気流が内陸深くまで進入しやすいという条件があります.スケールは全く違いますが,強いトルネードが頻発する北米の中央平原も似たような地形条件といえるでしょう.

1961~2010年の50年間に全国(沖縄を含む)で発生した竜巻の年平均は15.4個です.なお,2010年の発生個数は37,2011年は59とかなり多くなっていますが,これは気象庁が突風の調査を強化したためで,温暖化などの影響を示すものではありません.同期間において関東平野(起伏のほとんどない平坦地部に限定)で発生した竜巻の年平均は1.9個で,これは全国の12%です.ただし内陸部ということで被害の比率は大きくなっています.死者の発生した竜巻の件数はこの50年間に17件あり,死者総数は30人,年平均0.6人です.関東平野では5件,8人で,全国の30%近くを占めます.竜巻の規模には差がなく,藤田スケールでF2とF3の個数の比率はほぼ同じの7.5%です.F3の竜巻(住家が倒壊,非住家はバラバラになって飛散,自動車は吹き飛ぶ)は全国で4件あり,うち1件は1971年に浦和で起こりました.

関東平野の中では,茨城南部から埼玉東北部にかけての地域に集中しており,全体の80%がここで発生しています.死者が発生した竜巻5件,1962年東村の 竜巻(死者2),1969年猿島竜巻(同2),1971年浦和の竜巻(同1),1996年下館のダウンバースト(同1),2003年神栖のダウンバースト(同2),はすべ てこの地域のものです.猿島竜巻は栃木県に入って消滅したあとすぐに再発生し,宇都宮南方まで50kmという平均的竜巻の10倍ほどの長距離にわたり断続的 に被害を引き起こしました.竜巻による被害域の幅は平均100mほどと狭いのに対し,ダウンバーストは広い範囲に及びます.下館の被害域の最大幅は3kmで した.浦和の竜巻はF3(の弱い規模)でしたが,浦和市街東方の農村部で発生し移動距離は小さかったので,被害は大きくはありませんでした.

今回のつくば市・北条の竜巻はF3に近い規模で,17kmを進行し,死者1人,建物損壊およそ1,000棟の大きな被害を引き起こしました.この北方では20kmほどの間隔を置いてほぼ平行に20km以上の距離を進行したF1~F2規模の2つの竜巻が同時に発生しました.真岡で発生した竜巻は起伏の大きい丘陵地であるにもかかわらず,消滅することなく25kmも進行しました.このときの気象は,気圧の谷のあるところへ上空に強い寒気が流入し,下層には暖かい湿った気流が流れ込んで気温差が50℃にもなり,激しい上昇気流が生じて巨大な積乱雲が形成されたという気象状態でした.気象庁のデータベースによる竜巻発生時の気象条件で最も多いのは寒気・暖気の流入であり,ついで寒冷前線・停滞前線です.これらが組合わさるのが竜巻発生の主要条件ですが,はっきりとした前線がなくても強い竜巻は発生することがわかります.

 アメリカにおけるトルネードとは違い,日本の竜巻の勢力は弱いので,被害は多くはありません.死者数はアメリカで年平均100人近くにもなるのに対し,日本では年平均0.6人程度,建物損壊は竜巻1個あたり平均30棟ほどです.竜巻の被害では建物損壊数に比較して死者数が少ないという特徴があります.F2程度では建物は倒されるのではなくて屋根や2階が吹き上げられて飛散するためか,死者はほとんどありません.しかし,全く突発的で局地的に激甚なので,非常に恐れられている災害になっています.

2008年3月から「竜巻注意情報」が発表されるようになりました.これは,発達した積乱雲が接近してきており,およそ1時間以内に竜巻のような突風が起こるおそれがあると予想される場合の注意情報で,県単位で地方気象台から発表されます.県単位ということは,どこで起こるとは言えないが広い県内のどこかで起こる可能性があるという,場所は特定できない現象であることを意味しています.この情報が出されたら,空を見て雲の発達状態に注意し(観天望気),また気象のウェブサイトで雨雲の動きを知るなどの対応が望まれます.
(水谷 武司)

参加イベント情報

◆日本地球惑星連合2012年大会
http://www.jpgu.org/meeting/
日時:2012年 5月20日(日)-25日 09:00 - 17:00
場所:幕張メッセ国際会議場 〒261-0023 千葉市美浜区中瀬2-1
参加費:以下のサイトをご覧ください.
http://www.jpgu.org/meeting/registration.html
防災科研では,研究成果の展示のほか,主要災害調査48号東日本大震災調査報告をはじめとした刊行物の配布を行います.

◆第8回GISコミュニティフォーラム
http://www.esrij.com/community/gcf/2012/
日時:2012年 5月31日(木)-6月1日 09:00 - 17:00
場所:東京ミッドタウン 東京都港区赤坂9丁目
参加費:入場無料,事前登録制
自然災害情報室では,学校・研究機関・NPO展示(31日:地下1階ホールA,1日:ホールホワイエ)に出展します.

編集後記

◆今号は当研究所から直線距離で約5㎞程度離れた場所で発生した,つくば市北条の竜巻を中心に竜巻災害をテーマにしました.竜巻発生時の気象条件は寒気・暖気の流入が最も多いということなので,竜巻は気温の変化が著しい,季節の変わり目に多く発生しやすいのかもしれませんね.

◆いつもご購読ありがとうございます.メールマガジンのご意見・ご感想など 是非< dil_melmaga@bosai.go.jp >までお寄せ下さい.

発行 防災科学技術研究所 自然災害情報室

http://dil.bosai.go.jp/
自然災害情報室ツイッター: http://twitter.com/NIED_library
〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1
TEL:029-863-7635 FAX:029-863-7811

★自然災害情報室は災害に関する情報・資料の収集・提供を行っています.災 害に関する資料を作成された場合は寄贈をお願いします.災害資料をお探しの 方はお手伝いができますので気軽にご相談ください.

★メールマガジンの登録,メールアドレスの変更,解除,ご意見・ご感想,お 問い合わせは dil_melmaga@bosai.go.jp までお願いします.

メールマガジントップページ自然災害情報室トップページ