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メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」No.25(2012年02月08日発行)

◆連日,雪に関連する報道が続いています.亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします.雪による災害が頻発しているため,今回のメルマガは雪をテーマにしました.

◆自然災害情報室メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」は2周年を迎えました.いつもご講読頂き,ありがとうございます.

★このメールマガジンはご自由にご転送ください.災害研究や防災に関心のある方々との情報交換の場にしたいと考えております.セミナー・シンポジウム などイベント情報,本や論文の紹介と書評など,読者の皆様に役立つ情報はできる限り掲載しますので,ぜひ情報をお寄せいただきたいと思います. < dil_melmaga@bosai.go.jp >までお願いします.

CONTENTS

災害発生地の今昔 <雪崩と雪崩災害関連資料>

◆連日,豪雪や雪崩の報道が続いています.日本は全市町村のおよそ30%(人口2,000万人)が豪雪地帯として認定されており,低緯度の温帯としては世界でも稀な豪雪地域です.

そこで今回は,雪に関連する災害として代表的な雪崩とそれに関連する資料を取り上げます.

◆雪崩とは?

雪崩とは斜面上の積雪が一度に激しい勢いで流れ落ちる現象で,新雪量が多く, 傾斜角が30-50°の斜面での発生率が高く(日下2007),全層雪崩と表層雪崩に分類されます.

◇和泉・錦(2002)によれば,「なだれ」という言葉は戦前まで,様々な漢字が当てられていました. 室町時代の辞書に使用されていたのは「雪頽」,明治から大正時代にかけて広く使用されたのは「頽雪」, 大正末期から昭和にかけては「崩雪」と「雪崩」が多用され,戦後は当用漢字の補正で,ひらがなやカタカナ表記となりました. しかし1972年以降は現在用いられる「雪崩」表記が復活し,定着して現在に至ります(和泉・錦2002).

また雪崩は江戸時代まで,春に発生する雪が崩れる現象,とされてきました(和泉・錦2002). つまり,春先に発生しやすいとされる全層雪崩のみを示しており, 東北や北陸地方では雪崩のことを「なで」と呼称するようになりました(斜面を撫でるように雪が滑るから「なで」など由来には諸説あります). 一方で江戸時代以降,現在の表層雪崩に当たる現象が広く認識されるようになり,「あわ」,「ほうら」,「ほう」,「わし」といった言葉が 使用されるようになりました(和泉・錦2002).方言で,全層雪崩と表層雪崩を「なで」と「ほうら」と区別して呼称していた地域もあるようです.

◇雪崩は同じ場所で繰り返し発生するとアバランチシュート(雪崩道)と呼ばれる地形を形成します. アバランチシュートは樋状の凹地が細長く形成され,雪が無い時期には磨かれた岩肌を見せます(日下2007). つまり,このような場所は雪崩が起こる場所として認識することができ,融雪期の登山などでは特に注意を払う必要があります.

◆雪氷災害関連資料

雪氷災害も他の自然災害と同様に,研究の為の基礎資料が必須です.そこで防災科研の刊行物のなかで,雪崩に関連する資料を取り上げました.

◇雪崩関連資料

◆今回は雪崩について紹介しました.俳句では「なだれ」は春の季語としても知られています. また江戸時代まで,雪崩という言葉は全層雪崩を示しており,雪崩は暖かい時期に発生しやすい「全層雪崩」を示したものなのだと理解することができました.

江戸時代といえば,長野県と新潟県の県境にある白池という場所は,雪崩災害によって集落が消失したという記録が残っています.

1824(文政七)年12月,長野県小谷村と新潟県糸魚川市の県境にある戸倉山から雪崩が発生し,山のふもとにある白池の湖畔の宿屋数軒を巻き込み,宿泊客 と歩荷(ぼっか)が遭難しました.それ以来住家はなくなりました(小谷民俗誌1979).

先に紹介した防災科研の雪崩資料は,明治期以降の雪崩について記載されていますが, 明治期以前にも多くの雪崩災害があり,白池のように雪崩災害で移転した集落も少なからず存在したのではないでしょうか. 雪崩災害は地域や時期が限定される災害ですが,その土地に住む人々への社会的な影響は非常に大きい災害であると感じました.
(鈴木 比奈子)

【参考文献】

2012年1月に起きた主な自然災害 & トピック

図書館探訪―災害資料を訪ねて― (その9) <雪に関する展示と資料>

◆今回は雪の季節にちなみ,雪に関する施設などをご紹介します.まずは手前味噌で恐縮ですが,防災科研支所の紹介から.

防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター,雪氷防災実験棟

防災科学技術研究所には雪氷災害の予防と軽減ために新潟県長岡市に雪氷防災研究センターを設け,降雪分布と積雪の変化予測をもとに, 雪氷災害の発生予測とその情報提供に関する研究を行っています.例年4月に施設見学や実験教室を行う一般公開を開催しています.

また,山形県新庄市には雪氷防災実験棟があり,天然の雪に近い結晶形の雪を降らす世界唯一の装置を備えています. 夏でも天然と同様の積雪を作製し,それが人工的に制御された環境によってどのように変化するかを追跡することが可能です.

例年8月に一般公開を行っており,防寒着を着て降雪実験装置に入り人工雪を観察するなど,真夏に真冬の体験を味わうことができます.
人工降雪の動画

◆雪の偉人たちの著作と資料館

雪に纏わる偉人に関する資料や施設をWebからピックアップしてみました.

■土井利位

20年にわたって雪を観察し,日本初の雪の科学書「雪華図説」を刊行した江戸時代の古河藩主.

■鈴木牧之

雪国越後の暮らしぶりを江戸に紹介した「北越雪譜」の著者.

■中谷宇吉郎

「雪は天から送られた手紙である」の言葉で有名な中谷宇吉郎は北海道大学理学部教授で,世界初の人工雪を生み出した国際的研究者. 低温科学研究所の創設に携わった.

■小林禎作

北海道低温科学研究所で中谷宇吉郎の研究を受け継ぎ,発展させた.その成果は中谷-小林ダイアグラムとして知られている.

◆資料紹介

自然災害情報室所蔵資料の中から,お奨めをご紹介します.

◆雪関係機関・情報リンク集
□【学会】 □【大学・研究機関】 ■【教育・学習】 ■【博物館】

(堀田 弥生)

学会・イベント情報

◆大学コンソーシアムひょうご神戸設立5周年記念シンポジウム 震災と復興
テーマ「人と文化が支える震災復興」
http://www.kobe-u.ac.jp/info/event/2012/e2012_02_10_01.htm
日時:2012年2月10日 13:00-17:30
会場:神戸大学百年記念館 (神大会館)
参加費:無料(事前申し込み制)
主催:神戸大学 都市安全研究センター,人文学研究科,人間発達環境学研究科

◆IR3S/SSC公開シンポジウム「サステイナビリティ・サイエンスの挑戦」
http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/event120211
日時:2012年2月11日 13:00-17:00
会場:東京大学本郷キャンパス 安田講堂
参加費:無料(事前申し込み制)
主催:サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S),一般社団法人サステイナビリティ・サイエンス・コンソーシアム(SSC)

◆山梨大学教育人間科学部第24回教育フォーラム「震災と教育-放射能問題を視野に入れて-」
http://www.yamanashi.ac.jp/modules/event/index.php?content_id=215
日時:2012年2月11日 13:00-16:00
会場:山梨大学教育人間科学部 J号館5階 A会議室
参加費:無料
主催:山梨大学教育人間科学部

◆学術フォーラム「東日本大震災を教訓とした巨大災害軽減と持続的社会実現への道」
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/142-s-0211.pdf
日時:2012年2月11日 13:00-17:30
会場:日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22-34)
参加費:無料(事前申し込み制)
主催:日本学術会議

◆豊橋市民大学トラム豊橋技術科学大学連携講座「若手研究者が見た災害と大震災への備え」
第2回「地盤を知る -地盤災害から学ぶこと-」
http://www.tut.ac.jp/cooperation/docs/h33toramu_chirashi.pdf
日時:2012年2月11日 14:00-15:30
会場:豊橋技術科学大学A1棟101講義室
参加費:無料(定員80名)
主催:豊橋技術科学大学

◆東北大学105周年関西交流会-震災復興に向けて-
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/alumni/kansai105_mtg/index.html
日時:2012年2月11日 16:00-20:30
会場:大阪国際交流センター さくら西(2階)
参加費:無料(事前申し込み制,締切1月29日,懇親会6000円)
主催:東北大学,東北大学萩友会,東北大学基金,東北大学全学同窓会関西支部

◆第27回 日本マクロエンジニアリング学会(JAMES)年次研究大会 「防災ワークショップ」
http://www.jame-society.jp/archive/27kenkyuu20120213.pdf
日時:2012年2月13日 13:00-17:00
会場:東京大学本郷キャンパス山上会
参加費:研究大会 会員2,000円 昼食懇親会2,000円
主催:文明システムズ・地球環境・プロジェクト研究会,日本マクロエンジニアリング学会(JAMES)

◆平成23年度埼玉県地震対策セミナー
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/h33seminar.html
日時:2012年2月15日13:30-16:00(開場12:30) 会場:埼玉会館大ホール(さいたま市浦和区高砂3-1-4 JR浦和駅西口徒歩6分)
参加費:無料(先着順)
主催:埼玉県地震対策セミナー実行委員会,埼玉県,東京ガス(株)埼玉支店,東日本電信電話(株)埼玉支店,(株)NTTドコモ埼玉支店, (社)埼玉県消防設備協会,埼玉県高圧ガス団体連合会,(公社)埼玉県危険物安全協会連合会

◆お茶の水女子大学シミュレーション科学教育研究センター 第一回国際シンポジウム
http://www.cf.ocha.ac.jp/simulation/event/symposium20120216.html
日時:2012年2月16日 10:00-17:00
会場:お茶の水女子大学 共通講義棟2号館201号室
参加費:無料
主催:お茶の水女子大学 シミュレーション科学教育研究センター

◆第13回情報学シンポジウム 「災害と情報学」
http://www.i.kyoto-u.ac.jp/Symposium/2012/
日時:2012年2月17日 13:00-17:10
会場:京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
参加費:無料(懇親会は有料:ICTイノベーション2012と合同)
主催:京都大学情報学研究科

◆まちづくりセミナー 東日本大震災被災地からの報告「大災害における地域の建築家の役割と課題」
http://www.kenchiku.co.jp/event/detail.php?id=3366
日時:2012年2月17日 18:00-20:00(開場17:30)
会場:大光電機(株)ライティングコア大阪 (大阪市中央区高麗橋3-2-7 ORIX高麗橋ビル1F)
参加費:1,000円(JIA東北支部震災復興活動支援金として)
主催:(社)日本建築家協会近畿支部都市デザイン委員会

◆京都大学防災研究所 特定研究集会「深層崩壊の実態,予測,対応」
http://www.slope.dpri.kyoto-u.ac.jp/mountain/academicinfo/dpri20120218_dsl_workshop_program.pdf
日時:2011年2月1 日11:30-18:00
場所:京都大学宇治キャンパス黄檗プラザ きはだホール
参加費:無料(自由参加)

◆豊橋市民大学トラム豊橋技術科学大学連携講座「若手研究者が見た災害と大震災への備え」
第3回「地震と津波 -津波災害から身を守るための基礎知識-」
http://www.tut.ac.jp/cooperation/docs/h33toramu_chirashi.pdf
日時:2012年2月18日 14:00-15:30
会場:豊橋技術科学大学A1棟101講義室
参加費:無料(定員80名)
主催:豊橋技術科学大学

◆2011年度摂南大学産学公民地域連携フォーラム
「東日本大震災を教訓に、関西で想定される大震災にどう備えるか!」第3弾
http://www.setsunan.ac.jp/s/aboutus/images/no1132.pdf
日時:2012年2月18日 14:00-17:00
会場:摂南大学 寝屋川キャンパス 11号館11階スカイラウンジ(大阪府寝屋川市池田中町17-8)
参加費:無料(事前申し込み制,定員150名)
主催:摂南大学理工学部 摂南大学地域連携センター

◆平成23年度京都大学防災研究所研究発表講演会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120222_5.htm
日時:2012年2月21日 9:30-18:30 , 22日 9:00-17:15
会場:京都大学 宇治キャンパス 宇治おうばくプラザきはだホールほか
参加費:無料
主催:京都大学防災研究所

◆国際シンポジウム-巨大震災からの復興を考える-
http://www.kenken.go.jp/japanese/information/information/event/international_symposium-2012/pamphlet-jp.pdf
日時:2012年2月21日 13:00-17:20
会場:政策研究大学院大学 想海楼ホール(東京都港区六本木7-22-1)
参加費:無料
主催:建築研究所,政策研究大学大学院大学

◆第1回アジア太平洋大規模地震・火山噴火リスク対策ワークショップ
http://www.gsj.jp/Event/AsiaPacific/
日時:2012年2月22日-25日
会場:(独)産業技術総合研究所つくば中央共用講堂
主催:(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター

◆公開講座「大規模地震に対する都市防災のあり方」
http://www.ynu.ac.jp/hus/koho/6071/detail.html
日時:2012年2月22日 14:00-16:30
会場:横浜国立大学 理工学部講義棟C301
参加費:無料
主催:安心・安全の科学研究教育センター

◆市民公開講座 No.239「震災前と震災後の岩手県陸前高田市今泉集落と気仙大工」
http://www.tohtech.ac.jp/news/lobby/2012/02/-no239-no239.html
日時:2012年2月24日 18:30-20:00
会場:東北工業大学 一番町ロビー
参加費:無料
主催:東北工業大学

◆豊橋市民大学トラム豊橋技術科学大学連携講座「若手研究者が見た災害と大震災への備え」
第4回「事業継続(Business Continuity)の取組みとは -災害時に重要業務拠点や生産拠点の機能を維持するために-」
http://www.tut.ac.jp/cooperation/docs/h33toramu_chirashi.pdf
日時:2012年2月26日 14:00-15:30
会場:豊橋技術科学大学 A1棟 101講義室
参加費:無料
主催:豊橋技術科学大学

◆シンポジウム「東日本大震災からの教訓、これからの新しい国つくり
http://www.aij.or.jp/jpn/symposium/2011/AIJ0301-02.pdf
日時:2012年3月1日,2日 9:00-19:10
会場:建築会館(東京都港区芝5丁目26番20号)
参加費:
A)一般講演者(投稿料,梗概集代含) 会員5,400円 会員外10,000円
B)一般参加者(梗概集代含)会員4,000円 学生(修士まで)3,000円 会員外6,000円
東日本大震災及び一連の災害による被災地から参加の方は,参加費無料といたします.(資料代は実費)
主催:日本建築学会

◆第5回シンポジウム「震災後1年-健康と医療の再生に向けて-」
http://www.tr-networks.org/usr/NPO-usr-504-094.html
日時:2012年3月4日 13:00-17:30(開場12:30)
会場:東京大学医科学研究所 1号館講堂(東京都港区白金台4-6-1)
参加費:入場無料(定員200名,事前申し込み制,締切2月26日,懇親会3,000円)
主催:特定非営利活動法人 健康医療開発機構

◆第61回理論応用力学講演会(-9日)
http://save.sys.t.u-tokyo.ac.jp/nctam61/
日時:2012年3月7日-9日 9:30-17:30
会場:東京大学生産技術研究所(東京都目黒区駒場4-6-1)
参加費:無料(事前申し込み制, 懇親会3,000円)
主催:日本学術会議 機械工学委員会, 土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会

◆地震・津波災害軽減国際シンポジウム-東日本大震災の教訓を世界で共有するために-
http://www.bosai.go.jp/event/sendai2012/
日時:2012年3月14日 13:00-17:25 15日 10:00-17:00
会場:仙台国際センター(仙台市青葉区青葉山無番地)
参加費:無料(事前申し込み制)
主催:(独)国際協力機構,(独)科学技術振興機構,(独)防災科学技術研究所

◆国立国会図書館シンポジウム「東日本大震災の記録の収集と保存―震災アーカイブの構築に向けて」
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/1192893_1368.html
日時:2012年3月14日(水)15:00-17:45
会場:東京本館 新館講堂,関西館 第1研修室(東京会場からのテレビ中継)
参加費:無料(事前申込制)
主催:国立国会図書館

◆京都大学附置研究所・センターシンポジウム「京都からの提言 -21世紀の日本を考える(第7回)」
http://www.kuic2012.jp/
日時:3月17日 10:00-17:00
会場:神戸国際会議場メインホール(神戸市中央区港島中町6-9-1)
参加費:無料(事前申し込み制,先着700名)
主催:京都大学附置研究所・センター

◆第8回看護学研究科講演・シンポジウム
「大震災発生時における健康危機管理と保健医療従事者の役割」
http://www.osaka-cu.ac.jp/news/20120105105842/event.html
日時:2012年3月17日 13:00-16:00(開場12:30)
会場:大阪市立大学医学部学舎4階 大講義室
参加費:無料(事前申し込み制,先着250名)
主催:大阪市立大学大学院看護学研究科

◆日本オペレーションズ・リサーチ学会 第67回シンポジウム「災害対処の施策とOR」
http://www.orsj.or.jp/activity/symposium.html
日時:2012年3月26日 13:00-17:40
会場:防衛大学校総合情報図書館AVホール
参加費:
【事前振込み】正・賛助会員3,000円,学生会員1,000円,非会員4,000円
【当日申込み】正・賛助会員4,000円 学生会員1,000円,非会員5,000円,学生:1,000円
主催:日本オペレーションズ・リサーチ学会

新刊情報  最近出版された災害・防災関連図書を紹介します.

★日本の津波災害(岩波ジュニア新書)
【著者】伊藤和明
【発行者】岩波書店
【発行年月日】2011年12月20日
【価格】\861     【ISBN】9784005007011

★自然地理学からの提言 開発と防災―江戸から東京の災害と土地の成り立ち
【著者】松田磐余
【発行者】イマジン出版
【発行年月日】2011年12月21日
【価格】\1,260     【ISBN】9784872995893

★東日本大震災・被災者支援のためのサポーターワークブック(初任者用演習テキスト)
【著者】東北関東大震災・共同支援ネットワーク 被災者支援ワークブック編集委員会
【発行者】全国コミュニティライフサポートセンター;筒井書房
【発行年月日】2011年12月26日
【価格】\2,100     【ISBN】9784904874066

★雪の結晶図鑑
【著者】菊地勝弘 梶川正弘
【発行者】北海道新聞社(札幌)
【発行年月日】2011年12月11日
【価格】\2,310     【ISBN】9784894536296

★いちばんやさしい地球変動の話
【著者】巽好幸
【発行者】河出書房新社
【発行年月日】2011年12月13日
【価格】\1,575     【ISBN】9784309252582

防災コラム <防災科学の基礎知識>

第二十五回 豪雪の自然地理的条件

日本列島の日本海側は,その緯度・標高からみて世界でも稀な豪雪地帯です.これは日本列島が巨大なユーラシア大陸東縁の中緯度帯に,日本海という海水温の高い縁海を間にして連なる起伏の大きい弧状列島であることによります.

西高東低の冬型気圧配置のとき,北西の季節風が日本列島に吹きつけ,日本海には多数の筋状の雲が日本列島に向けて並びます.この雲は大陸からの寒気が,黒潮分枝の流入により海水温の高い日本海を横断する間に,下層が温められて対流不安定の状態になり,同時に海面から多量の水蒸気の供給をうけて生じた積雲の列です.これが日本列島の脊梁山脈にぶつかり,風上の日本海側に大雪を降らせます.この寒気吹き出しは周期的に繰り返されるので,日本海沿岸地域,とくに日本海の幅が広くて吹き渡りの距離の大きい北陸は,平野部でも極めて多量の降積雪があるという世界でも特異な地帯になっています.

日本海はプレートの沈み込み帯に形成される背弧海盆とよばれる縁海です.縁海とは大陸の外縁において,列島や半島などで取り囲まれ半ば閉ざされた内海です.背弧海盆は海溝でのプレート沈み込みの力により島弧内側の大陸プレートが下に引き込まれて形成されるもので,オホーツク海,ベーリング海など西部太平洋に多数分布します.この中でも日本海は,冬季に大陸からの北西季節風が吹きわたる緯度帯に位置します.伸張力により島弧は外に向け弧状に張り出すので,海盆は楕円状に膨らんでいます.日本列島弧の脊梁山脈の標高は2,000~3,000mと大きいので,これに吹きつけた季節風は強制上昇をうけて,風上斜面に降雪をもたらします.大雨と同じく豪雪も激しい上昇気流によって生じます.

地球自転による見かけの転向力であるコリオリ力の作用により,北半球の高気圧からの風は時計回りの螺旋状で吹き出します.このため冬季には,大陸の高気圧から北西の(高緯度からの)冷たい季節風が,中緯度にある日本列島に吹きつけます.海流もコリオリ力により時計回りに流れるので,日本列島へは南からの海流,したがって暖流が流れてきます.これは黒潮で,メキシコ湾流と並ぶ世界の2大暖流です.この黒潮の分枝が対馬海峡を通って日本海に流入し海水温を高くしています.暖水域は日本海南岸に沿い東北北部にまで達しています.ここから蒸発した水蒸気が大量の雪の源です.

2万年前にあった氷河期の最盛期には海面が約130m低下したので,対馬海峡は非常に狭い水路になり,黒潮の流入は遮断されていました.このため氷河期には降雪量は少なくて,日本列島はかなり乾燥していたと推定されています.現在は間氷期で海面の高い時期にあり,対馬海峡が開き水深が深いことが,日本海側の豪雪の一条件になっています.

冬季,大陸から東進してきた低気圧は日本の東方海上で非常に発達します.中心示度が950hPaと強い台風並みに低くなることもあります.このとき日本付近の気圧傾度は非常に大きくなり,等圧線が縦に密に並び強い季節風が吹き荒れ,日本海側では大雪になります.冬に低圧部となる太平洋北東域に西から移動してきた低気圧は,大陸から吹き込む寒気と南の太平洋高気圧から流入する暖湿気流との大きな温度差のために非常に発達するのです.この低気圧はアリューシャン低気圧ともよばれ,北部大西洋で発達するアイスランド低気圧と並ぶ冬季の2大温帯低気圧になっています.

低気圧が強い寒冷前線を後に従えて日本の東方海上に進むと,大陸の寒気が日本列島に南下してきます.これによる地表付近と上空との大きな温度差は,大気を不安定状態にして強い上昇気流を起こします.脊梁山脈による地形性の上昇気流とこの対流不安定による上昇気流とが加わり,寒気流入時には高い積乱雲が発達して,発雷と豪雪をもたらします.この雷を北陸では「雪起こし」とよんでいます.日本で雷日数が最も多いのは能登半島南方で,北陸では冬季の積乱雲発達が著しいことを示しています.

日本列島の日本海側では毎年の豪雪は不可避です.この自然の気候環境をどのように克服し,それにどれだけ適応していくかは難しい問題です.

ヨーロッパにおける大きな暴風雨被害はアイスランド低気圧によって生じています.非常に優勢な暖流のメキシコ湾流は,北米東岸に沿って北上し大西洋北端にまで達しています.北極圏から流れ出す寒気流はこの暖かい海水から熱と水蒸気を得てアイスランド付近で強い低気圧をつくります.この低気圧は北海に入ってハリケーン並みに発達し,北海沿岸域に大きな高潮を起こしています.
(水谷 武司)

自然災害情報室からのお知らせ

◆主要災害調査をオンライン先行出版いたしました.下記URLよりご覧ください.

刷り上がりは2月末の予定です.印刷版をご希望の方は,下記pdfに必要事項をご記入の上,FAXにてお申し込みください.
刊行物貸出・配布申込書

◆次号,第26号は3月8日(木)発行の予定です.第26号に情報・告知等の掲載をご希望される方は,3月5日までにご連絡くださいますようお願いいたします.

編集後記

◆今号は雪をテーマにメルマガを構成しました.昨年2011年2月に発行した第13号でも雪をテーマに防災科研 雪氷防災研究センターの上石研究員と本吉研究員に執筆していただきました.是非こちらもご覧ください.

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