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メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」No.24(2012年01月16日発行)

◆寒中お見舞い申し上げます.いつもご購読いただきありがとうございます.2012年も引き続き,防災科学技術研究所 自然災害情報室メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」をよろしくお願いいたします.

★このメールマガジンはご自由にご転送ください.災害研究や防災に関心のある方々との情報交換の場にしたいと考えております.セミナー・シンポジウム などイベント情報,本や論文の紹介と書評など,読者の皆様に役立つ情報はできる限り掲載しますので,ぜひ情報をお寄せいただきたいと思います. < dil_melmaga@bosai.go.jp >までお願いします.

CONTENTS

災害発生地の今昔 <宮古市内の津波碑>

◆今回は,調査中に見つけた宮古市内の津波碑をご紹介します.現存する津波碑の多くは1896(明治二十九)年6月15日の明治三陸地震津波と1933(昭和八)年3月3日の昭和三陸地震津波を契機として建立されたものです.災害の詳細は文末の注記をご覧ください.

※■は読み取ることができなかった文字です.

◇千鶏津波碑(明治) ◇千鶏津波碑(昭和) ◇姉吉津波碑 ◇重茂里津波碑(明治) ◇重茂里津波碑(昭和) ◇重茂舘津波碑 ◇白浜津波碑 ◇赤前津波碑(明治) ◇磯鶏津波碑(明治) ◇磯鶏津波碑(昭和) ◇藤原津波碑

◆今回の紹介した津波碑の位置,写真,碑文をKMLファイルで配信しています.是非,ご覧ください.

◆宮古市内の津波碑は今回の地震と津波によって倒壊したものが数多くありましたが,2011年12月の調査で見た時にはすでに立て直されていました.このことから,津波碑は地域において,重要な意味を持つものとして位置づけられていることがうかがわれます.石碑の分布や設置位置は防災上重要な情報であることをあらためて感じました.

これらの津波碑には,大別すると2つの意味があります.一つは被災者慰霊的な碑であり,もう一つは今後の津波災害に対する注意喚起のための碑です.津波碑がもつそういった性質によって,設置場所も異なっているのではないでしょうか.

岩手県宮古市には,市内の石碑を調査しカタログ化した「宮古市の石碑(いしぶみ)」という本があります.残念ながら在庫は津波で消失してしまったようですが,宮古市立図書館や岩手県立図書館で貸出が可能です.機会があれば一度ご覧ください.
(鈴木比奈子)

***注***
◇明治三陸地震津波 ◇昭和三陸地震津波 【参考文献】

 2011年11月に起きた主な自然災害 & トピック

 読者からの情報提供コーナー

◆1.17ひょうごメモリアルウォーク2012の参加者募集について

http://web.pref.hyogo.lg.jp/pa17/pa17_000000094.html
http://www.19950117hyogo.jp/
阪神・淡路大震災から17周年を迎える2012年1月17日(火)に,交通機関が途絶した大震災時の追体験を行い,風化しがちな防災意識を新たにするとともに,来るべき災害に備えるため,震災モニュメント巡りや緊急時の避難路,救援路として整備されている山手幹線等を歩く「1.17ひょうごメモリアルウォーク2012」を実施します.

◆山地災害シンポジウム 森林の取扱いと土砂災害~防災から減災,避災へ~

最新の研究成果をもとに今後の森林施業のあり方,防災的側面からみた望まし い森林の取扱いについて議論する.

日時:2012年1月21日(土)13:00-17:00
会場:とりぎん文化会館小ホール(鳥取県鳥取市尚徳町101-5)
主催:鳥取県農林総合研究所農林総合研究所・独立行政法人森林総合研究所

開催プログラム:
13:00-13:05 開会挨拶 鳥取県農林水産部長 鹿田 道夫
13:05-15:15 第1部 話題提供
○最近の豪雨による土砂災害の特徴/林 拙郎(三重大学名誉教授)
○広葉樹林地斜面でも崩壊・土石流が集中発生した広島県庄原市での豪雨 災害の特徴/海堀正博(広島大学教授)
○現在の森林の状況と土砂災害防止機能評価の試み/三森利昭(森林総合研究所上席研究員)
○急増する作業道から災害を出さないための注意点/小山 敢(鳥取県農林総合研究所林業専門技術員)
○森林根系の斜面安定効果/北原 曜(信州大学教授)
15:15-15:25 休憩
15:25-15:55 第2部 会場からの質問受付と総合討論
 コーディネータ: 三森利昭
 パネラー : 林 拙郎,海堀正博,小山 敢,北原 曜
15:55-16:00 閉会挨拶 鳥取県農林総合研究所長 山本 健太郎
(森林総合技術研究所 三森利昭氏よりご紹介)

 学会・イベント情報

◆第35回都市計画セミナー「事前復興による都市づくり-都市防災のグランドデザインを考える」
http://www.cpij.or.jp/com/proj/s35.html
日時:2012年1月17日 10:40-16:50  同月18日 10:00-17:00
会場:早稲田大学国際会議場(東京都新宿区西早稲田1-20-14)
参加費:2日間共通 会員14,000円 / 非会員16,000 円 (学生会員5,000円 / 一般学生 7,000円)
1日のみ会員 8,000円 / 非会員 9,000円(学生会員3,000円 / 一般学生4,000円)
 (事前申し込み制,締切12月26日)
主催:公益社団法人日本都市計画学会

◆第5回エコファーマシンポジウム「震災から復興,新たな未来へ 薬学の役割」
http://ecopharma.org/index.php?id=530
今回のシンポジウムでは,東日本大震災の被害の甚大さに鑑み,震災と環境・薬学・医療をテーマとして,以下の4名の先生に,大学現場の被災と地域支援,避難所等での栄養の問題,有害化学物質による環境汚染,そして現場での薬剤師の活躍について,現状と対策,今後の復興,さらにこの経験を生かして新たな未来の構築に向けた提言などについてご講演して頂きます.薬学部としては,これらのお話を拝聴して,他分野の皆様と協力しながら薬学からどのような貢献ができるかを考えるきっかけになればと思っています.しかし,今回の震災は,多くの教訓を残していますので,薬学に限らず広く熊本地域の皆様にとりましても参考になる話題ではないかと思い,公開で実施することにしました.多くの皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げております.
日時:2012年1月17日 13:00-18:00
会場:熊本大学薬学部 宮本記念館コンベンションホール
参加費:無料
主催:熊本大学

◆東北大学大学院環境科学研究科 震災フォーラム” いま,そしてその次へ”
第6回テーマ ”津波堆積物:過去,現在,そして対策”
http://www.kankyo.tohoku.ac.jp/pdf/20120118.pdf
日時:2012年1月18日 14:00-17:00
会場:せんだいメディアテーク
参加費:無料
主催:東北大学大学院

◆日本学術会議公開シンポジウム「巨大災害から生命と国土を護る-24学会からの発信」
第2回「大災害の発生を前提として国土政策をどう見直すか」
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/140-s-3-2.pdf
二十四学会が終結して,東日本大震災に対する反省と今後の抜本的な見直しに際し,学会の壁を越えて,本質的な議論を展開する連続シンポジウムを行います.
日時:2012年1月18日 14:00-17:30
会場:日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22-34)
参加費:無料(事前申し込み制)
主催:日本学術会議土木工学・建築学委員会,東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会

◆シンポジウム「希望につながる地域再生と大学~東日本大震災から学ぶもの~」
http://www.tsukuba.ac.jp/seminar/20111128121841.html
3月11日に発生した東日本大震災においては,岩手県・宮城県・福島県の被災状況と復興が注目されています.しかしながら,大きな被害が発生したにもかかわらず,十分に注目されているとはいえない茨城県内の被災地の被災実態と被災対応について,自治体等の担当者による情報提供を受け,事前対策上,事後対応の特徴と問題点について議論を行います.また,大規模地震等の自然災害等に対する強い地域を日常的に作り上げていく防災の科学,あるいは,自立的で持続可能な地域の再生に果たす都市計画,安全で生命・財産を守る安全工学など多面的に大学が果たす役割について,筑波大学の教員による話題提供を行うとともに,自治体等の関係者と議論を行います.
日時:2012年1月22日13:00-16:00
会場:つくば国際会議場 大ホール
参加費:無料(事前申し込み制)
主催:筑波大学

◆「東日本大震災の災害廃棄物処理の現状と課題」セミナー
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/event/event_id597.html
東日本大震災では未曾有の津波災害で多くの建物が倒壊し,大量のがれきが発生しました.現地での廃棄物処理の取り組みを,他の地域に生かしていくために,実際に対応されている岩手県庁の職員を招いて処理の実体について講演してもらうとともに,大学側からも専門知識を提供し,大規模自然災害によって発生する廃棄物に対処するためにはどのような対策が必要かについて議論します.
日時:2012年1月24日 9:30-17:00
会場:岡山大学創立五十周年記念館 大ホール
参加費:無料
主催:岡山大学

◆講演「東日本大震災を踏まえた中小企業の防災・危機管理」
http://www.mics.city.shinagawa.tokyo.jp/event/info0606.php
東日本大震災は,大規模な災害による影響が,企業の事業活動を取り巻く様々なリスクの中でも,とりわけ大きな脅威であることを強く思い知らされました.このような大規模な災害が今後も発生することが見込まれている現在,各企業が災害発生時に事業リスクをなるべく小さく,かつできるだけ早く事業を復旧するために事業継続計画(BCP)を策定し,そのリスクに備える必要があります.今回品川区では,東京商工会議所品川支部との共催により,防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏をお招きし,東日本大震災を踏まえた中小企業の防災・危機管理対策をご講演いただきます.企業の事業継続計画(BCP)の重要性と実際に役に立つBCPが備えるべき内容とはどのようなものであるかなど,大災害への企業の防災・危機管理対策についてお話しいただきます.各企業の皆様が各々の状況を踏まえつつ,より実践的なBCPの策定・運用する際の参考にしていただければ幸いです.貴社の危機管理強化の一環として,是非奮ってご参加ください.
日時:2012年1月26日 15:00-17:00(開場14:30)
会場:品川区役所第三庁舎 6階講堂(品川区広町2-1-36)
参加費:無料(事前申し込み制,先着150名)
主催:品川区

◆研究交流クラブ第145回定例会/第24回中部科学技術交流会「自然災害への対応を考える」
http://www.astf.or.jp/research/club/teirei_145.html
平成23年は東日本大震災や大型台風などによる自然災害が多く発生致しました.このような自然災害に対して,我々はどのように対応すれば良いのか,改めて考えさせられる1年でした.そこで,自然災害への対応を考える講演会を企画致しました.
日時:2012年1月26日 14:00-18:00
会場:名古屋商工会議所(名古屋市中区栄2-10-19)
参加費:無料(事前申し込み制,締切1月23日)
主催:公益財団法人 科学技術交流財団,財団法人 日比科学技術振興財団,財団法人 中部科学技術センター,独立行政法人 科学技術振興機構JSTイノベーションプラザ東海

◆第3回防災情報シンポジウム「巨大災害におけるリスク緩和」
http://www.ritsumei.ac.jp/research/center/disa_fro/
「災害発生の見地システム」,「災害の拡大状況の検知・予測」,「情報の伝達・収集システム」,「避難誘導・救急・救援活動」,「災害弱者のための防災対策」などの研究に加え,災害科学に関する新機軸として「自身の発生メカニズムに関する研究」を積極的に推進します.
日時:2012年1月27日 13:00-17:00(開場12:30)
会場:京都センチュリーホテル
参加費:セミナー無料,交流会3000円(但し研究会会員は無料)
主催:立命館大学総合理工学研究機構 防災フロンティア研究センター

◆防災研究フォーラム第10回シンポジウム
「地震・津波災害軽減のために ~東日本大震災から学ぶ~」
http://www.dprf.jp/sympo/20120128/index.html
日時:2011年1月28日(土)
場所:東京大学情報学環・福武ホール 福武ラーニングシアター
参加費:無料(懇談会のみ3,000円程度)
定員:180名(定員になり次第締め切らせていただきます)
主催:防災研究フォーラム

◆第2回「筑波大学研究成果発表フォーラム 2012」-震災に向き合う最先端研究-
http://www.osi.tsukuba.ac.jp/~forum2012/
今年度のフォーラムは「震災に向き合う最先端研究」をテーマとし,第2回の研究成果発表フォーラムを開催することといたしました.今回のフォーラムでは,白川英樹筑波大学名誉教授(2000年ノーベル化学賞)の特別講演とともに,筑波大学の最先端の災害関連研究と復興支援プログラムの研究発表・展示を行います.
日時:2012年1月28日 13:00-17:20(開場12:00)
会場:筑波大学東京キャンパス文京校舎講義室〈134〉
参加費:無料(事前申し込み制)
主催:筑波大学

◆豊橋市民大学トラム豊橋技術科学大学連携講座「若手研究者が見た災害と大震災への備え」
第1回「来たるべき大地震に備えていただきたいこと -建築構造学の視点から-」
http://www.tut.ac.jp/cooperation/docs/h33toramu_chirashi.pdf
東日本大震災を含む過去の震災事例から,建築の耐震性の重要性を再確認するとともに,来るべき大震災に備えて建築の耐震性にかかわる基礎知識を中心に話題提供します.
日時:2012年2月4日 14:00-15:30
会場:豊橋技術科学大学A1棟101講義室
参加費:無料(定員80名)
主催:豊橋技術科学大学

◆市民公開シンポジウム「大津波で被害を受けた沿岸域の生物多様性の現状」
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2012/01/press20120105-02.html
東日本大震災と津波は東北沿岸域の生態系にどのような影響を及ぼしたのか,海洋・水産・生態の専門家が調査を行っています.本シンポジウムでは明日の東北を考えるために、専門家による沿岸生態系の調査結果や現状を紹介します.興味のある方の参加をお待ちしています.
日時:2012年2月5日 13:30-16:30
会場:仙台国際センター 萩ホール
参加費:無料(事前申し込み制,定員250名)
主催:東北大学

◆東北大学105周年関西交流会-震災復興に向けて-
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/alumni/kansai105_mtg/index.html
日時:2012年2月11日 16:00-20:30
会場:大阪国際交流センター さくら西(2階)
参加費:無料(事前申し込み制,締切1月29日,懇親会6000円)
主催:東北大学,東北大学萩友会,東北大学基金,東北大学全学同窓会関西支部

◆豊橋市民大学トラム豊橋技術科学大学連携講座「若手研究者が見た災害と大震災への備え」
第2回「地盤を知る -地盤災害から学ぶこと-」
http://www.tut.ac.jp/cooperation/docs/h33toramu_chirashi.pdf
災害を受けた時,地盤はすぐに起きる現象と時間が経てから生じる現象があります.今年起きた地震と被害事例をもとに,地盤の現象についてお話します.
日時:2012年2月11日 14:00-15:30
会場:豊橋技術科学大学A1棟101講義室
参加費:無料(定員80名)
主催:豊橋技術科学大学

◆平成23年度埼玉県地震対策セミナー
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/h33seminar.html
地震大国日本では,大地震はいつ起こるかわかりません.そして,ひとたび発生すると多くの尊い生命や財産を奪うおそれがあります.備えあれば憂いなし.このセミナーで,地震対策について考えてみませんか.
日時:2012年2月15日13:30-16:00(開場12:30)
会場:埼玉会館大ホール(さいたま市浦和区高砂3-1-4 JR浦和駅西口徒歩6分)
参加費:無料(先着順)
主催:埼玉県地震対策セミナー実行委員会,埼玉県,東京ガス(株)埼玉支店,東日本電信電話(株)埼玉支店,(株)NTTドコモ埼玉支店,(社)埼玉県消防設備協会,埼玉県高圧ガス団体連合会,(公社)埼玉県危険物安全協会連合会

◆第13回情報学シンポジウム 「災害と情報学」
http://www.i.kyoto-u.ac.jp/Symposium/2012/
京都大学情報学研究科では、最先端の情報学の話題を皆様にお届けしています.本年度は,京都大学シンポジウムシリーズ「大震災後を考える」XIVとして,災害と情報学の関わりを考えます.本年度の情報学シンポジウムは「ICTイノベーション2012」と同時開催いたします.ICTイノベーション2012を形成する他のイベントにもご参加ください.
日時:2012年2月17日 13:00-17:10
会場:京都大学 百周年時計台記念館 百周年記念ホール
参加費:無料(懇親会有料)
主催:京都大学情報学研究科

◆豊橋市民大学トラム豊橋技術科学大学連携講座「若手研究者が見た災害と大震災への備え」
第3回「地震と津波 -津波災害から身を守るための基礎知識-」
http://www.tut.ac.jp/cooperation/docs/h33toramu_chirashi.pdf
災害から身を守るためには,災害を引き起こす自然現象を知ることが大切です.地震の発生から津波の発生・伝播,海岸や河川への来襲のプロセスについてお話します.
日時:2012年2月18日 14:00-15:30
会場:豊橋技術科学大学A1棟101講義室
参加費:無料(定員80名)
主催:豊橋技術科学大学

 新刊情報  最近出版された災害・防災関連図書を紹介します.

★できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと
【著者】糸井重里 ほぼ日刊イトイ新聞編集部
【発行者】新潮社
【発行年月日】2011年12月15日
【価格】¥1,470        【ISBN】9784103638025

★巨大地震・巨大津波―東日本大震災の検証
【著者】平田直 佐竹健治
【発行者】朝倉書店
【発行年月日】2011年11月20日
【価格】¥2,730        【ISBN】9784254102529

★震災日記―長野県栄村、2011年3月12日~4月12日
【著者】松尾真
【発行者】アルファベータ
【発行年月日】2011年11月20日
【価格】¥1,995        【ISBN】9784871986540

★地球の声に耳をすませて―地震の正体を知り、命を守る
【著者】大木聖子
【発行者】くもん出版
【発行年月日】2011年12月19日
【価格】¥1,470        【ISBN】9784774320250

 防災コラム <防災科学の基礎知識>

第二十四回 災害危険地の土地価格評価

土地の価格は,正常な経済メカニズムが支配的に作用している場合,その土地を利用することによって得られると期待される年々の収益を現在価値に割り引くことにより評価されるのを原則とします.災害の危険が明らかに予想される土地では,やがて被るであろう被害は負の収益となり,あるいはその防止のための支出はその土地を利用して収益を得るための必要コストとなって,地価がその分だけ低く評価されることになります.土地は地表の特定位置に固定され,その地理的位置を主要な属性とする特殊な商品で,一般的な市場価格は存在しないのですが,実際の取引事例に主として基づく公的な地価調査では,交通の便や生活の便など利便性が重要視され,災害危険性はすくなくとも明示的には取り入れられていないのが実情です.

低きに従うという水による災害では地形(標高・比高など)が危険度をほぼ決めます.台地が多く分布する東京近郊の鉄道沿線域について,地価形成の主要因である東京からの距離,最寄駅からの距離,宅地の整備水準などおよび地形を説明変数とした回帰分析を行って地価算定式を求め,地形についての係数が台地を1.0として河川・海岸低地のそれが0.85という結果が得られました.これは駅からの距離などの条件は同じでも,低地の地価は台地に比べ平均して15%ほど低く評価されていることを示します.この値は水害危険性を直接に反映したものではありませんが,長年の災害の経験などから成立した土地評価の平均的格差を示すものでしょう.しかし,災害履歴をもたない新しく開通した鉄道沿線の新興住宅地では,駅らの距離など利便性だけにより最大限の値付けがなされていて,地形による差は認められません.

東京近郊の内水常習地を想定して,水害危険性による地価低下額を計算してみます(国土交通省の基準を使用).中位の床上浸水による被害額は450万円であり,これが30年に1回の頻度とすると1年あたり15万円になり,収益還元法によってこの負の収益を土地と代替的な資産の収益率で割り引いて現在価値を求めると,およそ400万円です.1宅地面積を200m2とすると,1m2あたり2万円だけ低く評価される計算になります.都道府県地価調査による住宅地の平均地価は,埼玉県が11万円,千葉県が7万円で,この低下分2万円は15%を超えた大きさです.

つぎに三陸沿岸のような津波高危険地について計算してみます.全壊被害の場合の家屋・家財の平均被害額は3,000万円です.この被害が次に60年後に生じるとすると,その現在割引き価値は200~400万円程度になると計算できます.住宅地平均地価は岩手県2.7万円,宮城県3.3万円です.三陸沿岸の津波高危険地では,人命への非常に大きな危険性も加えて考えると,住宅地としての地価がほとんど成立しないとしてもおかしくはありません.国税庁は2011年の津波後の地価(路線価)下落率の最大を宮城県80%,岩手県70%としした.これは社会インフラの喪失などを評価した結果ですが,このような大幅な地価下落は,その大きな災害危険性を見込めば当然な結果といえるでしょう.津波被災地の土地買い上げ価格が問題になっていますが,高危険地に市街地を拡大させて地価を不当に高くしていたことが指摘されざるを得ません.

土地利用がもたらす経済的コストの具体的金額表示は,災害危険性の存在の認識およびその回避のための対応策の選択に役立つ情報となるでしょう.低地価ゆえに危険地への居住がおこなわれるのを抑制するためには,強固な建物構造の義務付け,水害保険の強制加入と危険度に応じた高い保険料率(これらは米国で実施)など,土地利用のコストを大きくする土地利用規制が必要です.明らかな高危険地の居住者が被災したことに対する経済支援は,その方法によっては防災の目的に反し,再び災害を招く条件をつくる可能性があります.
(水谷 武司)

自然災害情報室からのお知らせ

◆次号で自然災害情報室メルマガは2周年を迎えます.次号,第25号は2月8日(水)発行の予定です.第25号に情報・告知等の掲載をご希望される方は,2月5日までにご連絡くださいますようお願いいたします.

編集後記

◆明日1月17日は兵庫県南部地震が発生した日です.今年で17年目にあたります.改めて,亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします.

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発行 防災科学技術研究所 自然災害情報室

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〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1
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