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メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」第19号(2011年08月05日発行)

◆気温の変化が激しい昨今です.つくばではこの2週間ほどは過ごしやすい気 温でした.一方で,新潟や福島では豪雨が発生しました.特集の冒頭に新潟お よび福島気象台の速報と災害時気象資料をURLで掲載しましたので,そちらも 合わせてご覧ください.

◆地震による地盤の緩みも発生していますので,皆様くれぐれもお気を付け下 さい.7月8月は大雨が多い時期に当たります.そこで,今号のテーマは豪雨と しました.

★このメールマガジンはご自由にご転送ください.災害研究や防災に関心のあ る方々との情報交換の場にしたいと考えております.セミナー・シンポジウム などイベント情報,本や論文の紹介と書評など,読者の皆様に役立つ情報はで きる限り掲載しますので,ぜひ情報をお寄せいただきたいと思います. < library@bosai.go.jp >までお願いします.

CONTENTS

災害発生地の今昔 <平成16年7月新潟・福島豪雨>

すでに多くの報道がされていますが,2011年7月27-30日に新潟・福島で豪雨 が発生しました.新潟県加茂市では7月の平均降水量の2倍に当たる626.5ミリ がこの期間で観測されました.

新潟県の豪雨で思い出されるのは2004年7月13日の「平成16年7月新潟・福島豪 雨」です.2004年の豪雨の後,中越地震もあり,新潟県の方々は大変なご苦労 があったかと思います.そこで今回は記憶に新しい「平成16年7月新潟・福島 豪雨」について特に新潟の災害についてご紹介します.

平成16年7月新潟・福島豪雨は気象庁命名の災害名で,新聞などでは7.13水害 とも呼ばれました.死者16名,負傷者86名,住家全壊71棟,半壊5657棟,床上 浸水1916棟,床下浸水6261棟でした.2004年7月12日夜から梅雨前線の影響で 降り始めた雨は14日正午までに栃尾市で431mm,長岡市で233mm,三条で217mm, 18日までの総雨量は栃尾市で563mmを観測し,当時観測史上最大の雨量を計測 しました.この豪雨によって約2万人の方が避難しました.

三条市諏訪の五十嵐川では1箇所が破堤,その付近では1926年7月28日にも同じ ように破堤し,諏訪新田集落が浸水した被害があったようです.破堤箇所の地 形分類をみると,自然堤防の隙間から谷底平野(氾濫原)に向かって切れたよ うです.また,見附市明晶(みょうしょう)町の刈谷田川の破堤箇所は旧河川 の主水路部分に向かって破堤していました.一方,見附市中之島の破堤箇所は 1870年3月25日,1885年10月にもほぼ同じ個所が破堤していたようです.自然 堤防の上でしたが,河川が急激に蛇行する左岸側に当たっています.ちなみに, 自然堤防とは自然の営力で形成された地形の名称です。形状的な特徴を簡単に 言えば流下する土砂が川の両岸に堆積した堤防状の高まりです.

このように破堤した箇所をみると,自然堤防の切れ目に当たる部分など地形的 に低く弱い場所であったり,または河川改修以前の流下方向に向かって破堤し たりと,もともと破堤が発生しやすい箇所で被害が出ており,素因は過去の川 の地形やその歴史にあったようです.報道写真集をよく見ると,破堤箇所の直 近の集落は水が流入した水田よりも少し高い位置にあることが伺えます.地形 分類をみると集落のある場所は自然堤防などの上にあり,少しでも高いところ に集落を形成していることがここから想像できます.

刈谷田川の破堤箇所は自然堤防に挟まれた曲線部分が破堤しており,集落も自 然堤防の上に形成されていますが,破堤・浸水の被害を被っています.2004年 の破堤箇所も自然堤防に囲まれている箇所です.それほどまでに土砂が溜まっ ているということはその場所はもともと土砂が堆積しやすい場所,水の勢いが 強い場所であったことが想像できます.もちろん,最大の原因は例年と比較し ても莫大な量の降雨があったことです.

人間はかつて,水域の近辺にある低い土地は水田などに利用し,周囲から少し でも高い場所に集落を形成していました.水田は有事には遊水池の役割を果た し,少しでも家屋などの被害を抑えようとしていたと考えられます.

土木技術の発達による河川改修の中で,人間社会は地形や川への認識が薄れて いるのかもしれません.しかし,2004年を上回る今回の豪雨の中で死者・行方 不明者合わせて6名と2004年の豪雨災害を下回る犠牲者で抑えることができた のは,2004年の豪雨があり,対策を講じたからこその結果だったのではないで しょうか.
(鈴木比奈子)

2011年7月に起きた主な自然災害 & トピック

特集 豪雨とは?

◆2011年7月27日より新潟と福島県で記録的な大雨が降りました.気象庁は今 回の大雨を「平成23年7月新潟・福島豪雨」と命名しました.

気象庁新潟気象台による今回の大雨の速報は以下の通りです.
◇平成23年7月27日から7月30日の大雨に関する新潟県気象速報
http://www.jma-net.go.jp/tokyo/sub_index/bosai/disaster/20110801/20110801_niigata.pdf

福島地方気象台の災害時気象資料は次の通りです.
◇平成23年7月新潟・福島豪雨(平成23 年7 月27 日-7 月30 日)
http://www.jma-net.go.jp/fukushima/topics.files/saigaijikishoshiryo20110727-30.pdf

7月や8月の上旬は雨が多い時期です.そこで今回は豪雨について特集します.

◆豪雨とは?

そもそも豪雨とはどのようなことを示しているのでしょうか?
気象庁の降水用語では以下のように説明されています.
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html

◇【豪雨】:著しい災害が発生した顕著な大雨現象
<用例>
「○○豪雨に匹敵する大雨」等著しい災害が発生し命名された大雨災害の名称 か,もしくは地域的に定着している災害の通称(例:東海豪雨)の名称を引用 する形で用いる.一般に発表する予報や警報,気象情報等では,「豪雨」単独 では用いない.
<備考>

(気象庁HPより)
つまり,気象用語としての「豪雨」とは大雨災害のことを示すのです.

◆報道でよく耳にするゲリラ豪雨って何?

いわゆるゲリラ豪雨という言葉は正式な気象用語・防災用語ではありません. 2008年の流行語大賞で選出されたため,広く知れ渡る言葉となったようです. 気象用語では「局地的大雨」と示しており,以下のように説明されています.

◇【局地的大雨】:急に強く降り,数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨.「局地的な大雨」とも言う.
<備考>
単独の積乱雲が発達することによって起き,大雨や洪水の注意報・警報が発表 される気象状態でなくても,急な強い雨のため河川や水路等が短時間に増水す る等,急激な状況変化により重大な事故を引き起こすことがある.
(気象庁HPより)

局地的大雨は局地的に短時間で強い雨が降るため,予測が困難でした.また河 川の急激な増水によって浸水被害や洪水の可能性が非常に高く,過去にも局地 的大雨によって引き起こされた災害の事例があります.しかし,近年マルチパ ラメータレーダー(MPレーダー)やドップラーレーダーの設置により,局地的 大雨を補足できるようになりました.

Xバンドマルチパラメータレーダ/首都圏Xバンド気象レーダネットワーク
http://mp-radar.bosai.go.jp/
防災科学技術研究所のXバンドマルチパラメータレーダ,中央大学・防衛大学 校・日本気象協会のXバンドドップラーレーダで構成される首都圏Xバンド気象 レーダネットワーク(X-NET)の観測結果を試験的にリアルタイム配信(約500 mメッシュで5分毎に更新)しているページ.

◆マルチパラメータレーダ(MPレーダ)とは?

防災科研はXバンド偏波ドップラーレーダを開発導入し,雨の量をより正確に 測る研究を進めてきました.多くの項目を測定できるので,このレーダを「マ ルチパラメータ(MP)レーダ」よび,従来のレーダに比べるとより詳細な情報 が得られるレーダーです.Xバンドとは波長約3.2cmの周波数帯のことを示して います.取得できる情報の違いは次の通りです.

<レーダータイプ別の得られる情報>

  •       雨量情報 風の速さ 雨滴形状の傾向
  • 通常レーダ:■■■■ □□□□ □□□□
  • ドッ プラー :■■■■ ■■■■ □□□□
  • MPレーダー:■■■■ ■■■■ ■■■■

MPレーダではどのような形の雨粒が多く含まれているかといった傾向や,雨粒 の個数や分布が推定できます.雨粒は大きくなると球形から潰れたお饅頭のよ うな形に変化します.雨粒の形の傾向が分かることによって,雨の強さをより 正確に把握することができるのです.また,雨粒の形や散乱の特性から,雨な のか雪なのかを区別をすることもできるのです.

◆国土交通省 XバンドMPレーダ雨量情報
http://www.river.go.jp/xbandradar/index.html
国土交通省のリアルタイム雨量情報のサイト.1分毎に更新する. 防災科研がデータアルゴリズムを提供しています.
(鈴木 比奈子)

図書館探訪―災害資料を訪ねて― (その6)<京都大学研究資源アーカイブ 映像ステーション>

今回は京都府左京区にある京都大学研究資源アーカイブ 映像ステーションを 訪ねました.

2008年にオープンした映像ステーションは,JR京都駅から地下鉄を乗り継ぎ約 30分,京阪電車「神宮丸太町駅」下車徒歩5分の稲盛財団記念館1階にありま す.京都大学で蓄積された様々な「研究資源」を利用し,映像番組を製作し一 般公開することを目的としています.

今回は災害資料とは直接関係はありませんが,今後増えるであろうデジタルコ ンテンツや資料整理方法について勉強させてもらうため,ここで開催された天 文台アーカイブプロジェクト報告会に参加しました.

★京都大学研究資源アーカイブ 映像ステーション(HPより転載)

京都大学では,過去のフィールド研究や海外学術調査,キャンパスでの教育研 究活動において収集・創出された多種多様な研究資源を,「研究資源アーカイ ブ」に蓄積・保存し,教育・研究資料として再活用を図るとともに,広く社会 に公開普及する方向で準備しています. 「映像ステーション」は,その研究資源や,それから生み出された映像コンテ ンツなどの公開のために開設され,京都大学の映像・音を通した新たな交流の 場となることを目指しています.

★映像ステーションで行っているサービス
★提供コンテンツ

京都大学の研究成果や研究者評伝の短編作品が個人ブースで,長編2作品が映 写コーナーでご覧になれます.

★データ 京都大学研究資源アーカイブ 映像ステーション
★雑感

今回はまず最初に,寄贈されたダンボール600箱に埋め尽くされた別室で,天 文関係の貴重な資料の一端を拝見しました.次に会場に移動し,報告会では資 料の扱い方や整理の方法,利活用についての話題提供や議論がなされたほか, 資料にまつわる様々な話が紹介されました.その中に,寄贈された資料を整理 するためには,その方の一生を知らなければ整理できないという意見がありま したが,全く同感です.資料整理とは,受け入れた600箱に詰められたその方 の人生を紐解くこと,アーカイブを構築することは,その方の人生を再現する ことのように感じました.

資料の価値判断はとても難しく,今に生きる人には必要ないかもしれないけれ ど,後世の人が必要とするかもしれません.しかし,残すものを厳選しなけれ ば量が増え,整理も保管もままならずというジレンマに陥ります.温湿度など の保管環境,資料によって項目の異なるメタデータのつけ方,手間隙コストと, どれをとっても悩ましい問題ばかりです.

デジタルアーカイブはオリジナルを損なうことなく,どこからでも資料情報に アクセスでき,何倍にも活用できます.しかも,新しい資料は最初からデジタ ルで作られる時代です.どのような在り方が好ましいのか,ベストな答えはで ませんが,ベターを求め,今後も検討を重ねていきます.
(堀田 弥生)

イベント情報

◇夏休みに入り,小さいお子さんから高校生,大学生向けのプログラムのイベ ントが増えました.全てのプログラムを出すことはできませんでしたが,イベ ントの中でこれはと思うプログラムを挙げてみました.

◆人と防災未来センター「夏休み防災未来学校2011」
http://www.dri.ne.jp/news/news11/summer_school.html
日程:2011年7月30日-8月30日

◆3.11の教訓 歴史は眠らせない.災害復興時「逃げるまちから,逃げ込めるまちづくり」へ
http://www.jpn-civil.net/event/2011/07/25/311.html
日時:2011年8月6日(土)14:30-16:00

◆平成23年度 防災科研 雪氷防災研究センター新庄支所 一般公開「雪の研究館へようこそ」
http://www.bosai.go.jp/seppyo/
http://www.bosai.go.jp/seppyo/fukyu/ippankoukai/ShinjoIppannkoukai/2011poster_ShinjoIppan.pdf
日時:2011年8月6日(土)10:00-16:00

◆(独)産業技術総合研究所 北海道センター 一般公開「きて!未来の技術がいっぱい」
https://unit.aist.go.jp/hokkaido/topic/110806_koukai.html
https://unit.aist.go.jp/hokkaido/topic/110806_koukai_ch_o.pdf(pdf表)
https://unit.aist.go.jp/hokkaido/topic/110806_koukai_ch_u.pdf(pdf裏)
日時:2011年8月6日(土)9:30-16:00

◆稗田山崩れ100年‐語り継がれるべき災害の歴史‐シンポジウム
http://www.hrr.mlit.go.jp/matumoto/hiedayama/index.html
http://www.hrr.mlit.go.jp/matumoto/hiedayama/pdf/01about.pdf(pdf)
日時:2011年8月8日(月)13:00-17:00(シンポジウム)
   2011年8月9日(火) 9:00-14:00(現場見学会※)

◆大阪大学 特別講演会「3.11以後の科学技術政策と大学」
http://www.lserp.osaka-u.ac.jp/info/81816_311.html
http://www.lserp.osaka-u.ac.jp/files/20110818_lecture_arimoto.pdf
日時:2011年8月18日(木)16:00-17:00

◆防災と地理教育-東日本大震災からの教訓を生かして-
http://wwwsoc.nii.ac.jp/ajg/JOGS/news/110716.pdf(pdf)
日時:2011年8月19日(金)13:00-17:00

◆JAMSTEC 横浜研究所 特別開館「しんかい6500 スペシャル」
http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/2011summer/
日時:2011年8月20日10:00-17:00

◆葛飾区郷土と天文の博物館 環境学講座:東日本震災緊急報告会 http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/kdm/index.php?app=event&mode=detail&data_id=49
http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/image/kankyogaku01.pdf(pdf)
日時:2011年8月20日(土)

◆東京大学 地震研究所「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」
平成23年東北地方太平洋沖地震に関する研究シンポジウム
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/YOTIKYO/taiheiyou/symposium_110820.html
日時:2011年8月20日(土)9:00-17:00

◆21世紀気候変動予測革新プログラム 平成23年度公開シンポジウム
「気候大変動の時代に生きる 自然との共生の知恵を求めて」
http://www.jamstec.go.jp/kakushin21/jp/symposium2011/
http://www.jamstec.go.jp/kakushin21/jp/symposium2011/images/KAKUSHIN_poster.pdf
日時:2011年8月22日(月)13:30-17:00(開場13:00)

◆第2回シンポジウム「海洋教育がひらく防災への道」
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info.html?id=3026
日時:2011年8月27日(土)13:00-17:20 

◆「防災・減災フォーラム2011 in 徳島~東日本大震災の教訓・『東海・東南海・南海』三連動地震への備え~」
http://anshin.pref.tokushima.jp/normal/risk_management/news.html?cid=risk_management_news&nid=131129966115
http://anshin.pref.tokushima.jp/data/normal/risk_management/risk_management_news/2011/07/EziERJr.pdf(pdf)
◇全体会
日時:2011年8月27日(土)14:00-17:30

◆JAMSTEC 第6回海洋と地球の学校
「災害を越えて未来を切り開く-地球システムと自然災害科学-」
http://www.jamstec.go.jp/j/pr/school/006/
http://www.jamstec.go.jp/j/pr/school/006/leaflet.pdf
日時:2011年8月29日(月)-9月3日(土)

◆鳥取環境大学公開講座2011
「地震災害と住まいのリスク-大地震に備えられるか-」
http://www.kankyo-u.ac.jp/visitors/extension/course/course2011/#b
http://www.kankyo-u.ac.jp/photolib/information/P00470.pdf
日時:2011年9月3日(土)鳥取会場,9月10日(土)米子会場 10:30-12:00

◆第159回河川文化を語る会
「2011年の大津波による海岸災害と被災を免れた神社」
http://www.japanriver.or.jp/kataru/kataru_no159.htm
日時:2011年9月6日(火)18:00-20:00

◆第28回歴史地震研究会大会
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/meeting/28th_taikai_v2.pdf
日時:2011年9月16日-18日

新刊情報  最近出版された災害・防災関連図書を紹介します.

★6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録
角川SSC新書 (角川SSC新書 130) [新書]
【著者】石巻日日新聞社 (編集)
【発行者】角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
【発行年月日】2011年7月
【価格】\980       【ISBN】9784047315532

★宮城県気仙沼発! ファイト新聞
【著者】ファイト新聞社
【発行者】河出書房新社  【発行年月日】2011年7月
【価格】\1,300      【ISBN】9784309020525

★ロック~わんこの島~
【著者】豊田 美加, 水橋 文美江, 鈴木 智
【発行者】ワニブックス  【発行年月日】2011年7月
【価格】\1,200      【ISBN】9784847019913

★災害対策全書 1~4
【著者】ひょうご震災記念21世紀研究機構
災害対策全書編集企画委員会 (編集)
【発行者】ワニブックス  【発行年月日】2011年7月
【価格】各\4,500~6,500
【ISBN】9784324800416 , 9784324800423 , 9784324800430 , 9784847019913

★東日本大震災復興支援地図
【著者】昭文社出版編集部 (編集)
【発行者】昭文社     【発行年月日】2011年6月
【価格】\1,000      【ISBN】9784398691019

★天災と復興の日本史
【著者】外川 淳
【発行者】東洋経済新報社 【発行年月日】2011年6月
【価格】\1,575      【ISBN】9784492061848

★停電・震災に備えるPC管理術
データ/ネットワークを守る安心環境を構築せよ
【著者】橋本 和則
【発行者】技術評論社   【発行年月日】2011年7月
【価格】\2,079      【ISBN】9784774147307

 防災コラム <防災科学の基礎知識>

第十九回 大雨に関連する警報・情報

大雨警報・暴風警報などの気象警報は,重大な災害が起こるおそれがある旨の 警告をする予報であり,雨量や風速などの気象要素がある基準を超えると予想 される場合に発表されます.この基準は,過去の災害時気象状況に基づいて地 域・地区ごとに定められています.最もなじみのある大雨警報の基準は市町村 ごとに定められており,全国的に多いのは1時間雨量50mmや3時間雨量80mmなど です.かつては24時間雨量が主要基準値でしたが,この値では西日本太平洋岸 と北海道とで3倍ほどの差(年平均降水量とほぼ同じ差)がありました.

雨量がこの基準を超えるという判断は,アメダスと気象レーダーの観測デー タに基づく降水短時間予報により行います.レーダーから発射され雨滴にあた って戻ってくる電波の強さは雨滴の粒径の6乗にも比例し水分量を正しく示さ ないので,アメダスの実測値などによりレーダー映像を補正して,実際の雨量 に相当するものに直したのが解析雨量です.解析雨量は1km四方の細かさで30 分ごとに求められています.

降水短時間予報は,過去および現在の解析雨量が示す雨域の動きなどから,6 時間先までの雨量分布を予測するものです.記録的短時間大雨情報は,基準と した激しい雨(数年に1度程度しか発生しないような大雨)を観測したり解析 したときに,都道府県の情報として発表されます.

土砂災害警戒情報は土壌雨量指数を発表基準にしています.土砂災害の発生 には,浸透して地中に留まっている雨水の量が関係します.そこで,地中を側 面と底に孔の開いたタンクになぞらえ,上から解析雨量と今後予想される雨量 をインプットして,各時点にタンク内に留まっている水分量を計算し,土砂災 害の危険にかかわる土壌雨量指数としています.孔の大きさなどは地形・地質 に関係なく全国一律とし,地表面を1辺4kmのメッシュで求めており,個々の斜 面の危険を示すようなものでは全くありません.

洪水警報は,流域をやはり孔あきのタンクにモデル化して下流への流出量を示 す流域雨量指数を計算し,これと雨量基準とを併せて発表の基準にしています. 強い雨域が去っても,流域内に多量の雨水が残っている間は警報が継続します. 主要な河川では各個所ごとに,はん濫注意水位,避難判断水位,はん濫危険水 位などが定められており,水防警報や避難勧告などはこれに基づき出されます. はん濫危険水位には計画高水位(堤防の設計限界の水位)を与えるのが原則に なっています.

大雨災害は一般に,1時間50mmを超えるような強い雨が3時間以上も続いたとき, いわゆる集中豪雨により起こります.集中豪雨の起こりやすいのは,上空へ寒 気が流入し大気が非常に不安定になって強い上昇気流が起こり,そこへ南方か ら湿った気流が流入して水分を継続的に供給するという気象状態のときです. 山があると強制上昇が生じて,風上側で強雨が続きます.

強い上昇気流がつくる積乱雲の寿命は1時間程度ですが,子雲・孫雲と自己増 殖していく状態になると,狭い範囲に集中して雨が降ります.激しい雨と雷は 断続して続き,背の高い雷雲のため昼でも真っ暗になり,雲は激しく流れます. 大雨警報が出されたら,このような気象状況や雨の経過を注意深く見守る必要 があります.気象レーダー画像はインターネットで常時配信されており,強雨 域移動の予想などに役立ちます.大雨警報が間に合わないほどに雨が局地的に 急速に激しくなることはしばしばです.

被害を直接引き起こすのは洪水や斜面崩壊などです.この発生には雨の予報 区域よりもずっと狭い範囲の土地環境がかかわっています.起伏の大きい土地 では洪水流は激しくなり危険です.大きな河川の洪水では予報区域外の上流域 の雨量が関係します.市町村単位の情報だけでは不十分なのです.気象の注意 報・警報は,空振りを承知の上で,見逃しがないように,安全を見込んで出さ れています.これを受けとめる側は,地区ごとの土地環境と危険の種類・程度 に基づいた対応を行う必要があります.とくに山地域では警報に依存しない独 自の判断が求められます.
(水谷 武司)

自然災害情報室からのお知らせ

◆次号,第20号は9月7日(水)発行,第21号は10月7日(金)発行の予定です. 第19号に情報・告知等の掲載をご希望される方は,9月5日までにご連絡くださ いますようお願い申し上げます.

編集後記

◆皆様,今回の特集はいかがでしたか?豪雨というのは災害名に当たるのだと いうことを恥ずかしながら今回初めて知りました.最近,X-NETを見ていると 千葉県北西部に降雨情報が出ていることが多いので,地形と気候条件による特 性があるようだと感じました.

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発行 防災科学技術研究所 自然災害情報室

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