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メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ自然災害情報の収集・発信の現場から」第14号(2011年03月08日発行)

★このメールマガジンはご自由にご転送ください.

★災害研究や防災に関心のある方々との情報交換の場にしたいと考えておりま す.セミナー・シンポジウムなどイベント情報,本や論文の紹介と書評など, 読者の皆様に役立つ情報はできる限り掲載しますので,ぜひ情報をお寄せいた だきたいと思います. library@bosai.go.jp までお願いします.

◆2月22日にニュージーランド クライストチャーチで地震が発生しました. 被害にあわれた方のお見舞いと,御冥福をお祈りいたします.数は少ないです が,クライストチャーチ地震関連のリンク集を作成いたしました.
D-Links: http://dil.bosai.go.jp/link/disasterlinks/index.html
また,3月9日に学習会で講演をしていただく石川地磁気観測所長が今回の地震 の参考資料を提示されています.併せてご覧ください.
http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~catfish/event/2011newzealand.html

◆今回のテーマは「九州の火山噴火」です.「特集」は霧島山新燃岳関連情報 で,「災害発生地の今昔」は阿蘇山,「図書館探訪」は雲仙普賢岳を取り上げ ました.

★アンケート:当メールマガジンのアンケート調査では、いつも皆様から忌憚 のないご意見をいただきありがたく存じます. 先号のアンケートでも38豪雪の体験談や今シーズンの豪雪についてのご意見や 体験談などをお寄せいただくなど大変な反響をいただきました. これを受けて,アンケート項目に自然現象・災害の体験談の項目を追加いたし ました.身近な災害情報・体験を伝承する,共有することにつながればよいと 考えております.
皆様の体験談・ご意見をお待ちしております.

CONTENTS

災害発生地の今昔 <阿蘇火山-噴火がもたらす地形と観光>

霧島山新燃岳の噴火が注目されている九州ですが,九州には大規模なカルデラ や現在も活発な活動を続けている火山が数多く存在します.今回はそのひとつ, 日本列島の中でも最大の規模を誇る阿蘇火山について紹介したいと思います.

阿蘇火山は約27万年前から活動を開始した,巨大な陥没カルデラ(南北25km, 東西18km)を持った日本列島有数の活火山です.阿蘇山という名称は活発的な 中央火口丘群(根子岳・高岳・中岳・烏帽子岳・杵島岳など)を総称したもの で,現在最も活発なのは中岳です.私が行ったときは火口を見ている間に火山 ガスの濃度が高くなり,慣れていないと少しくらくらするほどでした.

阿蘇火山はカルデラの中に約4.5万人以上の人々が居住し,鉄道が通り,北に 阿蘇谷,南に南郷谷という平坦な谷と白川・黒川が流れています.また阿蘇の 名水として白川水源は非常に有名です.阿蘇の町の中から景色を眺めると,巨 大な壁がぐるりと町を取り囲み,まるで城壁のようです.城壁のようなカルデ ラの外側は平坦な台地が広がり,西側は牧場が多く立地し,東側は細い谷が刻 まれ,高千穂へと抜けていきます.風光明媚な阿蘇火山は観光客が多く訪れ, 日本の観光地の一つとしても有名です.霧がかった阿蘇の光景は言葉にできな い美しい光景です.

実はこのような地形は,約8.9万年前の噴火による火砕流によって形成された ものです.阿蘇-4火砕流と呼ばれるこの火砕流は,阿蘇噴火史上最大の噴火に 伴った火砕流で,雲仙普賢岳(1991-92年)の火山噴火の100倍以上の規模を誇 ります.火砕流は中部九州を覆い,さらに海を越えて山口県まで到達しました. 1991-92年雲仙の火砕流の映像からもわかるとおり,火砕流の速度は非常に早 く,山,谷や海を越えることができます.阿蘇山のカルデラに見ることができ る阿蘇-4火砕流は腕一抱えもある岩やこぶし程度の礫が混在するガサガサした 地質となっています.阿蘇では少なくともこのような大規模な火砕流が4回発 生したことが分かっており,いずれも阿蘇の周辺で見ることができます.観察 場所は個人の家の栗林の中にある崖であったり,道路の岩肌で見えたりあるい は焼酎の醸造所の洞窟であったりします.

阿蘇の火口である中岳へ向かう道路の途中にはお椀を伏せたようなきれいな円 錐形の米塚や小さな小山がいくつもみられます.この米塚は3300年前頃に噴火 と溶岩流出で形成した火山です.このような小さな火山はスコリア丘と呼ばれ, その時1回だけで噴火が終わる単成火山です.道路はスコリア丘を切り通して いる場所もあり,山の中身を観察することができます.スコリアは褐色~黒色 の軽石で,ガラス質を多く含んでいるのでとげとげしています.

内牧など北側の阿蘇谷は昔湖でした.湖は沼鉄鉱(リモナイト)と呼ばれる黄 土色の土を作り出しました.リモナイトはガスや有害物質などを吸着する物質 として注目され,現在商品化されています.阿蘇谷で産出されるリモナイトは 家畜の飼料や土壌改良材として使われています.また,阿蘇谷は現在広大な水 田地帯となっています.

日本は火山により形成された地形を訪れる観光地が非常に多い国です.日本の 火山観測網は整備され,噴火の予測が立てられるようになってきていますが, 火山を利用する我々人間側の意識を向上させ,活発な活動をしている火山につ いては,火山は噴火するものだ,という認識を持つこと,活発な活動をしてい ない火山体については雨や地震による地すべりやなどの土砂災害が発生する可 能性があることを常に念頭に置いておく必要があるのではないでしょうか.も ちろん,火山噴火のもたらす恵みも忘れてはいけないでしょう.

自分が今宿泊している場所,歩いている場所が過去の噴火災害の跡地であると 感じながら観光をしてみるとまた違ったとらえ方があるかもしれません.
(鈴木比奈子)

<参考文献>

2011年2月に起きた主な自然災害 & トピック

昨年12月~オーストラリア北東部で冠水被害を引き起こしていた洪水と,2月2 日から3日にかけてのサイクロンにより,被害面積は独仏両国を合わせた規模 にまで拡大した.

特集 霧島山新燃岳の噴火活動 <火山防災研究部 小園誠史,長井雅史>

◆今回は1月19日から噴火活動を開始し,現在も活動している新燃岳について 特集します.コラムは火山災害を研究している防災科研 火山防災研究部の小 園研究員と長井研究員に執筆のご協力をいただきました.

◆霧島山(新燃岳)の噴火活動

霧島山火山群の中央部に位置する新燃岳は,安山岩質の比較的新しい成層火山 で,1万7000年前頃には形成を開始していたとされています.300年前の1716- 1717年(享保元-2年)噴火は数千年間程度の休止期間の後に起こった爆発的噴火 で,水蒸気爆発,マグマ水蒸気爆発で始まり,火砕流の発生を伴う激しい噴火 を繰り返しました.その後新燃岳では1822年,1959年,2008年,2010年に水蒸 気爆発が記録されています(井村・小林,1991;2001;下司ほか,2010).

今回の新燃岳の噴火は2011年1月19日未明,最初の爆発的噴火があり,南東地 域の広い範囲に火山灰が降下しました.この噴火の火山灰には既存の岩石の破 片に混じって少量のマグマの破片が含まれていたことから,マグマ水蒸気爆発 であったとされています.

1月26日の朝から小規模な爆発が再開し,27日にかけて高い噴煙を連続的に噴 き上げる激しい爆発的噴火が数回起こりました.この一連の噴火で南東側風下 地域には大量の軽石,火山灰が降下しました.火口から8kmの距離では堆積物 の厚さは約5cmあり,中に含まれている軽石は最も大きいもので長径6cmに達し ます.細かな火山灰はより遠くまで拡散し宮崎県の南部一帯に降下し,衛星画 像によると紀伊半島沖まで到達したことが明らかになっています.また,山頂 火口の周辺には小規模な火砕流堆積物が発見されました.ある程度の期間高い 噴煙が連続して立ち昇り,軽石や火山灰となったマグマの破片を降下させる噴 火は「プリニー式噴火」といわれるタイプで,ガス成分を含むマグマが勢いよ く大量に噴出する際に生じます.この間の噴出量は約1000万m3,噴煙の高度 は気象レーダーによると最高で海抜約8500mとされていますが,一般的なプリ ニー式噴火よりやや規模が小さいため「サブ(準)プリニー式噴火」といわれ るタイプに相当すると考えられます.

28日には山頂火口内に生じた多数の火口から火山灰を含む噴煙の噴出が続いて いましたが,火口のひとつに小規模な溶岩ドームが生じていることが確認され ました.その後火山灰放出や単発的な爆発は続きましたが,次第に白色の水蒸 気噴煙の放出が主体になりました.この間に山頂火口内には大量の溶岩が流出 し1月31日までに直径約600mの平たいパンケーキ状の岩体が形成されました. この間の噴出量は約1500万m3と推定されています.

2月1日ごろから溶岩の流出が停滞し,単発的な爆発が頻発するようになりまし た.特に2月1日7時54分の爆発ではメートルサイズの大きな噴石(弾道岩塊) が火口から3.2kmまで到達しました.これらは「ブルカノ式」と呼ばれるタ イプの爆発で,半固結状態のマグマが内部に閉じ込められたガスの圧力で吹き 飛ばされます.一回の爆発の噴出量は少ない(大体1月26日噴火の数100分の1 以下)のですが,空震を伴って大きな噴石を撒き散らすため危険性は決して小 さくありません.3月4日現在もブルカノ式噴火は散発的に続いており,溶岩の 表面は一面噴出した火山灰と岩塊に覆われ,噴火口と思われる小孔や割れ目が 多数分布しています.

水蒸気爆発からサブプリニー式噴火,ブルカノ式噴火の発生へと続いた今回の 噴火活動と享保の噴火の経緯の類似点は多くの研究者が指摘しています.マグ マの噴出は現在ほとんど停滞しているように見えますが,享保噴火と同様に期 間をおいて激しい噴火を繰り返すのか,このまま終息するのかどうかの見通し はまだ確立されていません.議論できる状態に導くためには,噴火様式や噴出 物の性状の迅速な把握と地殻変動等の観測データの一層の充実が必要と思われ ます.
(火山防災研究部 長井雅史)

<参考文献>
◆防災科研による霧島山(新燃岳)噴火活動の観測・研究

今回の霧島山新燃岳における噴火にともない,気象庁や全国の研究機関・大学 では連携して噴火活動の観測を行っています.防災科研においても,噴火推移 の把握や予測に貢献する様々な観測・研究に取り組んでいます.
NIED霧島山(新燃岳)情報

防災科研は,全国の10の活火山にその活動の把握のために基盤的火山観測網 を整備しており,その中で霧島山でも一昨年から2観測点の整備に取り組み, 昨年の4月から観測を開始しました.観測点では地下200mに地震計と傾斜計を 埋設し,地表には広帯域地震計とGPSを設置しています.地下深くに観測機器 を設置することによって,火山活動に関係しないノイズ(雑音)を抑え,より 正確に噴火による変動を抽出することができます.今回の噴火活動でも,噴火 においてマグマが地表へ噴出するのに伴い地下のマグマ溜まりが収縮する様子 を,傾斜計によって高精度で捉えることができました.これらの観測データは 気象庁や大学,他の研究機関にも提供されており,霧島山の活動の推移把握に 大いに役立てられています.地震のデータについては下記ページで一般の方々 にも公開されていますので,是非ご覧になってみてください. <NIED霧島山観測データ

防災科研では,観測点データの収集・解析の他にも様々な解析・調査に取り組 んでいます.今回の新燃岳噴火の特徴として,噴火の推移が非常に早く,日毎 に火口内の様子が変化していったことが挙げられます.そこで効力を発揮した のが,悪天候や夜間でも地表の変化を測ることができる衛星からの合成開口 レーダー(SAR)を用いた解析です.これによって,1月27日から30日にかけて の火口内における溶岩の流出と蓄積の様子を連続的に捉えることに成功しまし た.この解析結果は直接観測が困難な火口部におけるマグマの物性や流出メカ ニズムを理解するうえで非常に重要となります.また,実際の火山噴火の現場 に出向いて,東大地震研と協力して地質調査も行っており,これによって火山 灰や軽石などの噴出物の分布や量に関するデータを収集・解析しています.噴 出物量は,傾斜計のデータから推定されるマグマ溜まりの収縮量との関係を議 論するうえでも非常に重要なデータです.

以上のような観測データは,噴火現象の数値シミュレーションとの比較にも活 用され,防災科研でもこれらのデータに基づいて火口内の溶岩流出や地下にお けるマグマ上昇のシミュレーションが開始されています.このように防災科研 では,様々な観測データや研究手法に基づき,それらを有機的に結びつけて, 今回の霧島山噴火のメカニズムを明らかにしていくことをめざしています.
(火山防災研究部 小園誠史)

図書館探訪 ―災害資料を訪ねて― (その5) <雲仙普賢岳の被災遺構や見学施設紹介>

今回は雲仙普賢岳周辺の施設をご案内します.
1991(平成2)年から雲仙普賢岳では,5年間噴火が続き,出現した溶岩ドー ムは平成新山と名付けられました.1992(平成3)年6月3日の火砕流では死 者・行方不明者43人の被害がありました.2007年11月には島原市で火山都市国 際会議島原大会が開催され,巡検に参加したので,その前後に巡った場所も含 め,被災遺構や見学施設を中心にご紹介します.

現在,この地域は島原半島ジオパークhttp://www.unzen-geopark.jp/Jp/index_j/index_j.htmlとして登録され,整備が進んでいるようです.
当時と状況が異なっている場合はご容赦ください. また,ご紹介した中には立ち入り禁止区域もありますのでご注意ください.

雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)
http://www.udmh.or.jp/
この記念館には何よりも見て欲しい展示があります.
それは,平成14年に14年ぶりに発見された日本テレビの火砕流被災カメラに残 されていたテープから再現された映像をもとに製作された「雲仙大火砕流378 秒の遺言」の放映です.これほど災害・防災・避難について問いかける力を持 った被災資料を見たことがありません.このコーナーは展示コースの最後の小 部屋にあります.外に出て,真正面に聳える普賢岳に向かって黙祷を捧げまし た.

土石流被災家屋 保存公園
http://www.unzen-geopark.jp/Jp/1/geosites/2/debrisflow_remain/debris_flow_j.html
水無川では繰り返し土石流が発生して,家屋や田畑が埋没しました. その後,安中地区では平均6mのかさ上げをして,住宅を復興しました. 公園では埋没した被災家屋11棟を見学することができます.

旧大野木場小学校校舎
http://www.unzen-geopark.jp/Jp/1/geosites/2/Onokoba/onokoba_j.html
平成3年9月15日の火砕サージにより直撃は免れたものの焼失した小学校校舎が 当時の状況のまま保存され,周囲から見学できます.この時には避難後でした ので,人的被害はありませんでしたが,高温にさらされ廃墟と化した校舎内や, ぐにゃりと曲がった校庭の鉄棒などの様子が生々しいです.焼け焦げたイチョ ウの大木は再び芽吹き,復興の象徴のようでした.

大野木場監視所(愛称;大野木場砂防みらい館)
http://www.qsr.mlit.go.jp/unzen/gakusyusisetu/miraikan/index.html
国交省雲仙復興事務所の普賢岳の監視兼火山砂防の広報施設で,旧大野木場小学校に隣接しています.

仁田峠
http://www.city.shimabara.lg.jp/section/shokan/geopark/Jp/1/geosites/2/Nita_pass/nita_j.html
ここからは平成新山の南面が間近に見えます.ロープウェーに乗り妙見岳まで行くと,溶岩ドームがさらに近くに見えるそうです.

平成新山ネイチャーセンター
http://www12.ocn.ne.jp/~hnc/
垂木台地にあり,ここからは平成新山の北面が間近に見えます.平成新山では斜面の安定化のために植物の種を上空から空中散布したり,植林などの取り組みを行っており,自然環境の回復過程を観察できる施設です.

上木場火砕流被災遺構(立ち入り禁止)
http://www.unzen-geopark.jp/Jp/1/geosites/2/kamikoba/kamikoba_j.html
北上木場農業研修所跡や,マスコミが撮影地点としていた通称「定点」と呼ばれる付近です.

千本木被災遺構(一部立ち入り規制)
http://www.unzen-geopark.jp/Jp/1/geosites/2/Senbongi/senbongi_j.html
ここは有明湾側から見ると,眉山の裏側にあたります.溶岩ドームの成長が山頂北東側に変わった平成5年以降,火砕流・火砕サージ等で被害を受けた地域です.

★島原市立第5小学校 被災資料や子どもたちの絵画・作文などを展示する災害資料室が校内にあり,当時の資料を防災教育に役立てています.事前に申し込めば平日見学できるそ うです.(0957-62-2761)
以下は防災学習への取り組みを2002年国交省に表彰された際の記者発表記事で す.
http://www.mlit.go.jp/river/press_blog/past_press/press/200201_06/020530b/020530_ref32.html

眉山の山体崩壊に伴う流山地形 1792年の眉山崩壊により大量の土砂が有明海に入り,九十九島(つくもじま)の景観を生み出しました.その時の津波による死者は1万5千人といわれ,国内有数の大災害となりました.

ついでに災害小説も紹介しておきます.
『島原大変』 白石一郎 文春文庫(2007年)
(書評,メルマガ第7号)

★雑感 上記に挙げた施設を巡るにはとても1日では足りません.小さい施設で挙げきらなかったところや紹介できなかったところもまだありますが,ご容赦ください.

1991年6月の火砕流から,今年で20年になります.被災体験のない若い世代が育ちます.次の災害に備え,教訓を残すために,災害の記憶・記録をどのように継承していくか,当室の取り組む永遠の命題です.
(堀田 弥生)

読者からの情報提供コーナー

◆「災害時のラジオ放送に関するシンポジウム」

http://www.jasdis.gr.jp/topics/pdf/radio.pdf

ラジオは,被災地で市民に情報を届けるメディアとしてとても重要です.阪 神・淡路大震災をはじめ,その後の日本各地の地震や水害の際に,活躍を重ね ています.また,そうした活動を通じて,市民の助けとなるよりよい放送を行 うためには,近隣の放送局との助け合いや,行政機関への支援などが重要であ ることも認識されました.災害時にラジオに求められる役割は,今後ますます 広がっていくと考えられます.そこで,本シンポジウムでは,これまでの地震 や水害時のラジオの活動事例について報告するとともに,よりよい災害時のラ ジオ放送にむけた意見交換を行います.また,被災地復興支援のための「マル チラジオカー」を見学し,その活用方法についても話し合います.

※マルチラジオカーは,ラジオ関西が総務省ICT ふるさと元気事業を受けて開 発したもので,被災地に出動し,地域住民などが復旧活動や復興に関するラジ オ放送を行うための設備です.

日時:2011年3月16日(水)13:00-17:00
会場:JICA兵庫2階 講堂(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)
参加費:無料
定員:80 名
主催:人と防災未来センター
後援:株式会社ラジオ関西

※本シンポジウムは,総務省「ICT ふるさと元気事業」の一環です. 参加申込:URL先のPDF申込書に記入の上,電子メール又はFAXで申し込み.

※会場の都合上,定員になり次第,申込受付を締め切らせていただきます. なお,お申込み時点で,既に受付が終了していた場合は,その旨,ご連絡させ ていただきます.

問合せ:人と防災未来センター 事業部事業課 担当:杉浦
住 所: 〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2
e-mail:hitobou-jigyouka@dri.ne.jp<@を半角にしてください>
TEL:078-262-5068 FAX:078-262-5082

★プログラム:
13:05 講演
「ラジオ関西の阪神淡路大震災時の活動と,その後の取組み」三枝博行氏
13:30 見学 「マルチラジオカー」(野外での説明・見学)
14:15 被災地からの事例報告 (司会:人と防災未来センター 宇田川真之)
・あまみエフエム(理事長 麓 憲吾氏)
・MBC 南日本放送(報道部 有馬正敏氏)
・FM ながおか(代表取締役社長 放送局長 脇屋雄介氏)
・FM ジャングル[豊岡](取締役放送局長 西村 基氏)
・ラジオ関西(報道制作局専任局長 三上公也氏)
15:15 参加者による意見交換
17:00 閉会

◆日本森林学会大会テーマ別シンポジウム

「森林の取り扱いと土砂災害 -災害防止から見た森林施業のあり方-」
(独立行政法人森林総合研究所 三森利昭氏より情報提供)
http://www.forestry.jp/contents/meeting/meeting122/122-notice.html

崩壊・土石流を主とする土砂災害による犠牲者は,1970年代において毎年数百 名を数えたが,その後徐々に減少し,1994年及び2007年には犠牲者ゼロを実現 するまでになった.これは,治山・砂防事業の進展が大きな効果を発揮したこ とに加え,戦後の国土荒廃を克服するために造成された森林が数十年を経て成 林し,土砂災害防止機能を十分発揮するまでに成長したことによる.しかし, ここ数年このような状況から一転して,1970年代に多発した表層崩壊・土石流 を主とする従来型の土砂災害が再び増加しつつある.例えば,一昨年の山口県 防府市,兵庫県佐用町,昨年の広島県庄原市で発生した災害のように,既往の 記録を更新する様な集中豪雨により,斜面崩壊・土石流等の土砂災害が発生し て住民に大きな被害を与えている.「この災害の背景には気候変動による豪雨 の増加がある」という指摘があり,「今後温暖化の進展に伴ってさらに土砂災 害が増加する」との懸念も多い.

一方,土砂災害を防止する機能が期待される森林の現状に目を向けると,間伐 遅れ等により土保全機能を十分に発揮することのできない森林が多く存在する ことや,今後主伐をむかえる人工林が急増することから,着実な森林施業を求 める声も多い.これに応えて,政府は,森林・林業再生プランを作成し,路網 整備・人材育成の徹底を基軸にすえ,コスト削減により林業の再生を図るとの 積極策を実施しつつある.

本シンポジウムでは,まず,土砂災害の現状,特に西日本で多発する表層崩 壊・土石流災害の状況についての報告を受け,現在の森林の状況を歴史的な位 置づけで整理した上で,新たな森林機能評価の試みを示し,さらに,間伐等の 森林施業が森林の機能を発揮させる実証例を示す.また,施業の現状と問題点 を指摘するとともにその解決法を報告し,今後のあるべき森林の取り扱い,森 林施業のありかたを提示する.これらの報告・提言を元に,防災的側面から見 た望ましい森林の取り扱いについて議論を行う.

日時:3月26日(土)13:30-16:30
会場:静岡大学農学部共通教育A棟A301(3F)
司会:林拙郎(三重大名誉教授)
問合せ:三森利昭 独立行政法人 森林総合研究所
TEL:029-829-8235(直通) FAX:029-874-3720
e-mail:sammori@ffpri.affrc.go.jp <@を半角にしてください>

★プログラム:
・趣旨説明 三森利昭
・「最近の豪雨による土砂災害の特徴」林拙郎(三重大名誉教授)
・「広葉樹林地斜面でも崩壊・土石流が集中発生した広島県庄原市での 豪雨災害の特徴」海堀正博
・「現在の森林の状況と土砂災害防止機能評価の試み」三森利昭
・「急増する作業道から災害を出さないための注意点」小山敢
・「森林根系の斜面安定効果」北原曜
・総合討論

◆日本地理学会シンポジウム「寒冷地形最前線」

(専修大学 苅谷愛彦氏より情報提供)
http://www.ajg.or.jp/ajg/2011/02/26/2011spring_timetable2.pdf

2011年日本地理学会春季大会において表記のシンポジウムが開催されます. これは日本における高山・極域の地形研究を推進してきた寒冷地形談話会が設 立40周年を迎えるにあたり,これまでの歩みを総括し,研究を一層発展させる ことを目的として同会が主に扱ってきた各研究領域(氷河地形学・周氷河地形 学・地生態学)について討論するものです.

シンポジウムは中堅・若手会員による発表と,ベテラン会員をパネリストとし た総合討論で構成されます.またシンポジウムを意義深いものにするため,関 連する口頭発表やポスター発表も大会期間中に多数なされます.

シンポジウムは日本地理学会の行事として開催されますが,シンポジウムのみ でしたら非会員の方も自由に参加いただけます(無料,事前登録等不要).

<日本地理学会シンポジウム「寒冷地形最前線」>
日時:2011年3月30日 13:00
会場:明治大学駿河台校舎
http://www.ajg.or.jp/meetiing/2011spring.html

・趣旨説明:松岡憲知
・国内の氷河と氷河地形:青木賢人(日本列島の氷河・氷河地形研究史と展望)
・海外の氷河と氷河地形:奈良間千之(海外の氷河と氷河地形)
・永久凍土:福井幸太郎(国内の永久凍土研究の進展と将来展望)
・周氷河地形:池田 敦(周氷河地形研究の進展)
・高山の地生態学:目代邦康(日本における山地の地生態学的研究の一側面)
・総合討論
パネリスト:岩田修二,小野有五,小泉武栄,平川一臣

その他の関連する発表等のリストは下記サイトに掲載されています
http://www.ajg.or.jp/ajg/2011/02/26/2011spring_timetable2.pdf

学会・イベント情報

◇3月は学会・イベントシーズンで盛りだくさんです.直近のものは3月8日発 行の号外で掲載しましたので,省かせていただきます.詳細は各リンクをご覧 ください.

◆公開学習会『災害情報を防災に活かす』
http://dil.bosai.go.jp/cube/modules/pico/index.php?content_id=112
日時:2011年3月9日 13:50-16:50

◆第43回地球研 市民セミナー「地球温暖化の本当の話」
http://www.chikyu.ac.jp/archive/event/public-seminar/43/seminar_110318_annai.html
日時:2011年3月18日(金)18:30-20:00(18:00開場)

◆第9回 熊本大学沿岸域環境科学教育研究センター講演会
「沿岸域環境科学の最前線~基礎研究から保全・再生・防災まで~」
http://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/event/event1267.html
日時:2011年3月19日(土) 13:00-17:00

◆日本学術会議主催公開講演会「自然災害軽減のための国際協力のあり方を考える」
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/109-k-1.pdf
日時:2011年3月22日(火) 13:00-17:00

◆伊豆東部火山群フォーラム
http://www.city.ito.shizuoka.jp/hp/menu000006000/hpg000005950.htm
日時:2011年3月23日(水)14:00-16:50

◆日本地球惑星科学連合2011年大会
http://www.jpgu.org/meeting/
日時:2011年5月22日(日)-27日(金) 6日間

新刊情報  最近出版された災害・防災関連図書を紹介します.

★阪神・淡路大震災 被災マンション再建―グランドパレス高羽14年の軌跡
【著者】坂本典子
【発行者】神戸新聞総合出版センター   【発行年月】2011.1.17
【価格】¥1,260 (税込)    【ISBN】9784343006110

★津波災害―減災社会を築く(岩波新書)【著者】河田 惠昭
【発行者】岩波書店   【発行年月】2010.12.17
【書評掲載】毎日新聞2011年01月23日,読売新聞2011年02月06日
【価格】¥756 (税込)

★関東大震災女学生の記録 : 大震火災遭難実記 (フェリス女学院150年史資料集 ; 第1集)
【編者】フェリス女学院150年史編纂委員会編
【発行者】横浜 : フェリス女学院   【発行年月】2010.12
http://www.ferris.jp/sosiki/topics.html

防災コラム <防災科学の基礎知識>

第十四回 火山噴火による危険が及ぶ範囲

火山噴火のエネルギーは巨大であり,大規模噴火ともなると危険域は火山周 辺だけにとどまらず広域に,ときには全世界にも及びます.ここでは関東平野 南部を例として,火山からは離れている地域における火山災害の危険性につい て考えてみます.

関東平野の台地は火山灰の風化土層である関東ローム層によって厚く覆われて います.この大部分は,およそ2万年~9万年前における富士山と箱根山の度重 なる噴火の火山灰が飛来し堆積したものです.武蔵野台地東部ではローム層の 厚さは3~4mあり,噴火の度に地表は一面火山灰に覆われたことでしょう. ローム層下部には厚さ10cmほどの黄橙色の層が挟まっています.これは約6万 年前における箱根山の1回の巨大噴火による降下軽石が粘土化したもので,東 京軽石層と呼ばれています.噴火当時には隙間の多い軽石であってその堆積の 厚さは15cmを超え,地表の植物はほとんど埋まってしまったでしょう.このよ うに火山から遠く離れてはいても,偏西風の風下である火山東側では噴火の危 険が広く及びます.この6万年前の箱根山噴火では大規模火砕流が生じたので すが,これは60km離れた横浜にまで達しました. 

関東平野周辺には活火山が12ほどあります.最も活動的なランクAは浅間山 と伊豆大島,次いで活動的なランクBは那須岳,草津白根山,榛名山,富士山, 箱根山,伊豆東部火山群(大室山など)です.関東平野南部に影響を与えるお それの大きい火山は,位置関係および活動度からみて富士山と浅間山,次いで 草津白根山で,これらは東京から100~150kmの距離にあります.富士山は1707 年(宝永4年)に大噴火し,江戸では厚さ5cmほどに火山灰が積もりました.浅 間山は1783年(天明3年)に大噴火し,関東南部にも降灰がありました.この とき生じた泥流は利根川を流れ下り,泥水や漂流物は河口にまで達しました. 北関東では北方にある火山の噴火の影響を受けます.鹿沼土と呼ばれているの は4.5万年前の赤城山噴火による火山礫です.

火山灰の降下・堆積は,建物倒壊,植物の倒伏・枯死,視程悪化・交通マヒ, 環境汚染,水質汚濁,健康障害など,多種類の被害・混乱・障害を引き起こし ます.首都圏に5cmもの降灰があると,交通途絶や停電などにより大混乱が生 ずると懸念されます.火山灰が堆積した山地に強い雨が降ると,火山泥流発生 の危険が生じます.噴火直後の有珠山では10分間で15mmほどの短時間強雨で大 きな泥流災害が発生しました.1時間に5mm程度の雨では,たとえ泥水の流出が 起こったとしても河道から溢れ出すような流量にはなり得ません.火砕流とは 対照的に,火山泥流の危険域はほぼ完全に地形によって限定されます.

噴火により生ずる最も危険な現象は火砕流です.その大規模なものは火口から 噴き上がった多量の火砕物が失速落下して生ずる噴煙柱崩壊型の火砕流です. 巨大規模になると火砕流は火口から100kmを超える遠方にまで達し,その周辺 には多量の火山灰・軽石が降下します.巨大火砕流噴火は広い火砕流台地と大 カルデラをつくります.この地形は九州と北海道に多くみられます.約7万年 前の阿蘇山噴火は特に巨大で,火砕流は180kmの遠方にまで達し,その火山灰 が北海道にて10cmを超える厚さに堆積している場所が認められています.九州 で巨大火砕流噴火が生ずると,風下にあたる関東地方にも大量の降灰が生ずる 恐れがあります.

噴火の規模は噴出物の量で表されます.7万年前の阿蘇山噴火は約600km3, 有史時代最大の噴火である1815年のインドネシア・タンボラ火山の噴火は175k m3,64万年前のアメリカ・イエローストーンの噴火は超巨大で1000km3でした. 巨大噴火が生ずるのは稀であり,巨大地震の頻度の1/10以下ですが,エネル ギーは1000倍以上にもなり,地球気温低下などによって全世界に大きな被害・ 影響をもたらします.
(水谷 武司)

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編集後記

今回のメルマガはいかがでしたか?少し長くなってしまいました. 九州の火山噴火とコラムは火山噴火による危険範囲についてでした. 噴火のもたらす被害と恵みのバランスをうまくとって,自然現象を抑え込むの ではなく,右から左に受け流せる,自然現象と共生できる世の中にしていきた いですね.そのためには日々の観測や過去の災害をしっかりやっていかなけれ ばと改めて感じました.

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