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メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」第3号(2010年04月05日発行)

皆さまからの大きなご期待とともにスタートした、自然災害情報室のメール マガジンですが、新年度を迎え、第3号をお送りすることができました。引き 続きご閲覧、ご支援をお願いします。さて、自然災害情報室のトップページで すが、このたびデザインとページ構成を一新しました。以前のページより一覧 性が増し分かりやすくなったと思います。ご覧になった方はいかがでしょう か?まだの方は、一度アクセスいただければと思います。

また、今月18日の日曜日に研究所の一般公開が行われます。自然災害情報室 では、恒例の子供向け閲覧コーナーを今年も開設し、新たにゲームも企画して 多彩に取り組みたいと考えています。また、研究成果の紹介コーナーでは、19 60年のチリ地震津波50年の特別展示や災害本の閲覧コーナーを開設するととも に、閲覧室と書庫の見学ツアーを数回開催しますので、是非お越しください。 (井口隆)

CONTENTS

担当者よりひとこと

松代地震センター

長野県の松代に松代地震センターという組織があります。松代地震センター は、1967年2月に、長野県松代町(現在長野市)の気象庁地震観測所内に設立 されました。この設立の背景は、1965年8月3日の無感地震から1966年4月17日 までに、震度5と4を各3回、有感、無感を含む合計6780回の群発地震が観測 されるなど激しい地震活動が大きな社会問題となったことによります。

当時の中村町長が「物・金より学問・研究がほしい」といってセンターを設 立のきっかけを作ったことでも有名であり、また、その立地がもと大本営のあ った場所であることも知る人ぞ知るといった感じです。またこの地震の観測に よって得られた経験は、今日の地震予知と災害対策の進展に大きく影響を与え たことでも知られています。

筆者は、自然災害情報室として気象庁精密地震観測室(松代地震観測所)の ご協力のもとで、当時の談話会の記録を整理をしていますが、松代地震後の生 まれの筆者にとっても、とても興味深い記録ばかりで驚いています。松代が街 全体で地震を契機としてして災害に強いまちづくりにしていこうと力をあわせ ていることが生き生きと伝わってきます。例えば、地震そのものの研究に限ら ず近くの学校の生徒を対象とした群発地震による健康状態の調査などありまし た。これは、松代の保健所及び病院の協力によるもので地震が生徒の精神的、 身体的にどのような影響があるかという報告でした。それに留まりません。地 震を原因とした地すべり調査や地震時の水道施設に及ぼす影響など、当時の 様々な分野の第一線で活躍するメンバーが様々な視点から報告しています。

体裁などはまだまだ不十分で申し訳ないのですが、暫定的な形でもご覧頂け ればと思いこれらの記録をHPで公開し始めています。時間があればご覧くださ い。

 URLは http://dil.bosai.go.jp/library/matsushiro/MRecord.html です。
(中須正)

自然災害情報の紹介

☆「これは!」と思った情報

ここでは、自然災害情報室が「これは!」と思った、書籍、Webサイト 様々な情報を紹介します。

【刊行情報】

自然災害情報室では「災害写真年表」を「研究資料327号」の抜粋版として、及び「研究報告75号伊勢湾台風特別号」を刊行、公開しています。 ウェブからもPDFにてDVD以外は閲覧できるようにしています。どちらも災害記録の貴重な写真や情報が満載しておりますので、是非ご参考ください。 なお冊子のほう、配布希望がございましたら、返信にその旨を書いてお送りください。残部の状況によりますが、送料実費のみで配布致します。
http://dil.bosai.go.jp/library/publication.htm

【書評】
☆神吉晴夫編(1960)「台風の子」(カッパブックス)

前号に引き続き伊勢湾台風に関する本を取り上げる。前号では被災50周年の 節目に向けた取材によってルポルタージュ形式で書かれたものだが、今回とり 上げた「台風の子」は被災直後に生徒・先生など学校関係者自らが書き記した 体験に基づく文章を集めた作文集である。

作文は愛知県・三重県などの「作文の会」の先生方によって集められたもので、 被災体験の作文原稿、約1万枚の中から編集者が厳選した約100編の文章を12 章に分けて編集した記録集である。伊勢湾台風がもたらした災害の様々な場面 が、それぞれの学齢の子供たちの目を通して見た被災体験として率直に描かれ ており、涙なしには読み進めない。

 個人的に感銘深かったのは、第2章の、「なき母の志を守って」と第7章の 「子供らをきずかって」で、前者は水没した家屋から脱出するのが遅れた病弱 の母が、泥水を大量に飲んでいっそう衰弱し、暴風雨の中、屋根の上で一夜を 過ごした後、避難先で死を迎える一連の状況を中学生とは思えない冷静な眼で 記述しているのが印象的である。後者は、担任教師が自分のクラスの児童の安 否を確認するため、何日もかけて学区内を尋ね歩く中で見た被災地の状況が、 丹念に描かれている。この先生が訪ね歩く様子は中日映画社が作成した映画ニ ュースにも撮影されており、生徒に対する深い愛情にあふれた様子に感銘を受 けた。そのほかにも、様々な立場からみた伊勢湾台風の被災状況が記されてお り、一読しておくべき価値がある本である。これは50年前に刊行された本で あり、入手は難しいが、防災科研自然災害情報室でも所蔵しているので、来所 されると館内での閲覧は可能。また、中日映画社のニュース映像は防災科研の 研究報告第75号の付録DVDに収録されているので、入手希望者は自然災害情 報室までご連絡いただきたい。(井口隆)

【書籍紹介】

ノーベル賞受賞作家パール・バックの有名なThe Big Wave(邦訳:つなみ) が所蔵に加わりました。

☆Pearl S.Buck(1947)The Big Wave Harper Collins Publishers
☆パール.S.バック(=北面ジョーンズ和子他訳)(2005)つなみ ーTHE BIG WAVEー

(Amazon.co.jp ホームページより抜粋)
ある日突然村を襲った大津波によって、家も、家族も奪われ、独りぼっちにな ってしまった少年ジヤ。しかし彼は、周囲の人々の暖かい愛情に包まれて成長 し、やがて再び海に立ち向かってゆくのだった…。ノーベル賞作家パール・バ ックが日本を舞台に描いた、大自然と共に生きる人々の生と死、そして愛を、 優しく澄みきった、情感溢れる黒井健のイラストレーションにのせて贈ります ―。
http://www.amazon.co.jp/

【Web情報】
☆北本朝展さん(国立情報学研究所准教授 防災科研客員研究員)から以下ご紹介頂きました。 デジタル台風:台風画像と台風情報

http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/
台風に関する多様な検索機能を提供するデータベース。また1978年以来の 気象衛星「ひまわり」画像も網羅的にアーカイブしており、現在の台風に関す る情報だけではなく過去の台風に関する調査にも活用できる。

台風前線

http://front.eye.tc/
台風が接近する各地の人々からの情報を収集して可視化する参加型メディア。 ブログからのトラックバックや携帯電話からのメールなどを収集し、台風の動 きと合わせて地図上にアニメーション表示することができる。

ツイフーン

http://twiphoon.eye.tc/
台風前線と同じアイデアをツイッター(Twitter)に適用したサービス。台風 ハッシュタグを活用することでツイートを台風ごとに分類し、自然言語処理を 活用することでツイートを地図上に表示することができる。

台風メモリーズ

http://memories.eye.tc/
過去の台風に関する記憶を呼び覚まし共有するためのインスタレーション。 伊勢湾台風50周年を機に制作した「伊勢湾台風メモリーズ2009」では、高潮を 実寸大で体験することができる。またウェブ上でこれを再現したバーチャル版 もある。

☆災害情報のアラートのお奨め

アラートシステムを使って有効に災害情報を収集することができます。 具体例を挙げてみます。

・一般的なのはグーグルアラートにキーワードを登録する方法があります。た とえば「災害」などキーワードを入れておくと、そのキーワードに関する情報 がメールで配信されます。一日一回など頻度も選択できます。
http://www.google.co.jp/alerts

・GDACS(The Global Disaster Alert and Coordination System )で災害ア ラートに登録すると世界のどこかで災害があり情報が出されるとメールにその情報が配信されてきます。ホームページ右側の中段あたりで申し込めます。
http://www.gdacs.org/

☆世界の防災関連機関リンク集

世界にどのような防災関連機関があるかをわかりやすく分類して公開していま す。概説もつけてありますので、世界の防災機関を概観するのには便利です。 資料をダウンロードできるサイトなども示しています。
http://dil.bosai.go.jp/link/disasterlinks/index.html
他、皆様からの情報お待ちしております。

活動報告

☆ホームページをリニューアルしました。

自然際災害情報室ホームページをリニューアルしました。皆様に使いやすい ホームページを目指しておりますので、今後ともご指導宜しくお願い致します。
http://dil.bosai.go.jp/

☆一般公開(4・18)での活動予定

自然災害情報室の一般公開でも活動予定として、子どもと大人両方楽しんで学 んで頂くように、工夫しています。科学実験教室では、これまで行ってきた子 ども向け災害資料公開・防災ゲーム・よみん坊などにくわえて、防災グッズの 紹介や避難所体験なども予定しています。研究成果の紹介コーナーでは、1960 年のチリ地震津波50年の特別展示や災害本の閲覧コーナーを開設するとともに、 閲覧室と書庫の見学ツアーを数回開催する予定です。是非ご利用ください。

防災コラム<防災科学の基礎知識>

第三回 地球温暖化と自然災害

地球気温上昇およびそれに伴う海面水温上昇は、大気中の水蒸気量を多くし、 大気の対流活動を活発にし、熱帯低気圧の発達を促して、豪雨の強度と頻度を 大きくします。21世紀中の気温上昇が3℃という予測シナリオの場合、日本の 夏季における豪雨日数は、21世紀半ばには現在の2倍に,世紀末には3倍になる と予測されています。台風は、発生数は多くはならないものの、中心気圧はよ り低くなって風速と雨量が増大します。温暖化は気候帯を移動させるので、夏 の太平洋高気圧は北に張り出して台風のコースを変えます。このため強い台風 が来襲する地域が変化します。ときには日本列島から全くそれ恵みの雨が降ら なくて干ばつになることもあります。水不足は天然のダムとなる山地積雪の減 少によっても引き起こされます。気象変化の地域ごと年ごとの違いは大きくな ります。平年なみの雨の降り方をすることは少なくなり、極端に少なかったり、 集中豪雨となったり、長雨になったりすることが増えます。これまで雨が少な かったところで豪雨が増えると、水害の規模はより大きくなります。大陸では 気温上昇は大きく、乾燥化・砂漠化が進み、水資源不足が深刻になると予想さ れます。

地球気温の上昇は、海水を膨張させ大陸氷床や山岳氷河を融かして、海面を上 昇させます。21世紀末までの上昇量は、主として海水膨張により0.3~1mと予 測されています。南極には全部融けると海面を65m上昇させる大量の氷があり ますが、南極大陸はあまりにも低温なので、これの融解による海面上昇はさし あたりないと考えられます。この海面上昇は海岸低地の標高を低くし防潮施設 の機能を低下させて、高潮の危険を大きくします。海面が1m上昇すると、平均 満潮位以下の土地は現在の850平方kmから2350平方kmへと増加します。岩石海 岸(磯浜)では海岸侵食が激しくなります。平均気温が1℃上昇すると等温線 は約150km北上し、これに伴って植生の生育適地も移動します。21世紀末まで に平均気温が3℃上昇するとした場合、森林たとえば落葉広葉樹林(ブナが代 表種)の生育に適した温度条件の南限は、年4kmほどの速度で北上することに なります。一方、種子を飛ばすなどして樹木が移動していく速度は年数百m以 内なので、気候変化に追随できず森林の荒廃が生じます。これにより山地の雨 水貯留能力が低下して洪水流量が増大し、また、侵食や崩壊による土砂流出が 多くなります。気温上昇は森林火災を起きやすくします。
(水谷武司)

編集後記

メールマガジン「自然災害情報の収集・発信」No.3をお送りします。このメー ルマガジンではできるだけ防災に関係する方々の情報交換の場ともしたいと思 っておりますので、セミナー・イベント情報、書評、本の紹介、論文の紹介、 などなどどんどんお寄せください。可能な限り掲載させて頂きます。

また、受信を希望されない場合はお手数ですが、このメールにその旨をご返信 くださいますよう宜しくお願い致します。しばらくは試験的な運用として返信 可能にしておりますのでどうぞ宜しくお願い致します。(自然災害情報室一 同)

発行 防災科学技術研究所 自然災害情報室

http://dil.bosai.go.jp/
〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1
TEL:029-863-7635 FAX:029-863-7811

☆このメルマガは転送可能です。お知り合いやご興味がある方にご自由にご転 送ください。直接送付をご希望のかたは、この送信先にその旨をご連絡くださ い。メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」をお送りします。

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