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メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」第2号(2010年03月05日発行)

【メールマガジン多数の申込みのお礼(井口隆)】
先月、防災科研自然災害情報室が発行するメルマガの第1号をお送りしまし た。予想以上に反響が大きく、産業技術総合研究所の地質調査グループのML に転送していただいたこともあって、数日間で新たに60名を超える方から送付 依頼の申込みがありました。皆さまからの期待の大きさに担当スタッフは嬉し い悲鳴を上げています。このメルマガは自然災害や災害情報に関心のある方の 情報交換の場として作り上げて行きたいと考えています。今後は、シンポジウ ムやイベントのお知らせ、災害関連書籍の紹介、災害情報に関するニュースな ど皆さまから寄せられた情報も合わせてお伝えしていきたいと考えていますの で、災害に関わることになら何でも結構ですので情報提供をお願いします。

購読者も増やしたいと考えていますので、このメルマガを災害情報に関心を お持ちの方にご転送いただければ幸いです。また、メール転送にてこれをお読 みの方で、直接送付を希望される方は、 library(アットマーク)bosai.go.jp あてに申し込んでいただくと直接お送りするようにしますので、お願いします。

【速報 チリ地震津波】
現地時間2010年2月27日午前3時34分(日本時間+13時間)、チリで大きな地震があり ました。その影響で、津波は日付変更線をこえ、2月28日の午後、日本に津波 の第一波が到着し始めました。現在この津波の被害について国内外で調べられ ている最中ですが、地震由来の津波が太平洋を渡って日本に影響をもたらした 50年前のチリ地震津波の状況を彷彿とさせます。自然災害情報室では、この19 60年に起こったチリ地震津波から50年を機に、この津波前の教訓を現在の視点 から振返るWeb企画を考えています。またメールマガジンで、お知らせいたし ますので、どうぞ宜しくお願い致します。(自然災害情報室一同)

CONTENTS

担当者よりひとこと

災害からの復興

 ハイチの大地震で復興はどのようになるのか、世界の注目は集まっています。 これまで復興についていろいろと調べましたが、考える指針の有効な理論とし てハースという研究者らの「急速に成長しつつある都市は、被災後急速に復興 するであろうが、変化せず停滞し、あるいは下り坂にある都市は、被災後きわ めて緩慢に復旧するか、あるいは急激に衰えていくであろう」(1977)があり ます。この場合の成長する都市とはどういう地域かを考えた際、災害前の人口 の増加が結構指標として使えるのではないかと考えられます。実際、いろいろ と調べたのですが、災害がどれだけ大きなものであっても、人口が増加傾向に あった地域は、復興しやすいのではないかという予測です。例えば、伊勢湾台 風災害による名古屋市では、経済・社会的な災害の規模が大きく援助量が少な かったのですが、一年とたたないぐらいあっという間に復興したといえる状況 になりました。比べて、ハリケーン・カトリーナ災害によるニューオリンズで は、経済・社会的な災害規模としては、実はそれほど大きくなかったのですが、 援助量は膨大でした。にもかかわらず5年たとうとしているのに、復興はまだ ままならないといってよい状態かもしれません。ニューオリンズは災害前から 人口の減少が著しく、サバイバルな都市とさえ言われていました。インド洋大 津波の被災地の復興についても、ここでははっきりといえませんが、同様な傾 向が多く見うけられます。

 さて、ハイチの例に戻って考えてみます。ハイチ(ポルトープランス)の人 口増加率を調べてみると、災害前まで急速に増えていたことがわかりました。 人口という指標だけで考えるとハイチの復興は比較的早く成し遂げられるはず ということになります。しかしながらハイチには上記の例では当てはめて考え ることができない全く異なる社会状況が存在するとも考えられます。そのため ハイチの復興は、政治の舵取りや社会状況という非常にわかり難い変数に大き く左右されると考えなければならないのかもしれません。雑誌「エコノミス ト」には、インド洋で起こった義援金や援助の問題、偏ったところに過剰に供 給され被害が拡大した事例など、と同様な問題がハイチでも起こるのではない かと危惧する記事がありました。

  皆さんはハイチの復興をどう考えますか。(中須正)

自然災害情報の紹介

☆「これは!」と思った情報

ここでは、自然災害情報室が「これは!」と思った、書籍、Webサイト 様々な情報を紹介します。

【刊行情報】

 この度、自然災害情報室では「防災科学テキスト」(38頁)を刊行しました。 ウェブでもPDFにて公開しております。アドレスは下記に示します。 大学の授業やちっとした勉強会にお役立てください。なお冊子のほう、配布 希望がございましたら、返信にその旨を書いてお送りください。残部の状況に よりますが、送料実費のみで配布致します。
 ( http://dil.bosai.go.jp/library/publication.htm ) 

【書評】
☆岡 邦行(2009)『伊勢湾台風 水害前線の村』ゆいぽおと 

昨年9月に伊勢湾台風50年を迎えた。それに向けて出版されたいくつかの本 があるが今回はそのなかの1冊を紹介したい。 

この本は伊勢湾台風50周年に向けて、3年近くにわたる現地取材と被災者な ど関係者への聞き取り調査に基づいて書き下ろされたノンフィクションで、伊 勢湾台風によって翻弄された飛島村の住民に焦点をあてた力作である。

伊勢湾台風前後の被害状況だけでなく、村の成り立ちから、戦時中の労苦、 そして東南海地震などの悲惨な状況を歴史的に振り返るとともに、被災後の復 興と沿岸埋め立てに伴う生活基盤の変遷なども織り交ぜながら、被災した人々 の人生模様と村の変遷を織り交ぜて話を展開している。

被災地である飛島村に焦点をあてているが、それと同時にそれぞれ1章を割 いて、台風15号の接近に向けた「名古屋地方気象台」の予報と警戒情報の発令 など災害対応、愛知県・愛知県の地方事務所である海部事務所・そして飛島村 の3つの行政機関の「災害対策本部」がとった被災前後の対応状況の違い、そ して飛島村の被災状況の取材にあたった中部日本新聞社についても当事者への 聞き取りに基づく綿密な記述もあって、多角的に伊勢湾台風の状況を克明に述 べている。

特に飛島村新政成地区での克明な被災体験と被災後の生活を描いた第4章は 実際に台風の猛威に翻弄された被災者からの聞き取りを中心に構成した章であ る。台風当夜、家とともに数キロも流され、何とか命だけは助かった生死を分 けたサバイバル状況や翌日以降の悲惨な生活模様を体験者からの聞き取り物語 は50年近い年月を経た後での聞き取り調査とは思えないほど緊迫した状況が 生々しく語られている。高潮で亡くなった方の中には、長靴を履いていたため に溺死された方も多かったことなど、災害を体験した人でないと知りえない話 なども交えている。

死者・不明者5,000余人の災害で、132名の死者・不明者の飛島村は約40分の 1であるが、被災状況が克明に描かれていることから、この書を読むだけでも 伊勢湾台風災害の被害状況の悲惨さは十分に読み取ることができる。
(井口隆)

【DVD情報】
☆高校生がチリ地震津波(1960年)の記録をDVDに

「防災教育に力を入れる淡路市の県立淡路高校英語研究部の生徒4人が、19 60年に国内で4メートルを超える津波を記録、死者・行方不明者140人を 出した「チリ地震津波」について、体験した淡路島民や、救助活動に携わった チリ人にインタビューしたDVDを制作した。同校は阪神大震災の震源に近く、 語り部活動や防災授業などに力を入れており、生徒たちは将来の南海地震を見 据えて「備えに役立てば」としている。英語研究部の生徒らは、夏休みに関係 者を訪ねて取材。和英辞典を調べながら英語の字幕にするなどし、10分間の DVD「チリ地震津波の記憶―淡路島」にまとめた。」(YOMIURI ONLINEより 抜粋)
http://osaka.yomiuri.co.jp/shinsaimirai/sm71227b.htm

【Web情報】
☆「Google Earth でハイチの状況が鮮明に(その2)」

神戸大学の大石哲先生から情報を頂きました。  グーグルアース(GE)は研究にとても役に立っているとのこと。GEの上部の 時計マークをクリックすると過去の映像が見られます。例えば、ハイチのポル トープランスにGEをあわせて、現在の状況を見た後、その後時計マークをクリ ックし、日付を2009年8月26日にすると以前の町並みが見れることを教えて頂 きました。
  例:18 32 41.31N 72 20 18.11W
 例えば、ここからコピーしてそのままGEの「ジャンプ」へペーストし、リ ターンキーを押すなど。

☆「災害写真データベース」

財団法人消防科学総合センターが開設・運営しているサイトです。 何かで災害写真を使いたいときに役に立ちます。
http://www.saigaichousa-db-isad.jp/drsdb_photo/photoSearch.do
自然災害情報室でも独自に写真館をウェブ上で公開する予定です。乞うご期待。

☆「アラートマップ」

http://hisz.rsoe.hu/alertmap/index2.php  世界の最新災害情報が地図上と一覧表で確認できるサイトです。とてもよく できています。
 他、皆様からの情報お待ちしております。

イベント情報

☆防災科研一般公開(4月18日(日))

 毎年恒例の防災科研の一般公開が来る2010年4月18日(日)に開催されます。詳細 がわかり次第防災科研のトップページなどで掲載されます。科学実験や研究成 果など、ご興味がございましたらどうぞお越しください。

☆防災研究フォーラム「気候変動と激甚化する自然災害」

開催日時: 2010年3月20日(土)午前10時30分から午後5時40分まで
会場  : 京都大学宇治キャンパス おうばくプラザ「きはだホール」

10時30分 開会挨拶 岡田 憲夫(京都大学,防災研究フォーラム代表)
         鈴木 良典(文部科学省地震・防災研究課長)
10時40分 第1部 地震・津波による激甚災害調査報告
(1) 2007年ソロモン諸島地震津波、および2009年サモア諸島地震津波の教訓
          都司嘉宣(東京大学)
(2) 2009年スマトラ沖地震に遭遇した体験と防災科学技術研究所のパダンで の取り組み 塩飽孝一(防災科学技術研究所)(ハイチ地震関係の速報の可能性あり)
12時00分 昼食休憩
13時00分 特別講演
報告:最近の防災研究について 富田浩之(文部科学省)
13時35分 第2部 日本での最近の災害調査報告
(1)2009年台風MORAKOTによる台湾土砂災害
藤田正治(京都大学)
 (2)2009年フィリピン台風災害調査報告
大石 哲(神戸大学)
(3)2009年7月豪雨による防府地区の土砂災害
羽田野袈裟義(山口大学)
(4)2009年8月兵庫県佐用町河川災害について
藤田一郎(神戸大学)
(5)群馬県館林市で発生した竜巻の被害とレーダ観測の結果について
鈴木真一(防災科学技術研究所)
16時00分 休憩
16時10分 第3部 気候変動に伴う極端現象に関する研究・教育プログラム
(1) 気候変動予測に関する国際的動向 鬼頭昭雄(気象研究所)
(2) 21世紀気候変動予測に関する革新プログラムについて 中北英一(京都大学)
(3) グローバルCOEプログラム「極端気象と適応社会の生存科学」 寶 馨(京 都大学)
17時40分 閉会挨拶
18時00分 関係者懇談会
→ 詳しくは以下のURLをご覧下さい。
  http://dprf.jp/sympo/20100320/index.html

☆災害リスクガバナンス・シンポジウム 「広がる絆・高まる地域防災力」

開催日時:2010年3月7日(日)13:00~16:30 (開場12:30)
会場:東京国際フォーラム ホールD5(東京都千代田区丸の内3丁目5-1)

開催趣旨(下記URLより)
 不確実性を孕む災害リスクを軽減するためには、平常時のコミュニティに形 成される重層的な絆や新しい公共の担い手を含む多様な主体間の協働関係を活 かした地域防災の取り組みが不可欠となります。当研究所では、リスクガバナ ンスの視点から地域防災力を可視化するWEBシステムと同システムを用いたリ スクコミュニケーション手法の研究開発に取り組んでいます。

 そこで本シンポジウムでは、神奈川県藤沢市六会地域の関係団体の協力を得 て同システムを用いたリスクコミュニケーションの公開デモンストレーション を行います。

また、コミュニティの自治や地域経営の視点から新たな地域防災の戦略を展望 するパネルディスカッションを行います。同パネルディスカッションの中では、 地域の絆を再生しリスクガバナンスを再編・高度化することを促進する「地域 発・防災ラジオドラマ※づくり」の有効性や課題についても討論します。

 なお、本シンポジウムは、科学研究補助金「基盤研究(A)Web公開型防災力 勘定表の構築とそれを活用した災害リスクガバナンス手法の開発」による研究 成果発表会として開催するものです。
詳しくは以下のURLをご覧下さい。
http://bosai-drip.jp/riskgv_sympo2010.htm

活動報告

☆突発災害調査(フィリピン)の調査結果(速報版)を公開しました。

 http://dil.bosai.go.jp/library/disaster_research/2009philippine/index.html
 防災科研では、防災研究フォーラムの支援をうけて突発災害調査(フィリピ ン)を行いました。調査に関するサイトを公開しましたのでご覧ください。

☆ツイッターを公開しました。

 http://twitter.com/NIED_library
 今日は何の日?や災害情報を適宜更新しています。よろしければフォローし てください。

防災コラム<防災科学の基礎知識>

第二回 土地に刻まれた巨大災害の記録

莫大なエネルギーを放出する巨大隕石の衝突は、リング状の大きな凹地(ク レーター)を地球表面に残します。プレートが運動し侵食の活発な地球上では 衝突クレーターは残存し難いのですが、それでも安定大陸を中心に現在200ほ どが確認されています。その直径は数十kmから200kmほどのものが多く、それ ぞれkm規模の小天体が衝突して地球環境を激変させたことを示します。小天体 の衝突は大爆発現象であり、その直径の10~20倍のクレーターをつくります。

恐竜を絶滅させた6500万年前の小惑星の衝突は、直径200kmほどのクレーター をメキシコ・ユカタン半島の先端につくりました。大噴火により大量の物質が 放出されると陥没が生じてカルデラが出現します。64万年前のアメリカ・イエ ローストーンにおける噴火の放出物質は1000km3、カルデラの直径は世界最大 の80kmで、北米大陸の全域に直接的な被害が及んだと推定されます。このよう な超巨大噴火は最近200万年間に4回(北米2、インドネシア1、ニュージーラン ド1)起こっており、小惑星の衝突よりも2桁大きい頻度です。なお、富士山の 体積はおよそ500km3あります。地すべりは山体を大きくえぐる地形をつくりま す。陸上における最大の地すべりはイランにあり、その土砂量は20km3です。 海底にはこれを2桁も上回る規模の巨大地すべりが多数存在します。

南アフリカ東海岸沖の地すべりは、長さ750km、幅100km、体積2000km3と巨大 です。海底地すべりの主原因は、大陸棚をつくる厚い堆積層の地震動による大 規模液状化です。1958年にアラスカ・リツヤ湾において、地震による山崩れの 土砂が海中に突入し高さ540mの津波(巨大波)が生じたことが、なぎ倒された 樹林の高さにより確認されましたが、ここでは100mを超える波がこれまで幾度 も生じたことが、山腹樹林の樹齢の違いによる縞模様に記録されています。
(水谷武司)

編集後記

メールマガジン「自然災害情報の収集・発信」No.2をお送りします。この メールマガジンではできるだけ防災に関係する方々の情報交換の場ともしたい と思っておりますので、セミナー・イベント情報、書評、本の紹介、論文の紹 介、などなどどんどんお寄せください。可能な限り掲載させて頂きます。

また、受信を希望されない場合はお手数ですが、このメールにその旨をご返 信くださいますよう宜しくお願い致します。しばらくは試験的な運用として返 信可能にしておりますのでどうぞ宜しくお願い致します。(自然災害情報室一 同)

発行 防災科学技術研究所 自然災害情報室

http://dil.bosai.go.jp/
〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1
TEL:029-863-7635 FAX:029-863-7811

☆自然災害に興味のあるお知り合いをご紹介ください。メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」をお送りします。

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