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メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」

メルマガ「自然災害情報の収集・発信の現場から」第1号(2010年02月04日発行)

 このたび、防災科学技術研究所自然災害情報室では災害資料や防 災情報に関心のある方に向けたメールマガジンの発行を始めました。 自然災害情報室では災害情報の収集を図るとともに収集した情報か ら引き出される災害の教訓などを発信する活動も進めています。そ の一環としてこのメールマガジンを活用した情報発信を行ないたい と思います。このメルマガを多くの読者にとって有意義なものに ていくために、皆さまからのご意見をお待ちしています。(井口隆)

CONTENTS

担当者よりひとこと(スタッフで持ち回りで書きます。)

災害による報告死者数

 2010年1月12日ハイチで大きな地震がありました。その影響は、現在でも 大きな社会問題ともなっていますが、初期の段階で大統領が20万人 の犠牲者が出ていると宣言しました。

 2005年8月末のハリケーン・カトリーナ災害のときは、最初1万人 との報道がなされましたが、最終的に1千3百人ぐらいになりました。 死者が少ないのに越したことはありませんが、日本と比べてお国柄が このようなところにもでるのかと感じます。

 日本の場合で典型的な事例は、阪神・淡路大震災の時です。当時筆 者は京都に住んでおり、京都市内で働いておりましたが、大きなゆれ のあと、朝7時ごろは、死者の数がまだ数人だったとTVなどで報道さ れていたのを覚えています。それが時間が経つにつれて、数百人、数 千人と時間が経つごとに増えていきました。

 アメリカは、トップダウンで戦略的、日本は、ボトムアップで正確 さ重視、そんな感じがします。

 2004年のインド洋津波では、周辺諸国の報告死者数が上下していま したが、この点をとっただけでも、災害がその国の経済や社会状況を 浮き彫りにする一端が見えてきます。

 ハイチに関しては時を追うごとに報告死者数が増えておりその状況 が心配されます。初期の段階の大統領の宣言どおりの数字にならない ことを祈ります。(中須正)

自然災害情報の紹介

☆「これは!」と思った情報

ここでは、自然災害情報室が「これは!」と思った、書籍、Webサイト 様々な情報を紹介します。

【書籍情報】
「秀吉を襲った大地震 地震考古学で戦国史を読む」 寒川旭
(2001/1 平凡社新書 amazon.co.jp より引用)

<内容紹介>
 地震研究者の間では、新潟や能登、岩手・宮城などで大きな地震が 続く現代は、活断層が活発な「内陸地震の時代」といわている。この 現代に近いのが、戦乱の世を治めた豊臣秀吉の時代である。秀吉は、 天下統一前の天正地震では大坂へ逃げ帰り、統一後の伏見地震では伏 見城を倒壊させられた。これらの地震から、何か学べないか──歴史 史料と遺跡調査の両輪で歴史を読む「地震考古学」の生みの親である 著者は、そう考え執筆を始めた。時代を特定するカギは、地震を引き 起こした「断層」と、地面を引き裂いて噴出した「噴砂」。この大地 の痕跡と史料から、被害状況や当時の人々の暮らしを読み解いていく。 大地のメカニズムの上で、いかに人々は生きたか?

<内容(「BOOK」データベースより)>
 天下統一の前後、豊臣秀吉は大地震に襲われた。大坂に逃げ帰った 天正地震、城が倒壊した伏見地震―。しかしこれは遠い昔のことでは ない。大地震が続いた秀吉の時代と同じく、私たちも、活断層が活発 な「内陸地震の時代」に生きているのだ。「地震考古学」で読み解く、 大地に刻まれた「地震」と「人間」の歴史。

【Web情報】
「Google Earth でハイチの状況が鮮明に」

「Google Earth(グーグルアース)」でハイチの地震による被災状況 が鮮明に写しだされています。特に大統領の宮殿が破壊されている映 像などもあります。またTwitters(ツイッター)でもハイチが最もほ っとなトピックとしてとりあげています。グーグルアースは、グーグ ルのホームページからダウンロード、ツイッターは、投稿には登録が 必要ですが、閲読は何時でもできます。

 またJAXA陸域観測衛星「だいち(ALOS)」によるハイチ大地震(仮称) の緊急観測画像を「相互運用gサーバー」(防災科研開発)よりWMS 配信開始しています。詳しくは以下をご覧ください。
http://www.bosai.go.jp/news/press_release/20100122_02.pdf

 また、自然災害情報室でも、災害種別リンク集で、最新の災害情報 を常時発信していますのでお時間があればご覧ください。
http://dil.bosai.go.jp/library/link/Disasterlinks/Disasterlinks.htm

イベント情報

☆第4回シンポジウム「総合化地下構造データベースの構築」

開催日時:2010年3月8日(月)10時~17時
会場:東京国際フォーラム D7ホール

開催趣旨(下記URLより)
 防災科学技術研究所を中核機関として平成18年度からスタートした、 科学技術振興調整費重要課題解決型研究「統合化地下構造データベース の構築」は、間もなく4年が経過します。このプロジェクトは、地下構 造情報を統合的に収集・管理し、広くデータ利用可能な仕組みとして統 合化地下構造データベースを構築するとともに、ネットワークによるデ ータの相互利用・公開が可能なシステムを構築しデータの利活用を促進 するための研究開発を行うことを目標に進めています。  今回のシンポジウムでは、地下構造情報のデータベース化の取り組み や利活用の現状について、プロジェクト参画機関の担当者や地方公共団 体、民間等から発表を行うとともに、利活用の今後に向けてパネルディ スカッションを行い、利活用の展望と課題の抽出を行っていきます。

詳しくは以下のURLをご覧下さい。
関連URL:http://www.chika-db.com/

☆第1回GIS Landslide研究集会

開催日時:2010年2月25日(木)10時45分~17時30分
会場:防災科学技術研究所 第一セミナー室

開催趣旨(下記URLより)
 最近の災害関連や地形・地質関連の国際雑誌にはGIS とlandslide を キーワードとした論文が多く見受けられるようになってきました。また、 さまざまな機関からGIS Landslide に必要なDEM などのGIS データが供 給されるようになり、研究が容易になってきました。しかし、一方でGIS Landslide の研究者間の技術的問題の交流やデータ共有などは不十分で、 研究者はそれを望んでいるようです。

 そこで、今回企画した研究集会は、GIS-landslide および関連科学の 研究者間で、GIS 土砂災害の研究を行っている研究者間のネットワーク を確立し、技術的問題点を相互に理解・解決し、必要データを共有し、 効率良く研究を進めるためのワンステップとしたいと考えます。

詳しくは以下のURLをご覧下さい。
http://lsweb1.ess.bosai.go.jp/gis-landslide/

活動報告 -阪神・淡路大震災から15年-

 防災科学技術研究所では2010年1月16日に日本科学未来館において阪神淡路 大震災から15年が経過したことを受けてイベントを開催しました。その 一つのプログラムとして、自然災害情報室が一昨年から一般向けに開催 してきた「公開学習会」を併催する形で「阪神・淡路大震災の教訓と首 都圏の地震防災」を開催しました。

URL :
http://dil.bosai.go.jp/library/gakushukai/100116/index.html

 学習会は3時半開始で、3名の演者が講演を行ないました。防災科研関 係者による発表の部分の要旨を入手することができましたので下記に掲 載します。

【1】阪神・淡路大震災では何がおこったか (防災科研 自然災害情報室室長 井口隆)

 最初の演者である井口は「阪神淡路大震災では何が起こったのか」と 題して講演を行なった。講演では最初に兵庫県南部地震の概要を簡単に 述べ、震災の帯から少し離れた実家の被害の状況を紹介しました。その あとに地震によって生じた各種災害の状況を、当時撮影した写真に基づ いて順次紹介しました。

 建物被害については、木造家屋の倒壊、中層住宅・建物の被災状況、 ビルの被害状況に分けてそれぞれの特徴について述べました。そのあと 高速道路の倒壊状況、火災の被害状況、液状化の実態そして淡路島の野 島断層の変位を紹介した。最後に演者の専門である、地震によって生じ た地すべりの説明を行ないましたが、地震による地すべりはいずれも盛 土斜面で発生しており、都市部の地震災害においては盛土が潜在的に危 険な場所であると警鐘をならしました。  講演の最後に自然災害情報室の展示内容の紹介と続く2名の演者の紹 介を行ない、講演を終えました。

【2】 阪神・淡路大震災から学ぶ (防災科研 客員研究員 水谷武司)
「阪神・淡路大震災から学ぶ-何が被害・混乱・苦難を大きくしたか-」

 建物被害とりわけ住宅全半壊数が震災の規模をほぼ決めます。これは 主要な一次破壊被害ですが、それだけにとどまらず死者数、出火数、被 災者(要救護者)数、避難所・仮設住宅必要数、発生瓦礫量などを決定 します。阪神大震災による建物全半壊は25万棟 (46万世帯)であり、建築 年代の古い在来構法の木造住宅の被害が大でした。火災および関連死を 除く死者はおよそ5,000人で、この95%が建物倒壊を原因としておりほぼ 即死の状態でした。死者数と住家全半壊数との比例的関係は自然災害全 体について認められますが、地震ではこの関係は直接的であり、とりわ け阪神大震災では発生が早朝であったことにより際立ちました。建物全 壊率と出火率との比例関係はこの震災でも認められました。建物全壊が 多いと同時多発により出火の多くが必然的に延焼に発展し火災規模を大 きくします。倒壊による道路閉塞は消防活動を阻害します。風が弱くて 延焼速度は遅かったので、建物が完全倒壊しなければ火災死者560の多く は助かったはずです。住宅損壊により少なくとも40万以上の人が完全に 生活の根拠を失いました。この被災者の多くを避難所に収容し、食料・ 物資を供給し、応急仮設住宅を建設し、住宅再建の援助などを行う必 要が生じました。住む家が残っていれば関連死912人の大多数はでなかっ たはずです。

 建物破壊は強震動時の短時間に起こるので、震災の大枠は地震が起こ ったときにすでにほぼ決まっていることになり、それを防ぐには予め建 物を耐震的にすることが不可欠です。2003年現在、耐震性不十分の木造 戸建て住宅は1000万戸(全体の40%)あるとされています。既存建物の耐 震改修の促進が震災対策の最重要課題の一つです。 

防災コラム<防災科学の基礎知識>

第一回 自然災害のエネルギー規模

 災害をもたらす自然の事変は巨大なエネルギーをもっています。観測さ れた最大の地震は1960年のチリ地震(マグニチュード9.5)で、そのエネ ルギーはTNT火薬に換算して2千メガトン(1メガトンの核爆弾2千個分)で す。地震のエネルギーの源は地殻・マントル内の放射性物質の崩壊による 地熱です。マグニチュード9。5の地震のエネルギーは、地球内部から全地 球表面に伝わってくる地熱(地殻熱流量)のほぼ10日分にあたります。火 山噴火のエネルギーはさらに大きく、史上最大規模であった1815年のイン ドネシア・タンボラ山噴火の総エネルギー(2日間程度で放出)は、TNT火 薬2万メガトンに相当します。64万年前にアメリカ・イエローストーンに おいて生じた超巨大噴火のエネルギーは、さらにこの10倍ほど大きいもの でした。大型台風が数日かけて放出する総エネルギーは数百メガトン程度 で、地球に入射してくる太陽エネルギーのほぼ1分間分に相当する大きさで す。地球が受ける太陽エネルギーの量は非常に大きく、地熱エネルギーの 約4000倍になります。台風には地球の自転エネルギーも加わっており、こ の総量は地熱の約1/10です。これらの自然災害の規模をはるかに上回り、 大カタストロフィをもたらすのが巨大隕石の衝突による大爆発です。6500 万年前には直径10kmほどの小惑星が地球に衝突し、恐竜を含む全生物種の 3分の2を絶滅させました。解放された運動エネルギーは1億メガトンで、こ れは5km2あたり1メガトンの爆発が全地球表面で生じた場合の総エネルギー に相当します。ただし地球はわずかに微動しただけです。発生頻度はエネル ギー規模が大きいほど小さくて、巨大地震が50年に1回、巨大噴火は1000年 に1回の程度、小惑星の衝突は数千万年に1回ほどの頻度です。(水谷武司)

編集後記

 メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」を始めました。 大きな災害があった時の情報、災害に関する新情報、及び防災に関する企画 やイベント情報などを中心に月1回ぐらいのペースを目指して発行していき たいと思います。

また自然災害情報室では災害情報の収集を図るとともに収集した情報から引 き出される災害の教訓などを発信する活動も進めています。その部分につい ても今後積極的に発信しく予定です。

このメルマガは、防災科学技術研究所自然災害情報室に様々な形で関係して くださいました皆様にお送りさせて頂いております。受信を希望されない場 合はお手数ですが、このメールにその旨をご返信くださいますよう宜しくお 願い致します。

今回が初めての発送で、メールの送付に不具合が生じる可能性もあります。 不具合などにつきましても、お手数をおかけ致しますが、こちらにお知らせ 頂ければ幸いです。

また、「こんな情報を紹介して欲しい」「こんな情報を持っているよ!」な どございましたらお気軽にご連絡ください。

しばらくは試験的な運用として返信可能にしておりますのでどうぞ宜しくお 願い致します。(自然災害情報室一同)

発行 防災科学技術研究所 自然災害情報室

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TEL:029-863-7635 FAX:029-863-7811

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